HIV治療用合成siRNAの新規デリバリーシステムの開発

文献情報

文献番号
200614106A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV治療用合成siRNAの新規デリバリーシステムの開発
課題番号
H18-創薬-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
児玉 耕太(岐阜大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
siRNA(small interfering RNA)は、低濃度でも効果が期待でき、mRNAを破壊するだけで、ゲノム遺伝子には全く影響を及ぼさないことが知られているため、その臨床応用が盛んに試されているが、生体の分解酵素による分解やデリバリー上の問題点から、その応用は眼内注射と言う特殊な投与経路に留まっている。このため、siRNAが標的の存在する細胞へ到達するまでは、分解酵素などをブロックし、一旦標的細胞に取り込まれれば、標的であるmRNAの近くにおいてsiRNAが放出されるようなインテリジェンスなDelivery Systemが開発であればその臨床応用も実現味を帯びてくる。
研究方法
ペプチドとsiRNAをリンカーでつなぐために、両端に接続のための官能基を合成する。リンカーの接続時はペプチドと核酸の両方に影響を与えない緩和な条件で行う必要があるため、抗体や酵素の標識に多用されるマレイミド法を使用する。リンカーの長さについては活性との比較により決定する。活性および薬理評価については、国立感染症研究所エイズ研究センターの武部豊先生の協力のもと検討を行う。
結果と考察
今年度は主にsiRNAとペプチドのコンジュゲート分子の合成を行った。antisenseの5‘末端をアミン修飾されたRNAを外注し、まず、そのアミノ基に末端がスクシニル基とマレイミド基が入っているPEGリンカーのカップリングを行った。反応進行の確認はMALDI-TOF-MSを用いて行った。次にRNA結合ペプチドのC末端側にシステインを導入したものと、リンカーのマレイミド基とのカップリングを行った。このコンジュゲート分子はペプチドの効果により、通常のRNAよりも減衰しているため、アクリルアミドゲル上で大幅に上にシフトする。よって、この反応の進行もMALDI-TOF-MSとアクリルアミドゲルを用いて確認を行った。現在、この分子の標的RNAに対する分子間相互作用とHIV感染モデル系での試験を行っている。
結論
今年度の研究により目的とする分子の合成法の確立には成功した。これらの結果とモデル系での結果を踏まえて、リンカーの長さ等の検討を行う予定である。現在、コンジュゲートsiRNAを大量合成中であり、終了し次第、HIVモデル感染系での評価を行う予定であるため、次年度も研究を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-