生活保護における自立支援プログラムの検討

文献情報

文献番号
200601029A
報告書区分
総括
研究課題名
生活保護における自立支援プログラムの検討
課題番号
H17-政策-一般-022
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
布川 日佐史(国立大学法人静岡大学人文学部)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 秀雄(大阪市立大学大学院法学研究科)
  • 瀧澤 仁唱(桃山学院大学法学部)
  • 武田 公子(金沢大学経済学部)
  • 前田 雅子(関西学院大学法学部)
  • 上田 真理(福島大学行政政策学類)
  • 嵯峨 嘉子(大阪府立大学人間社会学部)
  • 嶋田 佳広(札幌学院大学法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,801,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 生活保護制度を「利用しやすく、自立しやすい制度」へ改革するという社会保障審議会福祉部会生活保護の在り方に関する専門委員会報告」(平成16年12月)を受け、平成17年度より全国の福祉事務所は自立支援プログラムの策定・実施に取り組んでいる。
 本研究は、生活保護における自立支援の円滑な実施と定着に向けた包括的政策提言をめざすものである。
研究方法
 第一に、自立支援プログラムの導入によって現場ケースワーカーと生活保護受給者双方を活性化させてきた福祉事務所の積極的実践事例を検討し、プログラム策定過程やプログラム参加への動機付けと自立支援ニーズの掘り起こしなどに関する具体的経験と成果をまとめた。
 第二に、受給要件やその判定基準、受給者の意思や同意、不利益変更の手続きと基準、多様な社会資源の活用を保障する財源と国と地方の事務分担のあり方など、制度改革につながる理論的課題については、ドイツとの比較研究もふまえ、検討を進めた。
結果と考察
 前者に関する研究成果を、布川日佐史編著『生活保護自立支援プログラムの活用1- 策定と援
助』(山吹書店、2006年11月)として出版した。
 自立支援プログラム2年目の成果と課題として重要なのは、生活保護受給者の日常生活社会生活支援ニーズを充足できてこなかったことへの対応として自立支援プログラムを活用するという姿勢と、生活保護ケースワーカーの仕事そのものの効率化のために自立支援プログラムを活用するという姿勢との、両者があいまってプログラムの策定と積極的な援助実践が進んでいるということである。
結論
 現時点ではこうした姿勢に立つ福祉事務所はまだ少数である。先進事例を全国に広げるには、次の二つが必要である。
 第一に、自立支援プログラムの策定・実施において、ケースワーカーと受給者とを活性化する仕掛けを作る必要がある。ケースワーカーと受給者の間の信頼関係の回復や、受給者同士の関係性の構築などを具体的に進めることが、自立支援が効果をあげる鍵である。
 第二に、自立支援サービスの法的位置づけの確定と、保護の要件、指導指示や不利益変更処分の在り方の見直しなど、生活保護制度そのものの改革が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-