糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療(若手医師・協力者活用に要する研究)

文献情報

文献番号
200618012A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H16-チーム(生活心筋)-若手-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,480,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、糖尿病性腎症患者を対象に、医師と糖尿病療養指導士が参加するチーム医療により強力で厳格な治療介入(集約的治療)を行うことにより、腎症の進行を阻止し、さらに寛解させる治療法を確立することを目的とした多施設共同臨床研究である。
研究方法
2型糖尿病の顕性腎症例を対象として、血清クレアチニン値正常群(プロトコールA)と血清クレアチニン高値群(プロトコールB)の2群に分け、それぞれ集約的治療群と従来療法群に無作為に割り付ける。プロトコールAでは、主要評価項目を尿中蛋白排泄量とし、網膜症・神経障害の進行を副次評価項目とする。プロトコールBでは、血清クレアチニン値の2倍化、透析療法への導入および死亡を1次エンドポイント、心血管イベントの発生、網膜症・神経障害の進行を2次エンドポイントとする。総観察期間は5年間である。
結果と考察
平成18年度末に、参加施設数128施設、症例数は観察期症例348例、観察期終了後登録症例数233例となった。岡山大学医学部歯学部附属病院では、予定の10症例の登録を完了した。プロトコールA、Bのいずれにおいても、従来療法群と集約的治療群の間にベースラインの臨床検査値に有意差は認められず、割付は適正に行われていると考えられた。中間解析の結果、プロトコールA,Bともに,試験開始後3ヶ月間に,HbA1c,血清Crおよび血圧の有意な変化は認めなかったが、プロトコールBにおいて、集約的治療群では従来療法群に比べて蛋白尿の有意な減少が認められた。
結論
集約的治療によって腎症の進展を阻止できる可能性が示された。本研究によって、腎症に対する集約的治療法の確立が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200618012B
報告書区分
総合
研究課題名
糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H16-チーム(生活心筋)-若手-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、糖尿病性腎症患者を対象に、医師と糖尿病療養指導士が参加するチーム医療により強力で厳格な治療介入(集約的治療)を行うことにより、腎症の進行を阻止し、さらに寛解させる治療法を確立することを目的とした多施設共同臨床研究である。
研究方法
2型糖尿病の顕性腎症例を対象として、血清クレチニン値正常群(プロトコールA)と血清クレアチニン高値群(プロトコールB)の2群に分け、それぞれ集約的治療群と従来療法群に無作為に割り付ける。プロトコールAでは、主要評価項目を尿中蛋白排泄量とし、網膜症・神経障害の進行を副次評価項目とする。プロトコールBでは、血清クレアチニン値の2倍化、透析療法への導入(腎死)および死亡を1次エンドポイント、心血管イベントの発生、網膜症・神経障害の進行を2次エンドポイントとする。総観察期間は5年間とする。
結果と考察
参加施設128施設、観察期症例348例、観察期終了後登録症例数233例となった。岡山大学医学部歯学部附属病院では、予定の10症例の登録を完了した。プロトコールA、Bのいずれにおいても、従来療法群と集約的治療群の間にベースラインの臨床検査値に有意差は認められず、割付は適正に行われていると考えられた。中間解析の結果、プロトコールA,Bともに,試験開始後3ヶ月間に,HbA1c,血清Crおよび血圧の有意な変化は認めなかったが、プロトコールBにおいて、集約的治療群では従来療法群に比べて蛋白尿の有意な減少が認められた。
結論
中間解析の結果、集約的治療群で蛋白尿の有意な減少が認められたことより,集約的治療によって腎症の進展を阻止できる可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200618012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
糖尿病性腎症に対する治療には、血糖、血圧や生活習慣をはじめとする多くの因子に介入する必要があるが、その方法やコントロールの目標値は確立されていない。本研究は、進行した糖尿病性腎症(顕性蛋白尿期)に対する集約的治療の開発を目指した世界初の大規模臨床試験である。中間解析の結果、集約的治療群で蛋白尿の有意な減少が認められたことより,集約的治療によって腎症の進展を阻止できる可能性が示された。
臨床的観点からの成果
本研究により、糖尿病性腎症の進行を阻止する集約的治療法が開発されれば、糖尿病患者の生命予後の改善に大きく貢献出来ると考えられる。中間解析の結果より,本研究により糖尿病性腎症の寛解を可能にする集約的治療法の確立が期待できる。
ガイドライン等の開発
本研究の結果により、糖尿病性腎症の治療に関する新しいガイドライン作成に必要なエビデンスが得られることが期待できる。
その他行政的観点からの成果
糖尿病性腎症は現在透析療法導入の原因疾患の第一位を占めており、現在も増加している。本研究を継続することにより、糖尿病性腎症の進行を阻止する集約的治療法が開発されれば、糖尿病患者の生命予後の改善のみならず国民医療費の削減に大きく貢献出来ると考えられる。
その他のインパクト
2005年7月18日日本経済新聞にDNETT-Japanの研究内容が掲載された。
2006年9月29日第41回糖尿病学の進歩(札幌)のシンポジウム「組織的な糖尿病対策の現状」において、DNETT-Japanについて発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
5件
総説5編
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第41回糖尿病学の進歩(札幌)のシンポジウム
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nakamura A, Shikata K, Hiramatsu M et al.
Serum interleukin-18 levels are associated with nephropathy and atherosclerosis in Japanese patients with type 2 diabetes.
Diabetes Care , 28 (12) , 2890-2895  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-