病院ボランティア普及モデル(厚生労働科研版)の東アジア風土における検証:定着・拡大・応用に関する研究

文献情報

文献番号
200601046A
報告書区分
総括
研究課題名
病院ボランティア普及モデル(厚生労働科研版)の東アジア風土における検証:定着・拡大・応用に関する研究
課題番号
H18-政策-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
信友 浩一(九州大学大学院医学研究院医療システム学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 安立 清史(九州大学大学院人間環境学研究院)
  • 稲津 佳世子(九州大学大学院医学研究院医療システム学教室)
  • 小川 全夫(山口県立大学大学院健康福祉学研究科)
  • 大谷 順子(九州大学言語文化研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,174,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の病院ボランティア普及・定着・拡大・応用のために必要な基盤整備に関して、欧米型モデルによらない東アジア諸国の病院ボランティアの実態を検証し、東アジア風土に適した日本型モデルの確立ならびに東アジア諸国への拡大・応用を目的とした。

研究方法
中国・韓国・香港・タイ・シンガポールを対象とし、各国の医療システムにおける病院ボランティアの位置付けや医療機関の対応に関する文献考察、現地調査などを行った。
また、昨年に引き続きアメリカ病院ボランティアディレクター協会のボランティア・マネージメントに関する手法や教育法などに関して調査した。アメリカの医療行政における病院ボランティアの位置付けや、リスクマネージメントなどに関する協会の関与について文献考察や現地での聞き取り調査を行った。
それらの結果を踏まえ、実地の医療機関を対象とするコーディネーター養成講座を実施し、わが国での活用を検討した。

結果と考察
今回メディカル・ツーリズムを狙い、サービスの質を重視する私的病院のみ調査したタイを除き、調査した諸国では、医療機関と地域社会の結びつきが重視され、わが国以上に積極的なボランティア活動が観察された。こうした大規模な病院ボランティア活動を支えるにはコーディネーターの存在が不可欠で、専任コーディネーターの雇用やボランティア・マネージメントに関する研修やマニュアルの提供を国家組織的に提供していることがわかった。さらに、国家的にボランティア活動を支えるための法的整備や基盤づくりなども進行していた。
 北京オリンピックを控え中国はまだボランティア活動萌芽期であるが、病院ボランティアに関しては早くから普及していた。
 各国で病院ボランティア活動は、医療機関のサービス量増加のための人的資源に留まらず、地域住民の健康教育、徳育教育などの場としての価値が見出されていた。
わが国の医療機関には、他国のようなボランティア・マネージメントに関するマニュアルの提供などのバックアップがなく、受け入れに不安を感じていることがわかった。

結論
東アジア風土においても病院ボランティアは充分普及可能であり、医療機関は徳育、健康、死生観教育の場として期待される。しかし、わが国で医療福祉行政におけるボランティア活動のさらなる普及・定着・拡大のためには、コーディネーターの存在が必須であり、彼らの研修、教育のための包括的な支援が求められる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-27
更新日
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