進行卵巣がんの集学的治療に関する研究(若手医師・協力者活用に要する研究)

文献情報

文献番号
200618020A
報告書区分
総括
研究課題名
進行卵巣がんの集学的治療に関する研究(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H17-チーム(がん)-若手-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
八重樫 伸生(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
19,968,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
外来化学療法を受ける卵巣がん患者のQOL改善のために、西洋医学のみでは対策に難渋する副作用軽減を目指してランダム化比較試験を施行し、それにより漢方薬の副作用軽減効果を科学的に立証することを目的とする。さらに本臨床研究のプロトコール作成・遂行を通して臨床研究に従事する若手医師・薬剤師・看護師を育成する。
研究方法
卵巣癌でタキサン系薬剤やプラチナ系薬剤を中心にした化学療法を施行する患者100名を対象とする。患者をランダムにA群とB群に振り分ける。A群の患者には抗がん剤投与後に漢方薬を投与し、B群では抗がん剤投与後に従来から用いられる西洋薬を投与することで、A群とB群を比較する。プライマリーエンドポイントを有害事象のgrade別発現率、セカンダリーエンドポイントを完遂率とする。
結果と考察
「骨髄抑制の軽減に関する十全大補湯の有用性に関する研究」の試験計画書を作成し登録を開始した。卵巣癌で外来化学療法を施行する患者100名を対象とし、患者をランダムにA群とB群に振り分けた。A群の患者には、抗がん剤投与後に漢方薬、十全大補湯を投与し、B群は従来から使用されている西洋薬アデニンを投与する。現在まで35例が登録され研究が進んでいる。人材育成の一環としてがん臨床試験CRCセミナーに看護師と若手医師が参加した。また本セミナーの講師の一人として共同研究者の高野が担当した。、東北大学病院治験センターと協力しCRC育成セミナーを年2回行い、臨床研究に従事する若手医師・協力者の育成を行った。またがん専門薬剤師研修の講義コース、実地コースを治験センターと協力して企画運営し、がん専門薬剤師の育成を行った。副次的研究として4つの卵巣がん関連の臨床研究を遂行した。
結論
プロトコール作成には卵巣がん患者の主治医となる婦人科、外来化学療法を担当する腫瘍内科、漢方治療を専門とする漢方内科が参画し、十分に練られたプロトコールができあがった。それらの過程で各チーム間の目的意識が均一化してきた。また専門のCRCを育成するために、毎年国立がんセンターで行われる臨床試験セミナーに若手医師、看護師を派遣し研鑽を積ませた。本研究で雇用した若手医師や看護師を交えて東北大学病院内でもCRCセミナーが開催され、多くの若手医師・看護師・薬剤師が参加した。従来は入院で行われていた卵巣がん患者の化学療法の多くが、本研究が遂行された2年の間に外来化学療法センターを使って外来で施行されるようになったことも成果の一つと考えている。このように東北大学病院では研究実施体制は十分に整ってきたと言えよう。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200618020B
報告書区分
総合
研究課題名
進行卵巣がんの集学的治療に関する研究(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H17-チーム(がん)-若手-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
八重樫 伸生(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 外来化学療法を受ける卵巣がん患者のQOL改善のために、西洋医学のみでは対策に難渋する副作用軽減を目指してランダム化比較試験を施行し、それにより漢方薬の副作用軽減効果を科学的に立証することを目的とする。さらに本臨床研究のプロトコール作成・遂行を通して臨床研究に従事する若手医師・薬剤師・看護師を育成する。
研究方法
巣癌でタキサン系薬剤やプラチナ系薬剤を中心にした化学療法を施行する患者100名を対象とする。患者をランダムにA群とB群に振り分ける。A群の患者には抗がん剤投与後に漢方薬を投与し、B群では抗がん剤投与後に従来から用いられる西洋薬を投与することで、A群とB群を比較する。プライマリーエンドポイントを有害事象のgrade別発現率、セカンダリーエンドポイントを完遂率とする。
結果と考察
「骨髄抑制の軽減に関する十全大補湯の有用性に関する研究」の試験計画書を作成し登録を開始した。ランダム化比較試験では、卵巣癌および子宮癌で外来化学療法を施行する患者100名を対象とし、患者をランダムにA群とB群に振り分けた。A群の患者には、抗がん剤投与後に漢方薬、十全大補湯を投与し、B群は従来から使用されている西洋薬アデニン日を投与する。現在まで35例が登録され研究が進んでいる。人材育成の一環としてがん臨床試験のCRCセミナーに看護師CRCと若手医師が参加した。東北大学病院治験センターと協力しCRC育成セミナーを年2回行い、臨床研究に従事する若手医師・協力者の育成を行った。またがん専門薬剤師研修の講義コース、実地コースを治験センターと協力して企画運営し、がん専門薬剤師の育成を行った。副次的研究として卵巣がんに関連する6つの研究を遂行した。
結論
プロトコール作成には卵巣がん患者の主治医となる婦人科)のみならず、外来化学療法を担当する腫瘍内科、漢方治療を専門とする漢方内科が参画し、十分に練られたプロトコールができあがった。それらの過程で各チーム間の目的意識が均一化してきた。また専門のCRCを育成するために、毎年国立がんセンターで行われる臨床試験セミナーに若手医師、看護師を派遣し研鑽を積ませた。本研究で雇用した若手医師や看護師を交えて東北大学病院内でもCRCセミナーが開催され、多くの若手医師・看護師・薬剤師が参加した。従来は入院で行われていた卵巣がん患者の化学療法の多くが、本研究が遂行された2年の間に外来化学療法センターを使って外来で施行されるようになったことも成果の一つと考えている。このように東北大学病院では研究実施体制は十分に整ってきたと言えよう。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200618020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
がん化学療法を受ける患者の白血球減少症の軽減対策の一つとして漢方薬が注目される。このような西洋医学に東洋医学を組み込む医療に対するEBMの確立は日本からこそ発信されるべきであるが、国内ではまだ臨床試験実施体制が整っていない。外来化学療法を受けるがん患者のQOL改善のために、西洋医学のみでは対策に難渋する副作用を漢方薬で軽減するかどうかを科学的に立証するランダム化比較試験を施行した本研究は意義が大きい。
臨床的観点からの成果
人材育成の一環として、がん臨床試験のCRCセミナー(財団法人パブリックヘルスリサーチセンター主催、婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構共催)に看護師や若手医師が参加し研修した。また本セミナーの講師の一人として共同研究者の高野が担当した。東北大学病院内でも、東北大学病院治験センターと協力しCRC育成セミナーを年2回行い、臨床研究に従事する若手医師・協力者の育成を行った。またがん専門薬剤師研修の講義コース、実地コースを治験センターと協力して企画運営し、がん専門薬剤師の育成を行った。
ガイドライン等の開発
主任研究者は婦人科関連のがん治療ガイドライン作成の中心として働いた。「卵巣がん治療ガイドライン改訂版・2007年発刊予定」、「子宮体癌治療ガイドライン2006年版」、「子宮頚癌治療ガイドライン2007年版」(金原出版)。「卵巣がん治療ガイドライン」については、日本がん治療学会のホームページにも掲載されているが、掲載までの業務を中心的にこなした。また研究協力者の伊藤潔も「卵巣がん治療ガイドライン」「子宮体癌治療ガイドライン」の作成者の一人として、ガイドライン開発に大きく貢献した。
その他行政的観点からの成果
特記すべきことなし
その他のインパクト
市民公開講座「がん講演会:子宮がん検診について」2006/10/05、仙台市
婦人科がん患者会「カトレアの森」婦人科腫瘍について2006/03/18仙台市

発表件数

原著論文(和文)
0件
特になし
原著論文(英文等)
3件
下記参照
その他論文(和文)
1件
八重樫伸生、卵巣がん治療ガイドラインー改訂に向けてーMedicament News,1857: 1-4, 2006
その他論文(英文等)
0件
特になし
学会発表(国内学会)
1件
上皮性卵巣がんにおけるサイクリンD2遺伝子プロモーター領域のメチル化異常と臨床病理学的因子の検討、佐久間道子、他、第58回日本産科婦人科学会総会、横浜
学会発表(国際学会等)
1件
11th Biennial Meeting International Gynaecologic Cancer Society, Santa Monica, October 14-18, 2006.
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
特になし
その他成果(施策への反映)
0件
特になし
その他成果(普及・啓発活動)
2件
市民公開講座「がん講演会:子宮がん検診について」2006/10/05、仙台市 婦人科がん患者会「カトレアの森」婦人科腫瘍について2006/03/18仙台市

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sakuma M, Akahira J, Yaegashi N, et al.
Expression of estrogen-responsive finger protein (Efp) is associated with advanced disease in human epithelial ovarian cancer. 
Gynecol Oncol , 99 , 664-670  (2005)
原著論文2
Sakuma M, Akahira J, Yaegashi N, et al.
Promoter methylation status of the Cyclin D2 gene is associated with poor prognosis in human epithelial ovarian cancer.
Cancer Sci. , 98 , 380-386  (2007)
原著論文3
Utsunomiya H, Akahira J, Yaegashi N, et al.
Paclitaxel-platinum combination chemotherapy for advanced or recurrent ovarian clear cell adenocarcinoma: a multicenter trial.   
Int J Gynecol Cancer. , 16 , 52-56  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-