各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(若手医師・協力者活用に要する研究)

文献情報

文献番号
200618008A
報告書区分
総括
研究課題名
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H16-チーム(生活心筋)-若手-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
井口 昭久(名古屋大学大学院医学系研究科老年科学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,412,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果と作用機序を検討した。
研究方法
全体研究としては、主任研究者として、代謝内分泌学,循環器学,老年学,臨床薬理学専門医14名,12施設,40関連病院からなる研究班を結成した。2)17年3月末までに自立している糖尿病患者(4014名)を登録した。3) 事務局として全登録患者を集計し、prospective cohort試験として,虚血性心疾患発症,死亡/同入院,CVD,ASO発症総死亡をエンドポイントに検討した。そのうち名古屋大学にて糖尿病患者215例、名古屋地区関連病院で糖尿病426例を登録し、上記研究に主体的に参加した。
結果と考察
全体研究:75.9%の脂質異常者を認めた。18年12月に登録後平均1.9年間の成績を回収し、解析をすすめた(追跡率初年度98.8、2年度92%)。心血管病発症率(虚血性心疾患IHD,脳血管障害CVD)は全糖尿病例では年2.2%と比較的高かった。
名古屋地区では、初年度イベント発症率は名古屋大学にてIHD2.8%, CVD1.4%、その他0.5%と高率であり、2年度イベント発症率はIHD2.4%, CVD1.5%、その他0.5%、登録者が高齢(平均74歳、ADLは自立)である事が関与していると推測された。関連病院では、各々0.2%、0.9%。0.7%で有った(平均年齢63歳) 現在, I)(本邦又は欧米の)血清脂質管理値達成によるイベント予防効果,II)高脂血症病態(メタボリック症候群,閉経等)による差異,III)新規高脂血症薬の安全性と多面的作用、IV)医療経済効果を検討している。糖尿病合併高脂血症薬の使用基準提示を目標とする。7)個別項目では糖尿病患者における認知症発症にTNFαとLDLcholesterol が関与している事、surrogate markerとして血中のNO代謝物濃度が有意である事を見いだした。
結論
各エンドポイントを中心に本格的解析を進め、年々市場規模が増大している高脂血症薬の効果的,効率的な投与方法を提言する。個別研究では高齢者の自立度及びQOL改善に対する高脂血症薬治療の有効性の可能性を探りたい

公開日・更新日

公開日
2007-04-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-11-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200618008B
報告書区分
総合
研究課題名
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(若手医師・協力者活用に要する研究)
課題番号
H16-チーム(生活心筋)-若手-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
井口 昭久(名古屋大学大学院医学系研究科老年科学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果と作用機序を検討した。
研究方法
全体研究としては、主任研究者として、1)代謝内分泌学,循環器学,老年学,臨床薬理学専門医14名,12施設,40関連病院からなる研究班を結成した。2)17年3月末までに自立している糖尿病患者(4014名)を登録した。3) 事務局として全登録患者を集計し、prospective cohort試験として,虚血性心疾患発症,死亡/同入院,CVD,ASO発症総死亡をエンドポイントに検討した
結果と考察
75.9%の脂質異常者を認めた。18年12月に登録後平均1.9年間の成績を回収し、解析をすすめた(追跡率初年度98.8、2年度92%)。心血管病発症率(虚血性心疾患IHD,脳血管障害CVD)は全糖尿病例では年2.2%と比較的高かった。 また、そのうち名古屋大学にて糖尿病患者215例、名古屋地区関連病院で糖尿病426例を登録し、上記研究に主体的に参加した。初年度イベント発症率は名古屋大学にてIHD2.8%, CVD1.4%、その他0.5%と高率であり、2年度イベント発症率はIHD2.4%, CVD1.5%、その他0.5%、登録者が高齢(平均74歳、ADLは自立)である事が関与していると推測された。関連病院では、各々0.2%、0.9%。0.7%で有った(平均年齢63歳) 現在, I)(本邦又は欧米の)血清脂質管理値達成によるイベント予防効果,II)高脂血症病態(メタボリック症候群,閉経等)による差異,III)新規高脂血症薬の安全性と多面的作用、IV)医療経済効果を検討している。糖尿病合併高脂血症薬の使用基準提示を目標とする。7)個別項目では糖尿病患者における認知症発症にTNFαとLDLcholesterol が関与している事、surrogate markerとして血中のNO代謝物濃度が有意である事を見いだした。
結論
血管イベントに対する各種高脂血症薬の単独作用と、脂質低下作用におうところを直接,間接作用として解析できる可能性が示唆されている。一方,実態としては欧米はおろか本邦の学会ガイドラインでさえ40%以下の準拠率である事が判明した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200618008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本体研究では心血管病発症率(IHD,CVD)の発症率に性差なく, IHDは登録時血中LDL濃度に比例した。心不全、突然死,末梢血管病,その他の死亡は低LDL濃度群に多かった。HDL濃度に反比例し,差は4倍に及んだ。心不全、突然死,末梢血管病,心血管病以外の死亡を加えても同様であった。CVDはHDL濃度では有意だがLDL濃度の差は小さかった。糖尿病ではHbA1C5.8未満の群に発症がなくそれ以上では差はなかった。
臨床的観点からの成果
本体研究ではIHD発症率が登録時LDL濃度に比例し、心不全、突然死,末梢血管病,その他の死亡は低LDL群に多い傾向で前期高齢者に顕著だった。LDL濃度低値者と高値者はスタチン服薬群に発症率が低かった。HDL濃度には反比例し,高脂血症薬使用例も,低HDL血症者の発症率は高かった。高脂血症薬間で使用後の血清脂質プロフィール及び心脳血管病等の発症率に差はなく,予め薬剤作用による使い分けがなされていると推測された。HbA1C5.8未満群のみ発症がなく治療中の耐糖能異常もリスクと示唆された。
ガイドライン等の開発
本検討からは糖尿病患者のLDL及びHDLを合わせて厳しくコントロールする事によりIHD(及び一部CVD)を制御できる可能性があり,薬剤にもpleiotropic effect が示唆された。今年度,循環器学会、糖尿病学会、動脈硬化学会シンポジウムで報告予定である。発症率の高いコホートであり,もう1,2年の観察により、従来のガイドラインに対し重要な指標を提供するとともに、本邦で初めて前期(一部後期)高齢者糖尿病合併高脂血症の指標も作成できる可能性がある。
その他行政的観点からの成果
本体研究では医療経済学的に、今回の成績からの概略的推計では現行のLDL濃度(平均120mg/dl)を90mg/dlに下げると, 虚血性心疾患発症率,10年後の罹患者総数とも約40%減少する可能性が示唆された。脳血管障害も発症率を約24%,10年後罹患者数を約25%減少させる可能性が示唆された。ストロングスタチンを使用するか、従来型のgeneric スタチンを使用するかの医療経済学的な効用については更に1,2年の観察で明らかにできる。
その他のインパクト
今年度,循環器学会、糖尿病学会、動脈硬化学会の各シンポジウムで報告及び報告予定である。学会製作DVD, 学会新聞を始め広く成績が紹介されつつ有る。論文投稿も進めている。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-