生活保護の相談援助業務に関する評価指標の開発と、指標の業務支援ツールとしての応用に関する研究

文献情報

文献番号
200601027A
報告書区分
総括
研究課題名
生活保護の相談援助業務に関する評価指標の開発と、指標の業務支援ツールとしての応用に関する研究
課題番号
H17-政策-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
森川 美絵(国立保健医療科学院福祉サービス部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 卓(首都大学東京 都市教養学部)
  • 新保 美香(明治学院大学 社会学部)
  • 根本 久仁子(聖隷クリストファー大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,353,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、生活保護の相談援助業務に関する評価項目・指標の開発を行い、それらの業務支援ツールとしての応用可能性について検討するものである。本年度の目的は、プロセス評価項目案の設定・試行・妥当性の検討と、利用者評価の検討である。
研究方法
次の4点を行った。
1)生活保護における自立支援についての理論・制度政策分析。
2)実務者向けプロセス評価項目案の策定:援助過程の項目化(昨年度)を応用し、評価項目案を策定した。
3)自己評価の試行と妥当性の検討:7福祉事務所の生活保護担当に、評価項目案に対する意識について郵送自記式の質問紙調査を実施した。配布数計224、回収数計188、回収率計83.9%。
4)利用者評価の検討:生活保護援助過程に関する当事者団体へのヒアリングと団体会員へのグループ・インタビューにより、当事者団体の果たす役割等を把握した。実務者の評価項目案と対応した利用者評価項目案にもとづき、数名の利用者から聞き取りを行った。
結果と考察
1)自立支援の含意は、利用者の主体性と制裁的要素を持ち込まない関わりの尊重にあり、評価項目にも反映される必要がある。
2)6過程82項目からなるプロセス評価項目案が設定された。
3)現業員には、援助計画の策定や見直しの過程があまり意識されていなかった。記録の整備や組織的対応は、全般に強く意識されていた。援助計画策定における関係者との協議役割分担や利用者参加、決定事項の理由と不服申し立てに関する説明に関する項目は、あまり意識されていなかった。
4)当事者団体は、権利擁護活動および利用者のエンパワーメント、利用者の精神的支えと連帯の場といった役割を担っていた。利用者には、受付段階での傾聴的・受容的な態度や生活保護申請にかかわらず相談に寄与すること、保護実施中の就労に向けた指導指示以外の相談援助活動について、十分とはみなされていなかった。援助計画策定の過程で、利用者の意向は聴取されず、その見直しについても、利用者は説明を受けず実施されているとの認識もなかった。
結論
評価項目案は、援助プロセスの具体的見直しに有効である。評価項目の妥当性に関わる課題として、意識していない割合の高い項目の吟味、全過程共通する援助の留意点という単位での精選と修正、組織レベルの変数の取り扱いの検討、当事者団体が担っている役割の反映等がある。また、評価への利用者参加の仕組みづくりには、多くの課題がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-