論理的創薬手法によるHIV-1プロテアーゼニ量体化を阻害する低分子化合物の探索

文献情報

文献番号
200614105A
報告書区分
総括
研究課題名
論理的創薬手法によるHIV-1プロテアーゼニ量体化を阻害する低分子化合物の探索
課題番号
H18-創薬-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中村 寛則(岐阜大学 人獣感染防御研究センター プリオン研究部門)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、論理的創薬手法を用いて、抗HIV活性を持つリード低分子化合物を発見することである。本研究では、二量体化を阻害する低分子化合物の探索を行う。同時に、二量体の活性部位に結合する低分子化合物の探索も行い、論理的創薬手法の有効性の検証やその手法の改良を行う。
研究方法
計算機プログラムには、米国スクリプス研究所で開発されたAutoDockを用いた。低分子化合物のデータベースには、米国カルフォルニア州立大学サンフランシスコ校で公開されているZINCを用いた。本年度は、分子量350以下の低分子化合物をスクリーニングの対象とした。二量体活性部位に対するドッキングを2種類と、単量体の二量体界面部位に対するドッキング1種類の計3種類のin silicoスクリーニングを行い、結合エネルギーが低いものから、合計410個の低分子化合物を実際に購入し、聖マリアンナ医科大学微生物学教室にて、培養細胞を用いたMTTアッセイ法によって抗HIV活性を検証した。非感染細胞の生存数に対する低分子化合物を添加したHIV感染細胞の生存数の比を有効率とし、この有効率で抗HIV活性を評価した。
結果と考察
HIV感染系における抗HIV活性の評価はまだ進行中であるが、これまでに262個の低分子化合物に対する評価を行った。ほとんどの低分子化合物において全く抗HIV作用が見られなかったが、一部の低分子化合物において非常に弱い抗HIV作用が見られた。これらは、サキナビル等の基質アナログとは異なる骨格をもつ低分子化合物だった。これらの低分子化合物の作用機序については、さらなる検証が必要である。今後は、弱い抗HIV活性を持つ低分子化合物に対して官能基の置換等を行って最適化を試みる。また、in silicoスクリーニング法の改良を行って、改良した手法を用いて繰り返し薬剤探索を行う。
結論
論理的創薬手法により、抗HIV活性が期待できる低分子化合物をリストアップし、HIV感染細胞系でその抗HIV活性を検証した。ほとんどの低分子化合物において全く抗HIV活性が見られなかったのに対し、一部の低分子化合物において非常に弱い抗HIV活性が見られた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-