C型肝炎ウイルス粒子産生制御による新規治療法の萌芽的研究

文献情報

文献番号
200614102A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎ウイルス粒子産生制御による新規治療法の萌芽的研究
課題番号
H18-創薬-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
村上 恭子(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)は、公衆衛生上重要なウイルスである。インターフェロンおよびリバビリン投与が抗ウイルス療法の主流であるが、副作用や薬剤耐性ウイルス等の問題から従来の抗HCV薬とは異なる作用点をもつ治療法の開発厚生労働行政上の急務である。近年、申請者が樹立した三次元培養によるHCV粒子産生系は培養形態によって粒子産生のon/off制御が可能である。本研究ではこの系を利用してHCV粒子産生制御に関与する宿主因子を同定するとともに、HCV粒子産生制御による新規HCV治療法への応用を検討する。
研究方法
HCV粒子産生on/off各状態での細胞内蛋白発現をプロテオーム解析により比較検討し、発現のことなる遺伝子を同定する。また、候補遺伝子をノックダウンした場合のHCV粒子産生効率の変化を高効率HCV粒子産生系(JFH1-Huh7系)によって評価し、HCV粒子産生に関与する宿主因子を同定する。
結果と考察
培養後、day3,day7の細胞を回収したこれらの細胞より蛋白を抽出し、蛍光標識ディファレンシャル二次元電気泳動法を用いて、発現量に差のあるタンパクのプロファイリングを行った。その結果、培養形態の違いにより発現に差のある遺伝子を10個同定した。しかしながら、pH4-7までの間で展開したため、それ以外の範囲で重要な蛋白を見落とている可能性もある。今後はpH3以下、およびpH7以上の範囲についても検討を行いたいと考えている。
 また、HCV感染細胞でのE6APノックダウン実験を行った。E6APは三次元化により発現に差がみられた遺伝子ではないが、HCVコア蛋白の分解に関与していること、強制発現によりHCV感染性粒子の産生量が減少することからもノックダウンによる粒子産生量の変化は十分期待できたため、コントロールとして用いた。E6APのノックダウンによりHCVコア蛋白量が上昇すると、培養上清中へのウイルス粒子産生量が増加した。この結果より、同様の方法を用いてプロテオーム解析にて同定した候補遺伝子が粒子産生に及ぼす影響が検討できると考えられる。
結論
 培養形態の違いにより発現に差のある遺伝子10個を同定した。
 HCVコア蛋白の分解に関与する宿主因子であるE5APのノックダウンによりHCV粒子産生が上昇することを確認し、宿主因子のノックダウンによる粒子産生量の変化を検討する系を樹立した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-