自治体・保険者レベルの健康推進・医療施策の費用対効果の継続的検証とデータ基盤構築に関する研究

文献情報

• 文献番号: 200601033A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: 自治体・保険者レベルの健康推進・医療施策の費用対効果の継続的検証とデータ基盤構築に関する研究
• 課題番号: H18-政策-プロ-002
• 研究年度: 平成18(2006)年度
• 研究代表者(所属機関): 今中 雄一(京都大学 医学研究科)

研究分担者(所属機関)

• 石崎達郎(京都大学　医学研究科 )
• 関本美穂(京都大学　医学研究科 )
• 林田賢史(京都大学　医学研究科 )

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
• 研究開始年度: 平成18(2006)年度
• 研究終了予定年度: 平成18(2006)年度
• 研究費: 4,625,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

当研究の目的は、自治体・保険者が保健医療介護の諸計画を立案し評価向上するための、データベースの構築とその活用方法を具体的に示すことである。

研究方法

保健医療介護の諸計画に活用できるように、具体的課題を解決する設計を行い、自治体・保険者の有す基盤的データベースを構築する。分析プロトコルを設計し、実際に症例から医療圏や都道府県での分析を行う。

結果と考察

(Ⅰ)保健医療介護に関する自治体・保険者の有する基盤的データベースを、情報保護等の諸課題を具体的に解決して設計し、現実的に構築することができた。
(Ⅱ)地域の医療計画、健康増進計画、介護保険事業計画、医療費適正化計画など健康・介護関係の諸計画に資する健康診査、国保医療費、介護保険要介護認定、介護給付費の諸データを統合的に活用する方法論を研究開発し設計することができた。
(Ⅲ)健康診査・医療費・介護費データの分析を実施し分析成果の実例を示した。
(Ⅳ)診療報酬関連データの詳細分析を実施し分析成果の実例を示した。
(Ⅴ)二次医療圏別老人医療費高低の関連要因を多変量解析し、今後の医療費適正化に具体的に役立つ情報例として暫定的に関連要因を示すことができた。
(Ⅵ)二次医療圏別医療資源の需給バランスを分析し、今後の地域医療計画等諸計画に具体的に役立つ情報例として地域差を可視化することができた。
高齢化が急速に進み社会保障制度の財務状態も厳しい我が国では、活力ある社会へ向け、健康増進、生活習慣病や要介護状態の予防をもって健康寿命を延伸し生活の質向上を実現するという社会的ニーズが一層高まっている。その鍵を握る自治体や保険者が、データに基づき系統的・計画的に諸々の施策を計画し実施することが希求されている。当該研究成果とその発展は、その社会的ニーズに対応し、自治体や保険者のデータの活用体制の進展に役立つであろう。

結論

本研究成果は、保健医療介護の諸施策のための分析プロトコルの一端を示し、データ分析・計画立案システムの仕様設計に通じるものである。
これを発展させることにより、自治体による保健医療介護の諸施策（医療、健康増進、介護保険事業、医療費適正化など諸計画）の立案と評価・向上、被保険者のための国保等の保険者機能強化が、有限資源の下で最大限の効果を上げ、社会保障制度の安定的継続と国民生活の質向上に資することができるであろう。

公開日・更新日

• 公開日: 2007-04-06
• 更新日: -

行政効果報告

• 文献番号: 200601033C

成果

• 専門的・学術的観点からの成果: 健診データと国民健康保険医療費データを突合し、医療費の多寡に関連する健康状態やライフスタイル要因を分析した研究は、国内外で報告が散見される。しかし、本研究のように、健診データと国保医療費データ、さらに介護保険給付費データを突合し、保健活動・医療・介護を包括的に捉え、介護・医療ニーズの関連要因を同定すると同時に、医療費・介護費の経時的変化を捉えようとする研究は、本研究が本邦初であり、欧米諸国においても、本研究に類似する研究は限定的である。このような点から、本研究は学術的にたいへん重要な研究である。
• 臨床的観点からの成果: 疾病予防活動や医療・介護サービスの効率的な提供が保険者に課せられている現在、健診データから健康状態を予測することはもちろん、疾病や要介護状態の発生、そして医療・介護に必要とされる費用を把握するという点からも、本研究は疾病予防活動の効果を評価することが可能となる重要な研究である。この解析結果を健康増進活動や臨床活動に従事する第一線の保健医療スタッフに示すことで、疾病予防・介護予防をにらんだ包括的な保健・医療活動に資するものである。
• ガイドライン等の開発: 該当なし
• その他行政的観点からの成果: 自治体レベルにおいて、特定健診・保健指導の実施とその効果を評価するためのフレームワーク構築について、本研究成果が検討された。
• その他のインパクト: 県行政、県レベルの協会・団体で主催されるシンポジウム等で発表。; さらに、H２０年度にも医療関連制度の再構築に向けて自治体レベルの検討に使用された。

発表件数

• 原著論文（和文）: 2件
• 原著論文（英文等）: 9件
• その他論文(和文): 9件
• その他論文(英文等): 0件
• 学会発表(国内学会): 26件
• 学会発表(国際学会等): 9件
• その他成果(特許の出願): 0件 ; 「出願」「取得」計0件
• その他成果(特許の取得): 0件
• その他成果(施策への反映): 2件
• その他成果(普及・啓発活動): 1件

主な原著論文20編（論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る）

• 原著論文1: Ishizaki T, Imanaka Y, Oh EH,et al.; Association between patient age and hospitalization resource use in a teaching hospital in Japan. (in press); Health Policy
• 原著論文2: Hayashida K, Imanaka Y, Fukuda H. ; Measuring hospital-wide activity volume for patient safety and infection control a multi-centre study in Japan.(in press).; BMC Health Services Research
• 原著論文3: Hayashida K, Imanaka Y, Sekimoto M,et al.; Evaluation of acute myocardial infarction in-hospital mortality by risk adjustment based on Japanese administrative data. (in press).; The Journal ofInternational Medical Research
• 原著論文4: Sekimoto M, Imanaka Y, Kobayashi H,et al.; Impact of hospital accreditation on infection control programs in teaching hospitals in Japan. (in press).; American Journal of Infection Control
• 原著論文5: Oh EH, Imanaka Y, Hayashida K.; Meta-analysis comparing clinical effectiveness of drug-eluting stents, bare metal stents, and coronary artery bypass surgery. (in press).; International Journal of Evidence-Based Healthcare
• 原著論文6: Hirose M, Regenbogen SE, Lipsitz S,et al.; Lagtime in incident reporting system at a university hospital in Japan. ; Quality and Safety in Health Care , 16 , 101-104 (2007)
• 原著論文7: Kuwabara K, Imanaka Y, Matsuda S,et al.; Profiling of resource use variation among six diseases treated at 82 Japanese special functioning hospitals, based on administrative data. ; Health Policy , 78 , 306-318 (2006)
• 原著論文8: Sekimoto M, Imanaka Y, Hirose M,et al.; Impact of treatment policies on patient outcomes and resource utilization in acute cholecystitis in Japanese hospitals. ; BMC Health Services Research , 6 , 40-40 (2006)
• 原著論文9: Kuwabara K, Imanaka Y, Ishizaki T. ; Quality and productive efficiency in simple laceration treatment.; Journal of Evaluation in Clinical Practice , 12 (2) , 164-173 (2006)
• 原著論文10: 福田治久，今中雄一.; 感染制御に係るコストとコスト計算の質の評価．; 病院管理 , 44 (2) , 67-75 (2007)
• 原著論文11: 小林寛伊，大久保憲,他; 臨床研修指定病院における病院感染制御の取り組みの実態調査．; 環境感染 , 21 (3) , 200-208 (2006)

公開日・更新日

• 公開日: 2014-05-21
• 更新日: -