「日常生活圏域」設定による介護行政の変化と政策効果に関する研究

文献情報

文献番号
200601043A
報告書区分
総括
研究課題名
「日常生活圏域」設定による介護行政の変化と政策効果に関する研究
課題番号
H18-政策-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
平野 隆之(日本福祉大学社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 野口 定久(日本福祉大学社会福祉学部 )
  • 原田 正樹(日本福祉大学社会福祉学部 )
  • 小林 良二(東洋大学社会学部)
  • 高室 成幸(ケアタウン総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,125,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本調査研究は、介護保険制度改正に対応した介護行政の円滑な運用を目指して、「日常生活圏域」の設定による介護行政の変化と政策効果について検討を行うものである。本研究の最終の目的は、圏域を基盤とした地域介護システムの普及についての誘導方法を把握し、それが事業運用面にどのような効果を上げるかについて検証を行うものである。

研究方法
1)給付実績分析ソフトの開発とデータベースの構築
2)市町村への訪問・ヒアリング調査とアンケート調査の実施
3)改正介護保険における自治体の新たな役割に関する研究セミナーの開催
結果と考察
1)給付実績分析ソフトの開発においては、2006年8月に全国指導監査担当課長会議において全国自治体に紹介され、2007年3月31日現在において741保険者に普及している。これによって制度改正による事業実績の変化等、政策効果の測定が可能となった。
2)自治体アンケート調査からは次の2点を把握した。
 自治体アンケート調査では、①日常生活圏域の設定状況は、概ね厚生労働省が示したガイドラインに沿った圏域あたり人口2万?3万人程度を目指した設定が行われた傾向が把握された。また、日常生活圏域を設定した基準は、学校区・行政区(79.4%)が最も多く、地域福祉計画のエリアの整合性に配慮したのは5保険者(7.9%)に留まった。
②新規業務である地域密着型サービスの指定、指導・監査を所管する行政組織では、多くの保険者で介護保険課・係であること(88.3%)が確認され、サービスの質に関与するために新たな組織化を行った保険者は全体の16%に留まった。

結論
1)改正介護保険制度に対応した「給付実績分析ソフト2006」を開発した。給付実績の指標化におけるサービスパッケージ別分析視点の導入によって、サービス提供事業者(特に、介護支援専門員)と地域ケアを協議する際に有用である可能性が把握された。
2)地域包括支援センターが圏域を単位とし、圏域マネジメントを主導する主体としての運営が求められる。圏域設定による政策効果を生み出すには、公平性重視と地域特性を活かす施策の整理が重要である。
3)地域密着型サービスの指定、指導等、サービスの質に係る業務の遂行は、専門性と公共性を有する地域包括支援センターと連携し、地域ごとにサービスの質を高めていくことが求められる。しかし、ケアの質を扱う行政部署を新設した保険者は少ない。
4)日常生活圏域の設定を活かした総合的な地域介護システムの構築に関して、地域包括支援センターをコミュニティソーシャルワーク(CSW)の中核的実施機関として期待する傾向があることが把握された。


公開日・更新日

公開日
2007-06-26
更新日
-