文献情報
文献番号
200601013A
報告書区分
総括
研究課題名
主な医療行為に対するクリティカルパスの臨床評価指標及び経営管理指標を用いた評価方法の開発と医療機関経営に与える影響に関する研究
課題番号
H16-政策-一般-028
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
井口 厚司(国立病院機構九州医療センター泌尿器科)
研究分担者(所属機関)
- 向原 茂明(長崎県立島原病院)
- 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院)
- 武藤 正樹(国際医療福祉大学附属三田病院)
- 岩田 敏(国立病院機構東京医療センター)
- 野村 一俊(国立病院機構熊本医療センター)
- 羽金 和彦(国立病院機構栃木病院)
- 本多 正幸(長崎大学医学部医療情報部)
- 松本 武浩(長崎大学医学部医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
質の高い医療を追及している医療従事者は、自分たちの医療の質が他と比べてどうなのか、正しく評価できる共通の指標を求めている。これまでの評価は数値化しやすい主として結果指標にのみ基づいて行われていたが、これは医療の質の偏った評価である。現代の患者中心の医療は、診断・治療の成績評価のみでなくチームとして携わったすべての医療人、および医療施設環境などの質が同時に評価されなければならない。本研究は医療の質の3要素である構造、過程、結果を同時に評価できる共通の指標を開発することを目的とする。
研究方法
クリティカルパス(以下CP)はその施設の医療の内容と、医療の質の向上に対する姿勢を表現しているとの仮説のもとに、CPを評価することで医療の質を評価する、「クリティカルパスを用いた医療の質の評価指標」を開発した。この共通指標を用いて分担研究施設の主要疾患の自己評価を行い、評価結果および本指標の問題点と課題について検討した。また、同時にCP評価の研究実態の分析および本評価法を導入するための方法論についても検討した。
結果と考察
大項目「構造」の評価では、CP活動が積極的な施設では平均3.3?3.9と高いスコアであったが、2.0以下のCPが半数近くを占める病院もあり、CPに対する地域性あるいは施設としての組織浸透性に格差が認められた。大項目「過程」については、同一施設内においても各診療科で評価スコアが2.0〜3.7と幅があり、診療科の温度差があること、ICTやNSTのような組織横断的チームの関わりに差異があることがわかった。大項目「結果」の評価では、すべてのCPに共通の評価基準、看護師による臨床アウトカムを用いて結果の中に患者本位の指標を組み入れた結果、総合的な評価が可能となった。疾患特異的評価指標については今後ガイドラインとも照合した標準的な評価が必要であろう。評価指標は電子化することで効率的・公正な評価が可能となり、国民の望む医療機関の質の公示に有用となると考えられる。
結論
CPを共通の指標により構造、過程、結果の3つの要素に分けて評価した。構造、過程の評価においては本指標はCPに対する病院全体の姿勢や個別のパスにおける問題点を知る上で有用と考えられた。一方、結果の評価においては、総合的な評価が可能であったが、評価指標の項目の重点配分や評価時期、個別評価と全体評価のあり方など、今後検討すべき課題が判明した。
公開日・更新日
公開日
2007-04-23
更新日
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