医療等の供給体制の総合化・効率化等に関する研究

文献情報

文献番号
200601007A
報告書区分
総括
研究課題名
医療等の供給体制の総合化・効率化等に関する研究
課題番号
H16-政策-一般-019
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
島崎 謙治(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学大学院)
  • 葛西 龍樹(福島県立医科大学)
  • 大和田 潔(東京医科歯科大学)
  • 松本 勝明(国立保健医療科学院)
  • 佐藤 雅代(北海道大学公共政策大学院)
  • 山本 克也(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 米山 正敏(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 尾澤 恵(国立社会保障・人口問題研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1.医療等の供給体制の全体ビジョンと政策課題を明らかにし、2.地域包括ケアの推進など医療等の総合化・効率化の実現を図るための政策手段につき検討を行い、3.理論と実証に裏づけられた具体的な政策提言を行うことを目的とする。
研究方法
本研究は3年計画であり、1年目である平成16年度は、医療等の供給体制に係るグランドデザイン(全体ビジョン)を検討するとともに、プライマリ・ケアをめぐる問題など主要な個別課題の理論的・実証的検討に着手した。2年目である平成17年度は、地域包括ケアや家庭医の実践など先駆的な取組みを行っている地域の実態調査等を行うとともに、医療の質と効率性の向上や政策誘導手法等に関する理論的・実証的研究を行った。最終年である今年度(平成18年度)は、個別課題の検討を深化させたほか、医師と患者の関係など平成16・17年度に行うことができなかった論点につき研究を進めるとともに、3年間の研究を再構成し、研究の重点である家庭医の制度化および地域包括ケアの確立をはじめ各論点につき理想と現状のギャップを埋める具体的な方策と政策提言等のとりまとめを行った。
結果と考察
日本は在院日数が長く医療等の機能分化は最重要の医療政策であるが、医療政策の評価基準である1.医療の質、2.アクセス、3.効率性に照らし、分析検証する必要がある。医療の質を高めるためには、慢性期だけでなく一般病床(特に急性期病院)の機能分化・集約化とアウトカムによる適正評価が重要になる。機能分化は効率化にも資するが、転院等が増えれば、医師と患者の関係はその都度切断され、「情報伝達ロス」等が発生するので、連携が必要不可欠である。「情報伝達ロス」等を最小化するには、A.医療政策上「家庭医」を明確に位置づけ、質の高い「家庭医」の教育・研修・要請を図ることと、B.「家庭医」を中核に地域という「面」単位で関係職種の機能を組織化・総合化することが課題である。
結論
ドイツ、イギリスなどの他の先進諸国でも医療等の供給構造に踏み込む改革が顕著である。ただし、わが国には日本の医療供給体制の特徴や保険者の力量等を踏まえた「日本型改革」モデルの構築が必要である。今後の重点的な検討課題は、1.急性期医療の再編・集約化、2.後期高齢者医療費の包括化による効率化、3.在宅医療を含め多職種連携型の地域包括ケアの推進、4.費用対効果の高い健康管理の推進、などである。質が高くトレーニングされた「家庭医」の制度化は、これら諸課題解決のための基盤ともなり得る。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200601007B
報告書区分
総合
研究課題名
医療等の供給体制の総合化・効率化等に関する研究
課題番号
H16-政策-一般-019
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
島崎 謙治(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学大学院)
  • 葛西 龍樹(福島県立医科大学)
  • 大和田 潔(東京医科歯科大学)
  • 松本 勝明(国立保健医療科学院)
  • 佐藤 雅代(北海道大学公共政策大学院)
  • 山本 克也(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 米山 正敏(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 尾澤 恵(国立社会保障・人口問題研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1.医療等の供給体制の全体ビジョンと政策課題を明らかにし、2.地域包括ケアの推進など医療等の総合化・効率化の実現を図るための政策手段につき検討を行い、3.理論と実証に裏づけられた具体的な政策提言を行うことを目的とする。
研究方法
本研究では、1.医療等の供給体制の構造分析とグランドデザイン(平成16年度)、2.グランドデザインと現実との乖離の要因分析等に関する実証的検討(平成17年度)、3.グランドデザインを実現するための政策誘導手法の検討と政策提言のとりまとめ(平成18年度)という3つの「柱」に沿って個別具体的な研究テーマを設定し、検討を行った。
本研究では、1.学際的研究(医学・法学・経済学等のバックグラウンドを有する研究者の共同による学際的な研究アプローチ)、2.理論と実証の両面にわたる研究(医療経済学、公衆衛生学、法学等の理論的研究と、地域包括ケアの先駆的取組みや実験的取組み等を行っている地域や保険者の現地調査・データ分析等。)、3.国際比較研究(ドイツ、イギリス、スウェーデン等の国際的な改革動向との比較検証等。)を行った。
結果と考察
先進諸国の医療政策の重点は、医療保険制度改革などフィナンスサイドの改革からデリバリーサイドの改革にシフトしている。日本は在院日数が長く医療等の機能分化は最重要の政策課題である。ただし、機能分化は医師と患者の関係を「切断」させ、「情報伝達ロス」等を発生させるので、連携の強化が不可欠である。日本の医療供給体制の最大のアキレス腱は、家庭医ないしプライマリ・ケアが医療政策上明確に位置づけられておらず、病院と診療所、医療と介護等の「つなぎ」の部分が脆弱なことである。家庭医の教育・養成は、大学の医学教育において適切に位置づけられる必要がある。また、交通事故を前提に構築された救急医療システムの見直し、へき地・離島における医療の確保、わが国の実情等を踏まえた疾病管理や保健事業の構築等も重要な課題である。患者には「代理人」的な役割の存在が必要であり、その意味でも家庭医の制度化が求められる。
結論
今後の重点的な検討課題は、1.急性期医療の再編・集約化、2.後期高齢者医療費の包括化による効率化、3.在宅医療を含め多職種連携型の地域包括ケアの推進、4.費用対効果の高い健康管理の推進、などである。質が高くトレーニングされた「家庭医」の制度化は、これら諸課題解決のための基盤ともなり得る。医療供給体制の改革の全体のビジョンを明示するとともに、個別的政策相互の関連や優先順位を明確にすることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200601007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
12本の論文と、7件の学会発表、施策への反映で発表を行った。
臨床的観点からの成果
特になし。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
研究成果は、逐次医療関係者や行政関係者に提供し、在宅医療の推進など平成18年度の医療制度改革に反映されたものもある。また、『平成19年版 厚生労働白書 資料編』pp.32-36.で参照された。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
7件
1.郡司篤晃「イギリスのプライマリーケアに導かれた「第三の道」制度改革」『聖学院大学総合研究所紀要』34号など。
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
5件
1.島崎謙治「医師と患者の関係(上・中・下)」『社会保険旬報』2296-2298号、2.大和田潔「在宅医療の体験例と現状」『難病と在宅ケア』12巻9号など。
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
1.島崎謙治「日本における在宅医療の未来」(第8回日本在宅医療学会大会)、2.島崎謙治「医療政策の課題と展望」(第1回DPCマネジメント研究会学術大会など。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
平成18年度医療制度改革における在宅医療の推進、『平成19年版厚生労働白書 資料編』での参照等。主任研究者は、厚生労働省「医療施設体系の在り方に関する検討会」(平成18年7月設置)の委員。
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
川越雅弘、葛西龍樹、山田康介
北海道更別村における家庭医機能の地域展開とその効果評価-住民アンケート調査から-
日本プライマリ・ケア学会誌 , 30 (3) , 262-269  (2007)
原著論文2
本田達郎
フランス医療制度改革の現状と課題(フランスの社会保障改革が日本に示唆するもの 上)
社会保険旬報 ,  (2330) , 12-20  (2007)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-