文献情報
文献番号
200601014A
報告書区分
総括
研究課題名
「たばこ規制枠組条約」を前提とした我が国のたばこ政策の政策評価-特に、規制インパクト分析及びプログラム評価-に関する研究
課題番号
H16-政策-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
土井 徹(国立保健医療科学院研究情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 細野 助博(中央大学総合政策学部)
- 松本 安生(神奈川大学人間科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2005年2月に発効した「世界保健機関たばこ規制枠組条約」を受け、我が国で実施されるであろうたばこ政策が社会にもたらすインパクトを多面的に予測・評価し、広く政策決定者や国民に情報提供することにより、国民の健康と経済を守るためのたばこ政策の合理的な政策形成に資することを目的とする。最終年度は特に市民参加と合意形成のプロセスや未成年者喫煙問題に焦点を当て、地域レベルでの具体的なたばこ政策の推進に寄与することを目指す。
研究方法
分担研究者の細野は、都内において小学校高学年児童及び中学生生徒に対し、たばこ・お酒に関する調査を実施した。分担研究者の松本は、インターネット等を利用して、英国のたばこ対策における規制インパクト分析の活用事例の検討を行った。
結果と考察
日本のたばこ対策においても、規制インパクト分析を現在のような単なる費用効果分析の道具ではなく、それをたたき台として合意形成を進めるためのツールとしての活用を前提として考えるべき、と示唆された。また、たばこ価格の上昇による喫煙率及び税収への影響に関するシミュレーションモデルの構築を試み、たばこ価格を値上げすることで、2020年度における喫煙率20%という目標を達成し、かつ、税及びたばこ農家などの原材料費等の収入を値上げにより減少させないという条件のもとでは、150円程度の値上げを行い、この値上げ額のうちの75%を税収入とし、残りの25%を原材料費等の収入とすることで達成可能との推計を得た。本年度の検討からは、規制に関しては定量的な分析資料が用いられるようになっていると同時に、その用途については、関係者の参加と合意形成のためのツールとされることが望ましいことが示唆された。またたばこ価格を上昇させたとしても、適切な配分により、喫煙率減少と税や原材料費等の収入を減少させない、という相反する目的が達成される可能性があることが示唆された。
結論
これらのことから、喫煙率減少、という健康分野からの視点による目標だけで議論を進めるのではなく、関係各方面への影響を評価する推計等の資料の有用性が想定された。今後は、関係者との議論を進める上で、こうした分析結果等の有効活用を検討すべきと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2007-07-04
更新日
-