高齢化社会に適応する歯の延命化を目指した歯髄・象牙質再生による新しい抜髄治療法の開発

文献情報

文献番号
200614103A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢化社会に適応する歯の延命化を目指した歯髄・象牙質再生による新しい抜髄治療法の開発
課題番号
H18-創薬-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
庵原 耕一郎(国立長寿医療センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯の健康は高齢者のQOLの向上に必須と考えられ、歯の寿命を高めるには歯髄をできるだけ保存する方法を開発する必要がある。私共は歯髄幹細胞が多く含まれる画分Side Population (SP細胞)を分取し、 象牙質再生への有効性を明らかにした。本研究ではまず、血管内皮前駆細胞および内皮細胞のマーカーであるCD31 およびCD146を用いてSP細胞をさらに分画し、歯髄再生に有効な歯髄幹細胞を検討する。次に、歯髄組織を模倣した免疫原性のない人工プロテオグリカンを作製する。さらに、I型およびIII型コラーゲンを組み合わせてゲル化し、抜髄後、歯髄幹細胞ならびに細胞成長因子とともに根管内に充填し、根尖部歯周組織から新たに血管を侵入させ歯髄組織を再生させる新しい治療方法を開発する。
研究方法
ブタ歯胚より歯髄細胞をCD31-;CD146-, CD31+;CD146-およびCD31+;CD146+SP細胞を分取した。各画分にVEGFを添加して血管内皮細胞への分化能およびMatrigel上での管腔形成能を検索した。また、VEGF存在下での遊走、増殖能の解析、およびDiI-ac-LDL取り込みおよびヒスタミンの添加による内皮細胞としての機能解析を行った。さらに、各画分のin vitroにおける軟骨、脂肪、神経、象牙質誘導能を検索した。
結果と考察
ブタ歯髄SP細胞中にはCD31-;CD146-、CD31+;CD146-, CD31+;CD146+の3つの画分がそれぞれ45%、48%、7%の割合で含まれていた。CD31-;CD146-のSP細胞はMatrigel上で網目状の管状構造を呈した。またVEGF存在下で内皮細胞へ分化した。さらにその分化した細胞は内皮細胞の機能を有していた。CD31-;CD146-細胞は高い遊走能および増殖能を有し、また軟骨、脂肪、神経、および象牙芽細胞に誘導できた。
現在、イヌの歯髄切断面上にCD31-;CD146- SP細胞をI型コラーゲンとともに移植して、その切断面上における歯髄再生の検討を行っている。さらに人工プロテオグリカンをscaffoldとして加え、このCD31-;CD146- SP細胞を抜髄後の歯髄内に注入し、歯髄全体を再生する方法の開発も行う予定である。
結論
CD31-;CD146- SP細胞は細胞導入法による歯髄再生の細胞源として有効である可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
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