現況と運営実態から見た幼保一体化施設の施設計画に関する研究

文献情報

文献番号
200601047A
報告書区分
総括
研究課題名
現況と運営実態から見た幼保一体化施設の施設計画に関する研究
課題番号
H18-政策-若手-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山田 あすか(立命館大学 理工学部建築都市デザイン学科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 将之(日本大学 生産工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,960,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は,保育所と幼稚園双方の機能を一体的に併せ持つ「幼保一体化施設」の全国的な現況の把握と,実態に即した課題点の把握・その対策方法の提示を目的とする.本研究の成果は,今後の幼保一体化施設施策の策定,及び施設計画に寄与し,また広く乳幼児の発達環境の構築に資するものである.
研究方法
 本研究は,全国の幼保一体化施設に対するアンケート調査,幼保一体化に先進的に取り組んでいる自治体と,その自治体の考え方を最もよく表す旗艦施設に対するヒアリング調査と実地調査,さらに,いくつかの事例に対する終日観察調査による.
結果と考察
 本研究は,以下5つの研究成果としてまとめられる.
1)幼保一体型施設の現況に関する報告及び考察
 全国の施設に対するアンケート調査から,建物形態,運営形態,幼保一体化の経緯に着目して施設の類型化,現況分析を行った.さらに,この分析の結果を踏まえ,運営状況が異なる5つの施設を選定して実地観察調査を行い,幼保一体型施設の運営実態を示した.
2)自治体と旗艦施設へのヒアリング調査による幼保一体型施設の運営実態に関する報告
 幼保一体化を積極的に進めている自治体と,その自治体の考え方に基づく旗艦施設へのヒアリング調査および実地調査の結果に基づき,多様な先駆事例の運営実態や運営上の問題点・課題点を整理して,今後の幼保一体型施設計画に際しての基礎的な知見を導出した.
3)運営状況の相互関係と混合保育・活動場所の実態から見た幼保一体型施設の概況把握
 全国の幼保一体型施設に対する再度のアンケートを元に,運営形態,公立/私立の別,園の規模,混合保育の実施状況などの運営状況に着目してその相互関係の整理を行った.また,幼保一体型施設の特徴といえる活動場所の移動と延長保育時の活動場所を整理し,活動場所の移動が起こる要因などについてまとめた.
4)保育施設のトイレに関する環境行動研究
 保育施設におけるトイレ空間がこどもの自立的な行動を促す場であるという視座に立って,園生活におけるトイレ環境や保育プログラムのなかでの排泄行為の位置づけ,トイレとその周辺での排泄・遊び・交流・移動行動,などについて整理した.
5)幼保一体型施設における年齢に応じた環境行動に関する考察
 保育形式の異なる2園の子どもの行動と,それに対する環境の影響を調査した.この結果,与えられる環境の違いがとりわけ3歳児の活動量や体験する遊び,人間関係の構築に影響をもたらしていることが確認された.
結論
 幼保一体化施設の現状と,運営上の課題点や問題点を整理し,それを克服するための建築的な配慮点の一端を示した.

公開日・更新日

公開日
2007-06-26
更新日
-