難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究(若手医師・協力者活用に要する研究)

文献情報

文献番号
200618016A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H17-チーム(がん)-若手-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大竹 茂樹(金沢大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 白血病の治療は治癒を目指して行われるようになったものの、一部を除いては未だ難治性であり、標準的な治療法の開発が望まれるところである。しかしながら有病率の低い白血病において、エビデンスに基づいた標準的治療法を開発するためには、全国規模の多施設共同研究を行わねばならない。この共同研究には多くの労力が必要であるが、インターネットテクノロジーを利用したWebアプリケーションを開発し、省力化を試みた。
研究方法
 急性骨髄性白血病の標準的な治療法の開発を目的として,寛解導入療法においてイダルビシン(IDR)とダウノルビシン(DNR)を無作為割り付け法により比較検討し、 寛解後療法においてシタラビン大量療法(C群)と非交差耐性のアンスラサイクリンを含む治療法を交替して用いる従来型地固め療法(D群)を無作為割り付け法により比較検討するAML201プロトコールの中間解析を行った。
結果と考察
 AML201は平成17年12月に新規症例登録を終了したが、4年間で1064例が登録され、適格例1057例が評価された。登録症例は層別化因子に基づいて計画通り適正に無作為割り付けが行われていた。寛解導入療法(非劣性試験)では、IDR群(532例)とDNR群(525例)は、完全寛解率がそれぞれ78.6%および77.5%であり、増量したDNRの効果は少なくとも標準的なIDRと同等であることが示された。
 寛解後療法においては、C群(389例)とD群(392例)との比較では、寛解例の48ヶ月予測無再発生存率はそれぞれ42.2%および40.9%、48ヶ月予測総生存率はそれぞれ61.7%および62.8%であり、現時点では両者間に優位差を認めていない。染色体別の比較では、予後良好なCBF白血病では48ヶ月予測無再発生存率はC群57.7%およびD群44.3%、48ヶ月予測総生存率はそれぞれ79.4%および66.5%であり、有意差を認めていないが、今後の経過観察によってはC群が有意に上回る可能性がある。JALSGスコアによる予後分類でpoor riskとなる患者群では48ヶ月予測無再発生存率はC群26.0%およびD群6.5%でありこれも今後の経過観察が必要である。
 さらに1年間の追跡調査を経て最終的な結論が出される予定である。
結論
 白血病の標準的治療法の確立には、さらに継続して多施設共同臨床研究を効率的に推進する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-11-27
更新日
-