制癌分子標的療法の創薬と開発にかかわるブリッジングスタディーの基礎的および応用的研究

文献情報

文献番号
200614093A
報告書区分
総括
研究課題名
制癌分子標的療法の創薬と開発にかかわるブリッジングスタディーの基礎的および応用的研究
課題番号
H17-創薬-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川上 浩司(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、癌細胞表面上に発現する新しいTh2サイトカイン(Interleukin-25)の受容体をターゲットとした制癌分子標的療法をモデル開発し、その開発過程で我が国の医薬品医療機器総合機構における臨床治験認可業務とアメリカFDAにおけるIND制度の差異を比較検討し、現在急務とされる遺伝子治療、分子治療、細胞治療などの先端医療開発の整備になにが必要であるかを研究する。本研究から得られた知見は、我が国の創薬力、厚生労働行政における国策としてのトランスレーショナル研究のありかたとIND制度導入の是非について多くの情報、モデルを提供することが期待され、日本国民の健康・医療の向上のみならず、将来の国益を見据えた先端医療の臨床開発研究の推進にも寄与することを目指す。
研究方法
IL-25とPEをDNAリコンビナントによって結合させることにより、IL-25受容体を標的とした新しい抗癌製剤(IL25-PE)を作成した。IL25-PEは人工合成蛋白として大腸菌の系で発現・大量培養し、FPLCにて精製した。同製剤をモデルとして、日本においてトランスレーショナル研究、製剤の市場化を推進する際に何が必要か、システムの問題点はなにかについても合わせて検討をすすめた。前年度は、日本における臨床試験の審査システムの現状および要求されるCMC(Chemistry, Manufacturing and Control)、薬物動態・毒性試験、臨床プロトコルについてをアメリカFDAにおける基準と比較検討しつつ調査を開始したが、本年度は欧州における各種規制も調査した。
結果と考察
IL-25蛋白の分子量をSDS-PAGE法にて確認後、in vitroでの各種腫瘍細胞に対する細胞殺傷効果を3H-leucine uptake assayにて確認する準備おこなっているが、IL-25およびIL25-PE蛋白は非常に不安定で、蛋白の合成と凍結保存のサイクルにより発現した蛋白も分解してしまうことがわかり、医薬品化は困難な可能性がある。そこで、現在、蛋白の発現方法の条件検討を行っているところである。(i)欧州の法制度の概観(ii)欧州における審査・認可制度 についても調査を行った。
結論
制癌分子標的療法開発をモデルに、我が国の臨床試験認可制度と欧米の制度の差異を比較検討し、国内の先端医学の基礎研究から創薬・市場化への開発過程の環境と方法論を検討した。法制度上の問題、研究者側の開発に対する知識と情報などに課題があることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
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