文献情報
文献番号
200618013A
報告書区分
総括
研究課題名
心筋微小血管造影装置の開発による糖尿病性心筋微小循環障害の可視化(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H16-チーム(生活心筋)-若手-017
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
竹下 聡(国立循環器病センター・心臓血管内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
14,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
従来型の血管造影装置では描出できないような微小血管を観察することによって、様々な疾患の病態把握が可能となり得る。例えば、難知性の重症末梢動脈閉塞症に対する血管新生療法の臨床応用が行われているが、従来型血管造影検査では、新生血管の描出は不可能である。また、糖尿病性微小血管障害の病態把握や治療効果の判定に有効な検査はない。
本研究の目的は、病院設置型微小血管造影装置を開発、臨床応用することによって、微小循環障害の病態把握法や血管新生の新しい評価法を確立することである。
本研究の目的は、病院設置型微小血管造影装置を開発、臨床応用することによって、微小循環障害の病態把握法や血管新生の新しい評価法を確立することである。
研究方法
新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の支援のもと、浜松ホトニクス(株)を中心に、NHKエンジニアリングサービス、国立循環器病センター研究所、東海大学医学部等が協力して、病院設置型の微小血管造影装置を開発した。装置は、高出力のCT用X線源とハイビジョンの高感度撮像系により構成されている。チャートを用いて、解像度を測定し、犬冠動脈のファントムで中核枝の評価およびウサギの虚血肢モデルでの再生血管の評価を行った。また、吸収線量および散乱線の測定を行い、安全性の検討を行った。臨床応用では、末梢動脈閉塞症に対する血管新生療法前後に微小血管造影を施行し、虚血下肢の微小血管を評価した。
結果と考察
ヒトに対する臨床応用として、血管新生療法を行う下肢末梢動脈閉塞症の患者を対象に、合計8回の微小血管造影を施行した。造影に伴う被曝線量は通常の血管造影と同レベルであることが判明した。微小血管造影によって通常のDSA造影では描出困難な100μm以下の微小血管が鮮明に描出された。DSAに比較して少なくとも1-2分枝末梢側の血管が描出可能であった。1ヶ月から1年の間隔を置いて施行したフォローアップ造影における微小血管の再現性は良好であった。血管新生療法前後で微小血管網の発達を検討すると、治療後に明らかな血管新生が認められたのは3割の症例に過ぎなかった。
病院設置型微小血管造影装置の1号機は、通常の血管造影と同等の安全性を有している。また、その血管描出能は通常装置に比し優れていた。造影を繰り返し施行し得た症例における微小血管の再現性は良好であった。血管新生療法前後において必ずしも微小血管数の増加が認められないことから、本療法の作用機序における血管新生以外の因子の関与が示唆された。
病院設置型微小血管造影装置の1号機は、通常の血管造影と同等の安全性を有している。また、その血管描出能は通常装置に比し優れていた。造影を繰り返し施行し得た症例における微小血管の再現性は良好であった。血管新生療法前後において必ずしも微小血管数の増加が認められないことから、本療法の作用機序における血管新生以外の因子の関与が示唆された。
結論
本研究で開発された病院設置型微小循環造影装置によって50μmレベルの微小血管が観察可能であり、その安全性や再現性に問題はなかった。微小循環障害を伴う疾患の評価や、末梢動脈閉塞症に対する血管新生療法の作用機序の解明、治療効果判定に有用な検査法と思われた。
公開日・更新日
公開日
2007-03-27
更新日
-