自治体におけるがん対策の現状分析とマネジメントシステムの構築支援に関する研究

文献情報

文献番号
200622047A
報告書区分
総括
研究課題名
自治体におけるがん対策の現状分析とマネジメントシステムの構築支援に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
今井 博久(国立保健医療科学院 疫学部)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 政策科学)
  • 小坂 健( 東北大学大学院 国際歯科保健学)
  • 福田 吉治(国立保健医療科学院 疫学部)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院 政策科学部)
  • 中尾 裕之(国立保健医療科学院 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
都道府県等の自治体で行われているがん対策の実情を把握し、がん対策基本法に基づくがん対策推進計画の立案・実施・評価にあたり必要とされるマネジメントシステムとその構築支援のあり方を提示することを目的とした。
研究方法
1)各自治体の関連諸計画のレビュー:都道府県健康増進計画書および医療計画におけるがん対策に関連した項目についてレビューし、がん対策をキーワード別に分類・評価した。 
2)都道府県のがん対策に関する質問紙調査:医療資源、一次・二次予防、死亡率等の把握などについて質問紙調査と関連資料の収集を行った。
3)自治体のがん検診の現状に関する調査:「がん検診事業の効果向上に向けた有効な手段の開発に関する研究」による全国の市に対する調査データの解析を行った。
4)がん対策関連指標の作成:市区町村別のがん死亡率(部位別)の算出を行い、がん死亡の地理的分布を明らかにした。
5)米国におけるがん対策の調査:疾病予防センター(CDC)を訪問し、ヒアリング調査と資料収集を行った.
結果と考察
1)健康増進計画では、3割ががん対策の各論を持たず、他の生活習慣病や、タバコ、食・栄養対策のなかに併記されていた。活動内容に関して項目は書かれていたが、どの計画書においても具体性にかけていた。都道府県医療計画では、「がん対策」と特定化して項目を設けていたのは25県に過ぎず、多くの県では生活習慣病の1つまたは一般的な医療提供体制として採り上げていた。
2)都道府県への質問紙調査では、がん対策の取り組み、特に、医療資源の配置の把握、がん検診受診率や死亡率の把握と目標値の設定、がん登録について大きな差異があった。
3)がん検診に関する調査では、対象者数を推計している市も多く、住民の意向調査等の実績による推計、年齢別人口を基準とした独自の計算方法による推計等が混在していた。
4)北陸・東北の日本海側で多い消化器がん、西日本に多い肝臓がん、散在的に死亡率の高い地域が認められる肺がんや乳がんなど、部位によって死亡率の地理的な分布は異なっていた。
5)米国の包括的がん対策プログラムでは、CDC等の支援のもと、各州においてがん対策計画が作成され、実行されている。
結論
がん対策における自治体の取り組みには大きな差異があり、がん医療・予防の均てん化には、がん対策立案・実施・評価の標準化と情報提供や人材育成等に関して自治体を支援するシステムが必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-22
更新日
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