ヒト乾燥羊膜の機能再生医療材料への実用化に関する研究

文献情報

文献番号
200614099A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト乾燥羊膜の機能再生医療材料への実用化に関する研究
課題番号
H18-創薬-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
阿久津 英憲(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 二階堂 敏雄(富山大学医学部)
  • 後藤 光昭((有)セラジックス)
  • 清水 忠道(富山大学医学部)
  • 齋藤 滋(富山大学医学部)
  • 遠藤 俊郎(富山大学医学部)
  • 北川 清隆(富山大学医学部)
  • 荒川 雅彦((株)サクラ精機)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生医療の生体材料として、免疫抑制因子を発現し共移植された他組織をも拒絶反応から回避させる羊膜の使用が試みられているが、その使用は生組織ゆえ保存限界があり、かつ保存環境に大きく制限される。本研究では、移植に適した羊膜本来の性格を維持しつつ室温での長期保存ができ扱い易く広く応用されうる機能再生医療材料として乾燥羊膜を開発し臨床応用することを目的とする。
研究方法
適切なインフォームド・コンセント手続きのもとヒト羊膜を得る。採取羊膜組織をマイクロ波、遠赤外線、空気圧を操作する装置により乾燥羊膜(Hyper-Dry乾燥羊膜)を作製し本研究に供する。羊膜生組織と他の加工羊膜組織とを詳細な形態的解析を行う。乾燥羊膜よりタンパク質を抽出し、ウエスタン・ブロッティング法にてα1-antitrypsinとOCT3/4の発現解析を行い、更に構造解析(物性)、張力、保水性解析を行う。乾燥羊膜を基盤とした人工器官作成としてまず付加する糖鎖高分子の開発と毒性評価をヒト株化細胞を用いて新たに合成した糖鎖ポリマーによる細胞培養を行う。
 倫理面への配慮としてヒト検体を使用するため、その採取とその後の検体管理にあたりインフォームドコンセントおよび個人情報の保護に留意する。富山大学医学部・承認番号44(平成17年6月24日)。国立成育医療センター・受付番号55(平成16年11月15日)。

結果と考察
安定的に乾燥羊膜を提供・保存できるシステムが構築できた。乾燥では本来の上皮・間葉組織構造をよく保存されタンパク質の変性も低いことが判明した。細胞認識性に重点をおいた糖鎖ポリマーを多数、改良開発することができ、ヒト株化細胞が培養できさらに、糖鎖や共重合した化合物の性質に応じて細胞の接着・増殖がコントロールされることができた。この糖鎖ポリマーによる細胞の認識性と反応の違いがどのようなメカニズムで引き起こされているのかを詳細に検討していくことで、より高度な細胞培養システムの構築が可能になる。
結論
将来の安全的な再生医療マテリアルを供給するために、我々のHYPER-DRY乾燥羊膜はヒト由来生羊膜に非常に近似した形質を保持し、長期保存が可能な組織を作成できた。新規に開発した糖鎖ポリマーは細胞と共培養する中で、細胞を特異的に認識し反応性の違いをみせ、機能性マトリックス構築することができた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
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