がん対策の実施基盤及び推進体制に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200622056A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策の実施基盤及び推進体制に関する国際比較研究
課題番号
H18-がん臨床-若手-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
武村 真治(国立保健医療科学院 公衆衛生政策部 地域保健システム室)
研究分担者(所属機関)
  • 梅田 恵(オフィス梅田(聖路加看護大学看護実践開発センター))
  • 坪野 吉孝(東北大学大学院法学研究科)
  • 西村 秋生(国立保健医療科学院研修企画部国際協力室)
  • 寶珠山 務(産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,670,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策の実施基盤及び推進体制に関して、諸外国の実態を把握し、国際比較研究を実施し、わが国への適用可能性を分析することによって、わが国における効果的かつ効率的ながん対策のあり方を検討する。
研究方法
わが国のがん対策の現状と問題点を抽出し、国際比較研究の視点と重点領域を設定した。そしてイギリスを中心に、国・地方レベルのがん対策に関する文献や資料を、インターネットや国内・国外の学識経験者等を通じて収集・整理し、イギリスのがん対策の実施基盤及び推進体制の実態を把握した。
結果と考察
 イギリスのがん対策の包括的な行動計画であるNHS Cancer Planは2000年9月に発表された10ヵ年計画である。目的として「多くの命を救うこと」、「がん患者が、最高の治療だけでなく、正しい専門的支援とケアを確実に受けられるようにすること」、「非熟練労働者が専門職従事者と比較して2倍の割合でがんで死亡している点にみられるような、健康の不平等に取り組むこと」、「NHSががん医療・ケアの分野で再び遅れをとることがないように、がん医療・ケア従事者への投資、精力的な研究、遺伝学革命に向けた準備を通じて、将来に向けた努力を行うこと」が、また最終的な数値目標として「2010年までに75歳未満のがんの死亡率を20%削減する」が設定されている。
 この計画は、がん及びがん対策の現状と課題、予防、がん検診、地域レベルのがんサービス、診断・治療の待機期間の削減、治療、ケア、マンパワー、施設・設備、研究・遺伝学、計画の実施体制で構成され、各施策について具体的な(数値)目標が設定されている。
 計画を地域レベルで展開するために「がんネットワーク」が構築され、イングランド全体をカバーしている。がんネットワークは、Primary Care Trust(地域における保健医療サービスの提供・予算管理の責任機関)、病院、地方自治体、がん医療・ケアの関係機関、ボランティア団体、患者・介護者団体などで構成される。現在34のネットワークが構築され、1つのネットワークで70万人から300万人の人口を管轄している。
結論
イギリスでは、国レベルでがん対策に関する計画が策定され、地域レベルでそれを推進する体制が整備されていること、計画の中間評価が外部の評価機関によって行われるという政策評価システムが確立していることが示された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-22
更新日
-