介護保険制度改正にともなう予防重視効果の検証ー介護予防ケアマネジメントシステムの構築を目指して

文献情報

文献番号
200601044A
報告書区分
総括
研究課題名
介護保険制度改正にともなう予防重視効果の検証ー介護予防ケアマネジメントシステムの構築を目指して
課題番号
H18-政策-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大川 弥生(国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 隆次(日本介護支援専門員協会)
  • 楠 正(日本薬剤疫学会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)平成17年の介護保険制度改正における予防重視への大転換の効果を、介護予防の要と位置づけられた「生活機能」及び「生活不活発病」への効果について複数自治体で検証し、それを通じて、2)生活機能向上にむけた介護予防ケアマネジメントシステム構築のあり方を検討する。
研究方法
初年度は主に以下を行った。
○介護保険制度改正前後の介護予防効果の比較検討のための自治体単位での生活機能調査:既に改正前に調査開始した3自治体に加え、今年度1自治体で実施。(非要介護認定者 N=2,233、要介護認定者 N=457)。
○制度改正前後の生活機能の実態分析による、介護予防ケアマネジメントの課題の明確化(非要介護認定者 N=14,734、要介護認定者 N=3,066)。
○介護予防ケアマネジメントに携わる専門職に関する認識調査(改正直後及び1年後)(N=2,354)
結果と考察
○生活機能調査において活動の評価点に0:普遍的自立、1:限定的自立の区別をたてることで、一見問題がないように見える非要介護認定群にも少なからず「潜在的」生活機能低下者がおり、これらも介護予防の重要な対象であることが判明した。この評価点は効果判定にも有用である。
○介護予防ケアマネジメントに関与する介護支援専門員等の専門職は、生活機能及び生活不活発病の重要性自体は認識している。しかし、その評価及び具体的対応については改正のほぼ1年後においても十分には対応できていないとの認識をもっている(例:2007年3月、1県を対象、7割強が生活不活発病のケアマネジメント立案が「難しい」「とても難しい」としている)等、多くの課題が認められた。
○生活不活発病予防・改善の要である実用歩行(活動の「質」)向上及び生活活動性(活動の「量」)向上に向けてのケアマネジメントが不十分である。実用歩行では歩行補助具の活用が不十分であり、生活活動性向上指導も不十分で、「参加」レベルでも課題は多い。非要介護認定者のみでなく要支援・軽度要介護認定者でも就労等の参加向上の希望が少なくなく、インフォーマルサービスの活用等、多くの課題がある。
結論
○介護予防の対象として活動の限定的自立者を重視する必要がある。
○介護予防ケアマネジメントに関与する介護支援専門員等の専門職は、生活不活発病やICFの重要性は認識しているが、それらに対応する介護予防ケアマネジメントの具体的技術面の向上が課題である。

公開日・更新日

公開日
2007-05-14
更新日
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