弱毒性ウイルスワクチンの品質向上、生産性向上に関する研究

文献情報

文献番号
200614097A
報告書区分
総括
研究課題名
弱毒性ウイルスワクチンの品質向上、生産性向上に関する研究
課題番号
H18-創薬-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大隈 邦夫(財団法人化学及血清療法研究所 品質管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 森川 茂(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 高瀬 凡平(防衛医科大学校 防衛医学研究センター)
  • 金谷 泰宏(防衛医科大学校 防衛医学研究センター)
  • 桑原 紀之(自衛隊中央病院 保健管理センター)
  • 藤井 達也(自衛隊中央病院 内科)
  • 中村 幸嗣(自衛隊中央病院 内科)
  • 竹内 勤(慶應義塾大学 医学部)
  • 横手 公幸(財団法人化学及血清療法研究所 第一製造部)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
16,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16m8は有効性を保持しながら弱毒化に成功した世界で唯一のワクチンであり、近年、生物テロ対策の一環として再製造されている。本研究では、弱毒生ウイルスワクチンを代表して、本ワクチンについて品質及び生産性向上に関する研究、並びに安全性及び有効性に関する非臨床または疫学的研究を行った。
研究方法
LC16m8株の特性解析として、温度感受性の解析とその責任遺伝子の探索を実施した。安全性リスク評価では、動物モデルを用いた皮膚増殖性評価と健康成人への使用実績を解析した。有効性については、動物モデルを用いた発症抑制効果と健康成人への使用実績から検証した。過去の使用実績から接種方法(圧刺回数)の評価を実施した。製造・品質管理工程における研究では、マーカー試験や力価測定試験法について、最近の科学水準での再解析・評価を実施した。製剤の保存安定性評価では、長期保存後の力価試験等を実施した。
結果と考察
1)温度感受性が極めて安定な形質であり、その責任遺伝子は複数存在する成績を得た。
2)米国備蓄品よりも100分の1以下の皮膚増殖性であることが示された。被接種者の心電図解析より近年米国で発生した心筋炎リスクが低い可能性が示唆された。
3)サルとマウスモデルを用いた実験が実施され、免疫後早期においても発症抑制効果を有することを示した。また、健康成人で高い抗体陽転率を示した。圧刺回数は、出生年に基づく基準設定が望ましいと考えられた。
4)増殖温度感受性試験や力価測定試験について代替試験法を提案した。
5)48か月検体の保存安定性(力価)を確認した。
結論
化血研で近年再製造されたロットを用いて動物モデル実験を実施し、LC16m8ワクチンは天然痘撲滅時に使用されたLister株と比較して遜色ない有効性を保持し、更に、米国備蓄品と比較しても十分に弱毒された安全性の高いワクチンであることを示す成績を取得した。
また、近年の健康成人への使用実績を調査・解析した結果、種痘後脳炎、皮膚合併症や心筋炎などの重篤な副作用は発生しておらず、過去の使用実績と同様の高い抗体獲得率を示した。
製剤の保存安定性については、長期保存に対しても力価が安定である成績は取得されたものの、有効期間延長に関しては、品質確認に重要な試験法の精度向上や追加試験法の確立等の検討を含め、慎重な判断が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
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