がん拠点病院の配置シミュレーションに関する研究

文献情報

文献番号
200622050A
報告書区分
総括
研究課題名
がん拠点病院の配置シミュレーションに関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-019
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
宇田 淳(広島国際大学 医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,741,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1)国保レセプト(住民側)から、がん患者の受診行動を把握し、2)がん拠点病院のレセプトデータ(施設側)を解析し、がん患者の診療圏域を把握すると供に、がん手術、緩和ケア、化学療法などについて検討する。3)がん登録情報を基に、施設実態について検討する。4)がん拠点病院の配置状況について地理情報システム(GIS)を用いたシミュレーション手法により、評価する方法を検討・開発することである。
研究方法
1)地域構造の整理
医療圏単位、市区町村単位の基礎データを整理し、地理情報システムへ展開。
2)住民側(国保レセプト)調査
国保レセプトによる受診行動分析。
3)施設側(がん拠点病院等)調査
がん拠点病院などのレセプトデータから、診療圏分析のパイロットモデルの作成。
4)データベースの作成
データベースシステムのプロトタイプモデルを作成。レセプト分析システムの開発。
結果と考察
悪性新生物の患者受療動向について、二次医療圏別にみると、東京都中央部、大阪市、福岡・糸島、札幌、名古屋、東京都区西部、鹿児島、熊本、新潟の二次医療圏は、圏外からの入院患者が多い。特に、東京都中央部は、自医療圏の3倍弱が他の医療圏からの患者である。一方、隣接する区東部、区東北部医療圏は、自医療圏外に多く流出している。各県とも県庁所在地の医療圏に集中する傾向がみられる。県別にみると、東京都が他県から多くの患者を受け入れている。
パイロットスタディとして、広島県の一部地域をについて検討した結果、広島医療圏への隣接地域からの依存度が高い。特に広島西医療圏の3割の患者が広島医療圏を受診している。県のがん拠点申請資料では、広島市民病院が北部を担当とあるが、医療圏北部(安芸太田町、北広島町)の悪性新生物の患者の6割が、安佐市民病院を主に受診し、白血病などは、原爆病院を受診している。ただし、絶対数としては、少ない。
各県によって医療圏の成り立ちが異なっていること、県申請の根拠について、精査する仕組みが必要ではないかと、いえる。
結論
がん診療拠点病院は、二次医療圏単位に1施設の基準を認定している。しかし、各県によって、医療圏の設定基準は異なっており、基準の整合性はない。従って、患者の診療圏(ニーズ)に基づく評価が必要であることを確認した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-