将来人口推計の手法と仮定に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200601023A
報告書区分
総括
研究課題名
将来人口推計の手法と仮定に関する総合的研究
課題番号
H17-政策-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
金子 隆一(国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 太(国立社会保障・人口問題研究所企画部)
  • 岩澤 美帆(国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子高齢化が進み、人口減少へと向かう現在、将来推計人口の重要性はかつてない高まりを見せている。しかし前例のない出生低下、長寿化、さらに国際化にともなう国際人口移動の変動は、人口動態の見通しをきわめて困難なものとしている。本研究は、将来人口推計の科学的な在り方を包括的に検討し、その新たな科学的枠組みを構築することを目的として、(1)有効な手法の探索・応用・開発を行い、(2)出生低下、長寿化、人口国際化に対する研究分析と動向分析を行うこととしている。
研究方法
本研究においては、第一に推計の枠組みについて検討を行い、コーホート要因法の再検討、ならびに確率推計手法、シミュレーション技法等の有効性を検討する。第二に人口動態率推計の先端的な手法、モデルについて有効性と限界の検証を行い、わが国近年の出生低下、長寿化へ応用の可能性を検討する。第三に推計の実施や国際比較に必要な横断的、時系列的データの把握と分析を行う。
結果と考察
まず将来人口推計の役割、課題等を検討し、従来のコーホート要因法を出生等の国籍を考慮する形式に改良した。次に各国公的推計の手法、仮定等について比較した。また確率推計を新たな推計に適用するなど不確実性の分析を行った。出生については仮定設定の枠組みを再構築するとともに国籍による精密化ならびに離死別再婚効果等の精密化が図られた。死亡率についてはLee-Carter法を改良し、世界の先頭を行くわが国の状況に適合させた。国際人口移動については相手国の地域・国別の動向分析を行った。すなわち本年度は、各国推計の精査、枠組みの検討、出生・死亡・国際人口移動の動向分析とモデル、仮定設定の課題の検討、新たな方式の開発等が行われ、実際の将来人口推計に対する応用が成された。
結論
本年度は、将来人口推計に必要な実践的手法の検討、開発、改良等を行い、合わせてこれに必要なデータ、文献、情報等の収集が成された。結果としてそれらは新たな公的将来人口推計に反映された。その結果は恒常的減少を開始したわが国人口の将来像を描き、政策的重要性が高いとともに、動向分析ならびに手法の洗練は出生低下、長寿化、人口国際化等の人口変動メカニズムの科学的解明に寄与し、科学的な根拠に基づく政策形成に(evidence-based policy making)資するものと考えている。

公開日・更新日

公開日
2007-05-15
更新日
-