レセプトデータでみる医療費適正化政策の有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200601035A
報告書区分
総括
研究課題名
レセプトデータでみる医療費適正化政策の有効性評価に関する研究
課題番号
H18-政策-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会(財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 達郎(財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会)
  • 田近栄治(一橋大学 国際・公共政策大学院)
  • 満武巨裕(財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会)
  • 今野広紀(財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会)
  • 増原宏明(国立長寿医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、診療報酬明細書(レセプトデータ)を用いて、保険者における医療費の決定・増加要因を分析し、医療費適正化の効果を実証的に明らかにすることを目的とする。
研究方法
 本研究は、レセプトデータを用いて実施した。データには、個人ID番号・生年月日・年齢・性別・保険種別・疾病分類コード・診療区分・受診年月・医療機関コード・決定点数・薬剤一部負担金額・診療実日数等の情報が含まれる。
結果と考察
 基礎集計・記述統計から、事業所別医療費に差異があった。原因は、一部の高額医療消費者によるものであり、従ってこれらを除外した場合には一人あたり医療費の差異は縮まった。
 40歳以上の特定健診対象者の医療費分析では、1件当たり医療費が入院・外来ともに被扶養者の方が高く、1件当たり日数が被扶養者の方が長かった。疾病構造は、被保険者で入院医療費が最もかかっていた疾病は「腰椎椎間板ヘルニア」であり、一方、被扶養者で入院医療費が最もかかっていた疾病は「統合失調症」であり、被保険者の被扶養者では疾病構造が異なることが示された。また、被保険者で外来医療費が最もかかっていた疾病は「高血圧症」、次いで「糖尿病」であり、被扶養者も類似の傾向を示した。特定健診・保健指導の実施により75歳未満の生活習慣病に係る医療費を25%抑制させた場合を想定して医療費推計をしたところ、5.0%の削減効果が見込まれることが示された。
 乳幼児の分析からは、0歳-6歳のレセプト件数は全体の21.5%と大きな割合を占めた。疾病構造は、各歳別にみたときに入院医療費の構成割合が高い0歳児は先天的な原因であるものが上位を占めていた。外来医療費は、いずれの年齢においても呼吸器系疾患に係る医療費が占める割合が高くなっていた。
結論
 事業所別医療費の差異は、一部の高額医療消費者によるものであり、従ってこれらを除外した場合には一人あたり差異は縮まった。
 40歳以上の特定健診対象者では、被扶養者の1件当たり医療費が高く、1件当たり日数も長かった。生活習慣病に係る医療費を25%抑制させた場合、-5.0%の医療費削減効果が見込まれることが示された。
 乳幼児は、各歳別にみたときに入院医療費の構成割合が高い0歳児は先天的な原因であるものが上位を占めた。外来医療費は、いずれの年齢においても呼吸器系疾患に係る医療費が占める割合が高くなっていた。

公開日・更新日

公開日
2007-07-04
更新日
-