既存添加物等の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200636047A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物等の安全性に関する研究
課題番号
H18-食品-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鰐渕 英機(大阪市立大学大学院医学研究科都市環境病理学)
研究分担者(所属機関)
  • 今井田 克己(香川大学医学部腫瘍病理学)
  • 中江 大(東京都健康安全センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
60,060,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 安全性が確認されていない既存添加物のうち, ラット肝発がん促進作用が明らかになったダンマル樹脂について1年間慢性毒性試験および2年間発がん性試験をラットに施行し, 3年間かけてその安全性を評価する. また, 栄養強化剤の用途として既存添加物名簿に収載されているアミノ酸の安全性評価の一環として, L-アスパラギンおよび L-アスパラギン酸の90日間反復投与毒性試験を実施する.
研究方法
1 ダンマル樹脂投与量を設定するために, 雌雄のF344ラットにダンマル樹脂を0, 2および5%の用量で粉末飼料にて28日間混餌投与した.
2 L-アスパラギンの90日間反復投与毒性試験では, 雌雄F344ラットにL-アスパラギンを0, 1.25, 2.5および5%の用量で混餌投与した.
3 L-アスパラギン酸の90日間反復投与毒性試験では, 雌雄F344ラットにL-アスパラギン酸を0,  0.05, 1.25, 2.5および5%の用量で混餌投与した.
結果と考察
1 ダンマル樹脂の投与用量は, 本年度に行った28日間反復投与毒性試験の結果と, 以前に施行されたラット肝中期発がん性試験の結果に基づいて, 1年間反復投与毒性試験では0, 0.03, 0.125, 0.5および2%を, 2年間発がん性試験では0, 0.03, 0.5および2%を設定した. 現在,動物実験は進行中である.
2 L-アスパラギンの90日間反復投与毒性試験の結果, 5%投与群で雄では脳, 腎臓, 精巣で相対重量の増加が,雌ではGLU, PL, K, ALTなどの有意な上昇が見られた. 病理学的所見は各投与群と対照群との間に有意な差はなかった.
3 L-アスパラギン酸の90日間反復投与毒性試験の結果, 尿検査において、雄の5.0%群のビリルビン陽性と, 1.25%以上群のケトン体および蛋白陽性の発生頻度が増加した. また, 雄の5.0%群で腎臓の相対重量が増加し, 病理組織学的検索において, 雄の2.5および5.0%群の腎臓で,管腔の拡張を伴った再生尿細管が高頻度に認められた. さらに, 雌雄の5.0%群で顎下線の腺房細胞の軽度な肥大が, 雌雄の2.5および5.0%群で耳下腺の腺房細胞の肥大が, それぞれ認められた.
結論
 本試験条件下におけるL-アスパラギンの無毒性量(NOAEL)は雌雄とも2.5%(雄1.65g/kg体重/day,雌1.73g/kg体重/day)と結論した. L-アスパラギン酸のNOAELは, 雄で0.05%(26.9 mg/kg体重/day), 雌で1.25%(715.2 mg/kg体重/day)と結論した.

公開日・更新日

公開日
2009-03-31
更新日
-