厚生労働省多目的コホート班との共同による糖尿病実態及び発症要因の研究(若手医師・協力者活用に要する研究)

文献情報

文献番号
200618026A
報告書区分
総括
研究課題名
厚生労働省多目的コホート班との共同による糖尿病実態及び発症要因の研究(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H17-チーム(生活心筋)-若手-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
門脇 孝(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
34,280,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省研究班による多目的コホート研究によって得られたデータから糖尿病発症・進展において重要な役割を担っている生活習慣を網羅的・体系的に解析するとともに、重要と考えられる生活習慣については個別に臨床試験を立ち上げその意義を明らかにする。
研究方法
HbA1cおよびこれで定義された糖尿病を曝露要因として、虚血性心疾患、脳卒中、癌等への危険因子としての役割を、「厚生労働省多目的コホート研究」班の疾患登録システムから得られた罹患データを用いて前向きコホート研究にて検討する。厚生労働省研究班による多目的コホート研究データとの包括的解析を行い、生活習慣等との関係を明らかにする。申請する研究実施チームの整備により、これまでの研究成果などから得られた知見を実証すると共にその簡便な診断法としてのバイオマーカーの臨床的意義を検討する臨床研究を予定する。
結果と考察
喫煙(過去の喫煙と現在20本以上の喫煙)は男女いずれにおいても糖尿病発症のリスクを有意に上げた。男性では、1日のエタノール摂取が23g(日本酒換算1合)以上のものにおいて、糖尿病発症のリスクが有意に上昇していた。コーヒー摂取、総カフェイン摂取量は空腹時高血糖と有意な負の相関を示した。運動について調査項目の妥当性の検討を行なった結果、24時間行動記録によるenergy expenditure (EE)の再現性はよいことや、質問票によるEEと「24時間行動記録」によるそれとの間には有意な相関が認められること、「運動加速度計」によるEEと「24時間行動記録」によるそれとの間の相関は低い結果を得ている。HMWアディポネクチンの総アディポネクチンに対する比率であるHWWR(high molecular weight ratio)がインスリン抵抗性の診断、メタボリックシンドロームの診断に対するROC曲線下面積が最大で総アディポネクチンに比べても診断能が高いことが判明した。
結論
家族歴、喫煙は男女いずれにおいても糖尿病発症のリスクを上昇させる。喫煙に関しては、肥満男性において2型糖尿病の発症と相関が強く、コーヒー摂取はコーヒー非摂取者に比し、その後の糖尿病発症が男女ともに有意に低い。HMWアディポネクチンは糖尿病・メタボリックシンドロームの発症・進展を予測する臨床指標として有用である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-11-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200618026B
報告書区分
総合
研究課題名
厚生労働省多目的コホート班との共同による糖尿病実態及び発症要因の研究(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H17-チーム(生活心筋)-若手-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
門脇 孝(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省研究班による多目的コホート研究によって得られたデータから糖尿病発症・進展において重要な役割を担っている生活習慣を網羅的・体系的に解析するとともに、重要と考えられる生活習慣については個別に臨床試験を立ち上げその意義を明らかにする。
研究方法
HbA1cおよびこれで定義された糖尿病を曝露要因として、虚血性心疾患、脳卒中、癌等への危険因子としての役割を、「厚生労働省多目的コホート研究」班の疾患登録システムから得られた罹患データを用いて前向きコホート研究にて検討する。厚生労働省研究班による多目的コホート研究データとの包括的解析を行い、生活習慣等との関係を明らかにする。申請する研究実施チームの整備により、これまでの研究成果などから得られた知見を実証すると共にその簡便な診断法としてのバイオマーカーの臨床的意義を検討する臨床研究を予定する。
結果と考察
喫煙(過去の喫煙と現在20本以上の喫煙)は男女いずれにおいても糖尿病発症のリスクを有意に上げた。男性では、1日のエタノール摂取が23g(日本酒換算1合)以上のものにおいて、糖尿病発症のリスクが有意に上昇していた。コーヒー摂取、総カフェイン摂取量は空腹時高血糖と有意な負の相関を示した。運動について調査項目の妥当性の検討を行なった結果、24時間行動記録によるenergy expenditure (EE)の再現性はよいことや、質問票によるEEと「24時間行動記録」によるそれとの間には有意な相関が認められること、「運動加速度計」によるEEと「24時間行動記録」によるそれとの間の相関は低い結果を得ている。HMWアディポネクチンの総アディポネクチンに対する比率であるHWWR(high molecular weight ratio)がインスリン抵抗性の診断、メタボリックシンドロームの診断に対するROC曲線下面積が最大で総アディポネクチンに比べても診断能が高いことが判明した。
結論
家族歴、喫煙は男女いずれにおいても糖尿病発症のリスクを上昇させる。喫煙に関しては、肥満男性において2型糖尿病の発症と相関が強く、コーヒー摂取はコーヒー非摂取者に比し、その後の糖尿病発症が男女ともに有意に低い。HMWアディポネクチンは糖尿病・メタボリックシンドロームの発症・進展を予測する臨床指標として有用である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200618026C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで全く指摘されていなかった生活習慣・嗜好が糖尿病の発症リスクに関係することが大規模な疫学的研究で明らかになった点で学術的な意義があり、今後の疫学的研究の参考になると思われる。
臨床的観点からの成果
今回の成果を役立てることが出来れば、わが国における糖尿病罹患者数の増加を抑制することにつながり社会的な意義は極めて大きいと考えられる。また、生活習慣病分野における臨床研究はわが国においてはそれほど行われておらず人材も少ない状況にあるが本研究で生活習慣病分野における臨床研究を遂行できる人材を養成でき、今後同様な臨床研究を行っていく際にもこれを役立てることが可能であると期待される。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Waki K, Noda M, Sasaki S et al.
Alcohol consumption and other risk factors for self-reported diabetes among middle-aged Japanese: a population-based prospective study in JPHC Study Cohort I.
Diabetic Medicine , 22 (1) , 323-331  (2005)
原著論文2
Hara K, Horikoshi M, Yamauchi T et al.
Measurement of the high-molecular weihght form of adiponectin in plasma is useful for the prediction of insulin resistance and metabolic syndrome.
Diabetes Care , 29 (6) , 1357-1358  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-