子ども家庭福祉分野における家族支援のあり方に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200601032A
報告書区分
総括
研究課題名
子ども家庭福祉分野における家族支援のあり方に関する総合的研究
課題番号
H18-政策-プロ-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 重宏(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,625,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年では子どもの保護だけでなく子どもが家族再統合後に帰る家族,特に親への支援が重要視されるようになった.児童相談所では,家族再統合の技法を模索されている.本研究では,改正児童虐待防止法4条5号に規定される調査研究の一環として,ファミリープリザベーションの達成のため,親族や地域の資源などのインフォーマルな資源を生かしながら,実践モデル及びアプローチ開発,実施・研修体制の提言のため,次年度以降の研究計画を作成する.
研究方法
研究対象としたファミリーグループカンファレンスは,国際的に検討されている手法で,司法,児童相談機関といった専門機関だけでなく,父母以外の親族や近隣コミュニティも参画し,主体的な援助計画を策定する技法である.
児童福祉司に向けての研修会等を企画・実施し,日本子ども家庭総合研究所で1回,加えて3児童相談所でそれぞれ1回ずつ,計4回の講習会を開催した.その後,全国の児童福祉司への悉皆調査を行ない,意思決定における家族・親族・近隣の参画などの有効性について把握した.最終的に,事務局にて研究計画を作成し,研究会にて検討した.
結果と考察
講習会後のアンケート結果では,ファミリーグループカンファレンスの必要性に関しては,意志決定への家族やコミュニティの参画は有効と捉えられた.全国調査では,児童相談所への導入可能性については,「わからない」を除くと6割が導入可能であると考えており,有効な局面については,施設や一時保護所退所時,およびケース終了時などに有効性が高いと回答された.有効性と導入可能性について,学習機会があった児童福祉司は8割が有効と回答した.日本における家族再統合に有効な援助枠組みを構築するため,世界的に活用がなされているファミリーグループカンファレンスについて,その有効性と日本での具体的な活用方法,および研修プログラム等について研究計画を作成した.
結論
児童相談所をはじめとする実践現場における家族再統合等で,児童相談所の児童福祉司,および児童養護施設のファミリーソーシャルワーカーが援助を行う枠組みとして有効性が期待できると共に,精神医学的側面からの援助や,心理療法やペアレンティングなどの幅広い技法や援助も有機的に組み入れられる.また家族を支える親族やコミュニティの主体性醸成も期待できる.児童福祉司,および児童相談所長等の研修等に取り入れていくことも有効だと考えられる.

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200601032C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ファミリープリザベーション(家族再統合、家族維持)を行なうにあたって、日本の現状では、専門家(児童相談所)が専門的知識を持ってアプローチすることだけが考えられがちである。しかし、各国で採用が進んでいるファミリーグループカンファレンスの活用は、家族、親族、地域といった資源を活用することは有意義であり、かつエンパワーメントを促進するための有効な枠組みづくりとなる可能性が示唆された。
臨床的観点からの成果
児童相談所等の実践現場では、家族再統合の取り組みが手探りで行われている。本研究により、親族,コミュニティの資源を最大限活用することにより,児童相談所をはじめとする多忙な援助機関が必ずしも常に関われる状況にない中で,より有効な援助枠組みが構築できる可能性が示唆された。
ガイドライン等の開発
日本における家族再統合に有効な援助枠組みを構築するため、世界的に活用がなされているファミリーグループカンファレンスについて、その有効性と日本での具体的な活用方法,および研修プログラム等について試行した。
その他行政的観点からの成果
検討段階につき、現状ではなし。
その他のインパクト
家族再統合や、また活用したファミリーグループカンファレンスについて、新聞にシリーズで取り上げられた。特に、シリーズとして特集を組んだ新聞社もあった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-