ヒト由来細胞・組織バンクの活用拡大のためのシステム構築と研究資源の高度化に関する研究

文献情報

文献番号
200614101A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト由来細胞・組織バンクの活用拡大のためのシステム構築と研究資源の高度化に関する研究
課題番号
H18-創薬-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 雄一(国立精神・神経センター神経研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(国立精神・神経センター神経研究所)
  • 小林 英司(自治医科大学 分子病態治療研究センター 臓器置換研究部)
  • 小林 真一(聖マリアンナ医科大学 薬理学)
  • 熊井 俊夫(聖マリアンナ医科大学 薬理学)
  • 浅原 利正(広島大学大学院先進医療開発科学講座外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ヒト組織を外科的に採取し、適切にかつ十分量を広く研究者にヒト試料として提供できるよう公共バンクと連携した保存・管理するためのシステム構築の検討を行う。特に我が国で遅れている各科を横断的にまたがるシステムを検討し、将来わが国の各医療機関でも構築が可能なヒト組織提供モデルシステムを研究することが目的である。具体的には、生検骨格筋及び摘出肝組織を対象とする。
研究方法
1.骨格筋及び筋芽細胞の試料と情報の管理システムの整備(国立精神・神経センター)
2.肝組織提供医療施設の試料と情報の管理システムの整備(聖マリアンナ大学病院、広島大学病院)
3.利用者側からみた希望するヒト組織に関するアンケート調査
4.心停止ドナーからの組織摘出バンク化の現状と可能性
結果と考察
1.国立精神・神経センター神経研究所及び武蔵病院で構築した神経筋疾患の診断と研究資料保存システムを稼働させ、すでに1万件近く(9700検体)の患者登録と凍結筋保存ができた。このシステムを基盤にして、患者骨格筋から筋芽細胞を樹立し、また共同研究として国内外の研究者に供与した。
2.聖マリアンナ大学でのヒト肝細胞のバンク化のシステムとして、本年度は手術室で採取された組織写真の電子ファイル化を試みた。
 CYP1A2*1Fのアリル頻度は73.5%と高値を示した。CYP2C19、CYP2D6では従来の報告と大きな差は見られず、CYP3A4*4は中国人に特有の遺伝子多型であるとされていたが、今回初めて日本人にも発見された。
3.一般市民1500人を対象として、ヒト組織バンクについてアンケート調査を実施した(回答数570名、回答率38.0%)。結果は一般市民の認知度は低いものの、説明することでヒト組織を用いた研究やヒト組織バンクの必要性は理解されていることが分かり、その認識は一般市民と患者及びその家族とで大きな差異は見られなかった。
4.心停止下での組織採取にあたっては、日本組織移植学会の規定する「組織バンクの認定」の条件で行われている。現在のところ、我が国では13箇所の施設で運営されているが、自らの施設での臨床応用が中心である。
結論
ヒト組織提供システムを運用するには、さらなる人的、経済的な支援が必須である。より有効な研究資源とするために研究資源の高度化をはかり、学内及びヒューマンサイエンスヒト組織公共バンクへの組織提供をルチーン化することが不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
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