就業形態の多様化に対応する年金制度に関する研究

文献情報

文献番号
200601018A
報告書区分
総括
研究課題名
就業形態の多様化に対応する年金制度に関する研究
課題番号
H17-政策-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 年金シニアプラン総合研究機構(財団法人 年金シニアプラン総合研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 駒村 康平(年金シニアプラン総合研究機構)
  • 丸山 桂(成蹊大学経済学部)
  • 山田 篤裕(慶應義塾大学経済学部)
  • 福山 圭一(年金シニアプラン総合研究機構)
  • 藤本 征爾(年金シニアプラン総合研究機構)
  • 溝端 幹雄(年金シニアプラン総合研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,709,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 正規労働者を前提として整備されてきた年金制度は、近年の雇用環境の変化への対応が迫られており、その一つの選択肢としてこれまで未適用であった非正規労働者への適用拡大が挙げられよう。本報告書では就業形態の多様化の現状整理、要因分析、今後の方向性の考察を実施し、制度の一元化など就業形態多様化を包含する年金制度のあり方を検討し、提言を行った。
研究方法
 2年度目は、1年度目の調査結果や人口構造の変化等に関する先行研究も参考に、若年のフリーター・ニート・派遣等をターゲットにしたネットアンケート調査、厚生年金適用拡大の効果測定、雇用に関する高齢者への調査、わが国年金制度の対応の選択肢、について分析した。
結果と考察
 潜在的な第2号被保険者への被用者年金の適用を遵守すれば、国民年金の未納・未加入率は特に若年層で大きな改善効果が期待できること、パート労働者への厚生年金の適用拡大において新たな就業調整が発生する可能性は低いこと、国民年金では臨時等の完納率が低いこと、制度に関する知識の普及も納付行動に重要な影響を与えること、などがわかった。また、年金財政に関するシミュレーションでは、高齢者のうちパートタイム労働者や70歳以上の者に対する厚生年金適用により、相当年金の持続可能性が強固になることも分かった。
 適用拡大問題の成否は、事業主側の拠出逃れをいかに抑制するかにかかっている。また、多くの場合、労働供給側の就労調整による負の影響は少ないと考えられるが、在老適用漏れの防止は重要な課題である。さらに、近年の半額免除制度や多段階免除制度の導入により、こうした問題がどれほど改善されたかさらに検討する必要がある。
結論
 非典型労働者への厚生年金適用拡大の意義は、①就業形態の選択に中立的になる、②ライフコースが多様化しても一定の年金を保障できる、③厚生年金制度がもつ再分配効果の対象者が拡大し、老後所得格差の縮小に貢献できる、ことである。そのため、労使ともに就業調整ができない水準、就労形態の選択によって適用逃れができない範囲まで適用拡大を進めるべきである。但し、特に、短期間では事業主負担を転嫁できない中小企業に限定し、激変緩和のための経過措置は必要であろう。
 現在、厚生年金を従来の被用者年金にとどめるか否か再考の時期にあり、広い意味で非典型労働者も含めた年金制度に位置づけるかどうか、国民年金のあり方も含めて一層の議論が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200601018B
報告書区分
総合
研究課題名
就業形態の多様化に対応する年金制度に関する研究
課題番号
H17-政策-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 年金シニアプラン総合研究機構(財団法人 年金シニアプラン総合研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 駒村 康平(財団法人 年金シニアプラン総合研究機構)
  • 丸山 桂(成蹊大学 経済学部)
  • 山田 篤裕(慶應義塾大学 経済学部)
  • 福山 圭一(財団法人 年金シニアプラン総合研究機構)
  • 藤本 征爾(財団法人 年金シニアプラン総合研究機構)
  • 溝端 幹雄(財団法人 年金シニアプラン総合研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 正規労働者を前提として整備されてきた年金制度は、近年の雇用環境の変化への対応が迫られており、その一つの選択肢としてこれまで未適用であった非正規労働者への適用拡大が挙げられよう。本報告書では就業形態の多様化の現状整理、要因分析、今後の方向性の考察を実施し、制度の一元化など就業形態多様化を包含する年金制度のあり方を検討し、提言を行った。
研究方法
 1年度目は、わが国における雇用の流動化、特に非典型労働の増加が年金制度に与える影響を検証すべくアンケート調査研究を実施し、同時に海外諸国における同様の状況への対応方法やその現状を把握すべく調査研究を行った。2年度目は、1年度目の調査結果や人口構造の変化等に関する先行研究も参考に、若年のフリーター・ニート・派遣等をターゲットにしたネットアンケート調査、厚生年金適用拡大の効果測定、雇用に関する高齢者への調査、わが国年金制度の対応の選択肢、について分析した。
結果と考察
 年金の未加入・未納の増加による空洞化は、労働市場の流動化、非典型労働者の増加により強制徴収対象者が減少、自発的納付義務者が増加したことに起因する。また、潜在的な第2号被保険者への被用者年金の適用を遵守すれば、国民年金の未納・未加入率は特に若年層で大きな改善効果が期待できること、国民年金では臨時等の完納率が低いこと、制度に関する知識の普及も納付行動に重要な影響を与えること、などがわかった。
 適用拡大問題の成否は、事業主側の拠出逃れをいかに抑制するかにかかっている。また、多くの場合、労働供給側の就労調整による負の影響は少ないと考えられるが、在老適用漏れの防止は重要な課題である。
結論
 非典型労働者への厚生年金適用拡大の意義は、①就業形態の選択に中立的になる、②ライフコースが多様化しても一定の年金を保障できる、③厚生年金制度がもつ再分配効果の対象者が拡大し、老後所得格差の縮小に貢献できる、ことである。そのため、労使ともに就業調整ができない水準、就労形態の選択によって適用逃れができない範囲まで適用拡大を進めるべきである。但し、特に、短期間では事業主負担を転嫁できない中小企業に限定し、激変緩和のための経過措置は必要であろう。
 現在、厚生年金を従来の被用者年金にとどめるか否か再考の時期にあり、広い意味で非典型労働者も含めた年金制度に位置づけるかどうか、国民年金のあり方も含めて一層の議論が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200601018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
2年間の研究成果、具体的には非典型労働者や年金受給者(高齢者)に対する複数のアンケートや諸外国への事例調査、また、社会保険庁の個票データを基にした統計分析等により、今後の年金制度改革における議論に資する材料は提供できたと考える。今後は、当機構の機関誌「年金と経済」への掲載など研究成果の普及と、本研究の成果を踏まえた新たなる研究を進めることによって、内容を深めていく予定である。
臨床的観点からの成果
特になし。
ガイドライン等の開発
現時点で特になし。
その他行政的観点からの成果
現時点で特になし。
その他のインパクト
当機構の機関誌「年金と経済」26巻1号2号や、会計検査院の機関紙「会計検査研究」35号等に掲載予定。今後も様々な形で研究成果の普及に努める。

発表件数

原著論文(和文)
2件
(財)年金シニアプラン総合研究機構「年金と経済」26巻1号2号、および、会計検査院「会計検査研究」35号に掲載予定。
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
丸山 桂
就業形態の多様化と非典型労働者の公的年金適用問題
年金と経済 , 26 (1)  (2007)
原著論文2
駒村康平・山田篤裕
年金制度への強制加入の根拠-国民年金の未納・未加入に関する実証分析-
会計検査研究 ,  (35) , 31-49  (2007)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-