文献情報
文献番号
200618009A
報告書区分
総括
研究課題名
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H16-チーム(生活心筋)-若手-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
服部 良之(獨協医科大学内分泌代謝内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,140,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高脂血症を有する糖尿病患者の虚血性心血管病(心、脳血管障害、ASO)の発症を評価し、スタチン群、フィブラート群およびコントロール群に分類し、それに与える抗高脂血症薬の効果を検討する。
研究方法
スタチン群、フィブラート群およびコントロール群に分類し、登録し、それらの患者の虚血性心血管病(心、脳血管障害、ASO)の発症を評価してゆく。また、登録患者の一般所見、脂質分析に加え、動脈硬化所見(PWV, 頸動脈IMT)の経過を見てゆく。
結果と考察
285名の登録を行った。経過観察中、心血管病の発症は認められなかった。
135名の患者でadiponectinの血中濃度を測定した。pioglitazone (Actos)はadiponectinの血中濃度を増加させるといわれているが、我々はActos非投与群70名、Actos投与群65名でtotal adiponectinおよび 高分子(HMW)adiponectinを測定した。Actosはadiponectinを増加させ、しかもHMW adiponectinの割合を増大させていた。抗高脂血症薬はその群によって、adiponectinおよびHMW adiponectinに有意な変化を与えなかった。
また、一部の患者でIMTの経過を観察し得た。そのうち、一年のインターバルで測定した38名でIMTの1年の変化として見ると、抗高脂血症薬によって有意な違いはなかったが、Actos投与(8名)群では、IMTの減少傾向が観察され、1名では著明な減少が認められた。
135名の患者でadiponectinの血中濃度を測定した。pioglitazone (Actos)はadiponectinの血中濃度を増加させるといわれているが、我々はActos非投与群70名、Actos投与群65名でtotal adiponectinおよび 高分子(HMW)adiponectinを測定した。Actosはadiponectinを増加させ、しかもHMW adiponectinの割合を増大させていた。抗高脂血症薬はその群によって、adiponectinおよびHMW adiponectinに有意な変化を与えなかった。
また、一部の患者でIMTの経過を観察し得た。そのうち、一年のインターバルで測定した38名でIMTの1年の変化として見ると、抗高脂血症薬によって有意な違いはなかったが、Actos投与(8名)群では、IMTの減少傾向が観察され、1名では著明な減少が認められた。
結論
糖尿病患者に高脂血症が合併すると大血管症の発症は促進されと思われる。経口糖尿病Actosはadiponectinを上昇させ、かつ、高脂血症改善作用もあると思われ、大血管症の発症の抑制に貢献が期待される。スタチンはプラークの性状の変化をもたらすことも期待され、フィブラートには血管での抗炎症効果が報告されているが、臨床的にこれらの効果が糖尿病患者のイベント発症抑制にどの程度有効なのかを評価するにはさらなる経過観察、分析が必要であると思われた。
公開日・更新日
公開日
2007-03-27
更新日
-