地域のプライマリケア医機能評価に関する実証研究

文献情報

文献番号
200601030A
報告書区分
総括
研究課題名
地域のプライマリケア医機能評価に関する実証研究
課題番号
H17-政策-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
福原 俊一(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 尾藤 誠司(国立病院機構東京医療センター臨床研究センター)
  • 渡部 一宏(財団法人聖路加国際病院 薬剤部)
  • 松村 真司(松村医院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,496,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、地域のプライマリケア医が果たすことが期待されている役割に関して、患者および国民のニーズと医療資源の効率的・効果的使用の二つの見地から検証することを目的とした。
研究方法
研究事業① 降圧剤服用患者における服薬知識・服薬状況ならびに患者の生活背景因子に関する担当医の熟知度に関する観察研究。高血圧症患者(病院 400名、診療所400名)対象に全国8都市13か所の調剤薬局で質問紙および処方箋調査が行われた。
研究事業② かかりつけ医からの紹介の有無と適切なMRI・MRA利用との関連性に関する症例対照研究。MRI診断機器を持つ6箇所の総合病院において放射線読影結果および診療録を用いて行った。
研究事業③ プライマリケア医が研究計画の作成段階からイニシアチブをとり臨床研究を行うため、プライマリケア医を対象としたワークショップ(WS)を行った。
結果と考察
研究事業① 薬剤知識提供・生活背景情報の双方において地域の診療所医師は病院の医師とは変わらない結果であった。地域の医師の利点を明確にするためには、患者の意欲に左右されない情報保持方法の開発、およびかかりつけ調剤薬局の薬剤師と連携・協力した患者教育を促進する政策立案が必要である
研究事業② 検査上の臨床的有意所見をアウトカムとした場合、かかりつけ医の紹介があることは有意にアウトカムと関連を持った(オッズ比1.6、95%信頼区間1.1-2.4)。かかりつけ医を経由することで、一般的な症状に対するスクリーニング機能が働き効率的な医療の提供が行われており、かかりつけ医の役割を立証する根拠になると思われる。
研究事業③ 本WSはプライマリケア医に研究の方法論を学ぶ機会を提供するとともに、研究者のネットワーク作りに有用であった。本事業は、研究参加者が研究フィールドを提供すると共に、研究班のサポートのもと臨床研究手法の学習機会を得る新しい事業のモデルにもなると思われる。
結論
本年度は2つの実証研究を実行し、さらにプライマリケア医による多施設共同研究に着手した。今後さらに研究実施を続け、わが国のプライマリケア医の国民の健康や医療サービスの効果的使用に貢献度を明示する予定である。これらより、政策決定や病院・診療所の機能分化を推進する際の理論的基盤を策定できると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-04-06
更新日
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