がん患者の医療機関受診に関する動態調査

文献情報

文献番号
200622051A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者の医療機関受診に関する動態調査
課題番号
H18-がん臨床-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
津熊 秀明(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター 調査部)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 徹(山形県立がん・生活習慣病センター)
  • 藤田 学(福井社会保険病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域がん登録資料に基づき、がんの部位・進行度などの特性毎に、患者の居住地と診断時の医療機関・所在地との関連、さらに、治療内容、治療医療機関・住所地との関連、死亡診断した医療機関とその所在地、死亡場所に関する分析を行い、地域における患者動態を明らかにすること、また、患者動態と生存率との関連についても分析し、がん医療水準の均てん化推進の基礎資料とすることが、本研究の3年間の課題である。今年度の研究期間は実質2-3ヶ月と短期間のため、既に認定を受けているがん診療連携拠点病院が、地域のがん医療の中で果たしている寄与度とその成果を、大阪府、山形県,福井県の3府県において分析した。
研究方法
各登録において次の集計を行い、結果を3府県で比較した。1994-98年診断の主要5部位のがんについて、進行度別5年相対生存率を、拠点病院で治療を実施した例と府県全域別に算出した。この内、拠点病院による治療数が府県全域の新発届出罹患数に占める割合を進行度別に算出した。最新の2000-2002年診断新発届出患者について、拠点病院による治療数を、進行度別、医療圏別に算出した。施設別治療件数を治療件数の上位施設から累積し、施設数と累積治療件数との関連を分析した。これより累積治療数が全体の50%(75%)を超える施設数を数え、現在のがん診療連携拠点病院及び大学病院の位置づけ、さらに、50%(75%)の治療件数をカバーする施設での月平均治療件数を算出した。
結果と考察
拠点病院で治療を受けた患者割合は大阪府で小さく、福井県で大きかった。拠点病院で治療を受けた患者の進行度分布はより早期が多い傾向にあった。部位・進行度により程度は異なるが、進行度別5年相対生存率も概して拠点病院群で良好であった。地域全体との生存率格差は、山形県、福井県と比べ大阪府で顕著で、大阪府の進行度別5年相対生存率は、府県全体としても低い傾向を認めた。
結論
3府県での限られた成績ではあるが、拠点病院で治療を受けた患者の寄与度や5年相対生存率、地域全体との生存率格差等について具体的な成績を提示し得た。わが国のがん患者が、がん専門施設で治療を受けている者の割合が米国より小さく、がん医療の均てん化と集中化を一層促進する必要のあることが示唆され、その為の戦略も提示し得た。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
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