メタボリックシンドロームの動脈硬化症早期発見と治療を目的とした網膜病変解析の有効性に関する前向き調査

文献情報

• 文献番号: 200625004A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: メタボリックシンドロームの動脈硬化症早期発見と治療を目的とした網膜病変解析の有効性に関する前向き調査
• 課題番号: H18-糖尿病等-一般-004
• 研究年度: 平成18(2006)年度
• 研究代表者(所属機関): 荒木 栄一(熊本大学大学院医学薬学研究部代謝内科学)

研究分担者(所属機関)

• 谷原秀信(熊本大学大学院医学薬学研究部視機能病態学)
• 富永真琴(山形大学医学部医学科器官病態統御学講座液性病態診断医学)
• 山下英俊(山形大学医学部医学科情報構造統御学講座視覚病態学分野)
• 小堀祥三(国立病院機構熊本医療センター内科)
• 上田　厚(熊本大学大学院医学薬学研究部環境保健医学分野)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 糖尿病戦略等研究事業
• 研究開始年度: 平成18(2006)年度
• 研究終了予定年度: 平成20(2008)年度
• 研究費: 13,000,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

メタボリックシンドロームを背景とし，糖尿病を発症した患者において網膜病変解析による動脈硬化症の早期検出の有用性を検証する．さらに血圧，血糖値，脂質などの代謝因子を従来の基準より更に厳格に管理する意義を，内科眼科双方の評価法を用いて明らかとする．

研究方法

肥満を有し，さらに高血圧を有する２型糖尿病患者を対象に，治療目標の点から以下の4群に分け行う多施設共同，オープンラベル，ランダム化並行群間比較試験を行う．
A群：HbA1c 5.8 %未満かつ血圧120/80 mmHg未満を治療目標とする．
B群：HbA1c 5.8 %未満かつ血圧130/80mmHgを治療目標とする．
C群：HbA1c 6.5 %未満かつ血圧120/80 mmHg未満を治療目標とする．
D群：HbA1c 6.5 %未満かつ血圧130/80mmHgを治療目標とする．
脂質に関しては，いずれの群も中性脂肪150mg/dl未満，HDL-C 40mg/dl以上，LDL-C 120mg/dl未満を目標とする．（目標とする被験者数は，A，B，C，D群，各50名，合計200名）

結果と考察

試験実施施設における倫理委員会に対し，倫理審査申請を行い，熊本大学医学部附属病院において承認を得た．現在，被験者の仮登録，登録を行っている．登録の期間は6ヶ月間を予定している．メタボリックシンドロームにおける有効な診断や治療指針を確立すること，さらには動脈硬化症の発症進展に影響を与えうる危険因子の解明を行うことで，日本国民の主要な死因であり，健康寿命に大きな影響を及ぼす心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の早期発見を行うシステムを確立すること，更に動脈硬化の危険因子に対していかなる目標値を基に内科的介入を行うべきかを明らかにすることが可能となるものと思われる．

結論

本研究によって，メタボリックシンドロームを背景にもつ，心血管疾患発症のハイリスク者の効率的な同定と，有効な治療指針に基づいた効率的な管理が可能となり，将来的に本疾患による社会損失を最小限に抑制することが予想される．さらに早期発見と予防的治療（及び早期治療）の導入による医療コスト削減を目指し，医療経済面においても大きく貢献できるものと考える．

公開日・更新日

• 公開日: 2007-04-03
• 更新日: -