HIV-1ディフェンスワクチンの創製・開発研究

文献情報

文献番号
200614086A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV-1ディフェンスワクチンの創製・開発研究
課題番号
H16-創薬-105
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梅田 衛(日水製薬株式会社)
研究分担者(所属機関)
  • 庄司 省三(熊本大学薬学部)
  • 三隅 将吾(熊本大学薬学部)
  • 高宗 暢暁(熊本大学薬学部)
  • 仲宗根 正(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ワクチンの基本的な理論を逸脱し、生体の守りを固め、ウイルス侵入を防止する手段を自己抗体に求めた。HIV-1 coreceptorの細胞外第2ドメインを構成するUPAを免疫抗原として用い、HIV-1感染防止ワクチンとしての基礎研究を目的とした。
研究方法
UPAを標的としたペプチドワクチン戦略を展開し、cDDR5-MAP免疫カニクイサルに対しSHIVSF162P3株10TCID50を静注して、Challengeし、感染防御効果を調べた。 その結果から経口ワクチン開発を目指して-M細胞標的分子の創製を開始。最終的に、抗原の調製(高分子ポリマーによる抗原の調製)に着手し、その効果を検討した。
結果と考察
(1) cDDR5-MAPをカニクイサル3匹に免疫した結果、HIV-1のcoreceptor (CCR5)のUPAに対する自己抗体が誘導され、HIV感染を防止していると考えられた。実際にSHIVSF162P3株をに静注してchallengeした結果、3頭とも、controlに較べて、血中のViral loadsが2log-3log低下する感染防御効果がみとめられた。このことは、イタリアのESNの様に自己の抗原に対する免疫応答でHIV-1の感染を防止できることを明らかにした。さらに、cDDR5-MAP免疫群の腸管膜リンパ節は、コントロールと比較して保存されていたことからワクチン抗原により経口粘膜免疫を完成させることにより腸におけるウイルスの爆発的複製を阻止できると期待されたため、本研究事業のメンバーは、経口エイズワクチンの開発を目指した。(2) 経口粘膜ワクチン創製の鍵は、M細胞標的分子の創製にあると考え、その創製に全力を注いだ。その結果、ポリフェノール型低分子M細胞標的分子McDSを創製することができた。McDSによるM細胞ターゲティング能を利用して、生体にHIV-1に対する二段構えの防御機構(粘膜(膣、直腸)におけるHIV-1の中和及びGALTでのHIV-1の複製阻止)を構築できれば、有効なAIDSワクチンを創出できる可能性があることが明らかとなった。
結論
本研究成果を基に生体にHIV-1に対する二段構えの防御機構(粘膜(膣、直腸)におけるHIV-1の中和及びGALTでのHIV-1の複製阻止)を構築できれば、有効なAIDSワクチンを創出できる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614086B
報告書区分
総合
研究課題名
HIV-1ディフェンスワクチンの創製・開発研究
課題番号
H16-創薬-105
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梅田 衛(日水製薬株式会社)
研究分担者(所属機関)
  • 庄司 省三(熊本大学)
  • 三隅 将吾(熊本大学)
  • 高宗 暢暁(熊本大学)
  • 仲宗根 正(国立感染症研究所)
  • 向井 鐐三郎(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV-1 coreceptorであるケモカインレセプターの特殊構造UPAをペプチドワクチンとして用いることにより、ウイルス感染防御効果がみとめられた知見を基礎にし、ウイルス性抗原ENV、および免疫活性化物質CpGDNAを結合させたHIV-1ディフェンスワクチン抗原の創製・開発のための基礎研究
研究方法
UPAを標的としたペプチドワクチンcDDR5-MAPをカニクイサルに免疫後、SHIVSF162P3株を静注Challengeし、感染防御効果を調べた。次に、経口ワクチン開発を目指してM細胞標的分子の創製を開始し、core antigenにM細胞標的分子およびRhsus-cDDR5、CpG-DNAをPEGを介して結合させてワクチン抗原とした。
結果と考察
(1) cDDR5-MAPをカニクイサル3匹に免疫した結果、HIV-1のcoreceptor (CCR5)のUPAに対する自己抗体が誘導され、HIV感染を防止していると考えられた。実際にSHIVSF162P3株をに静注してchallengeした結果、3頭とも、controlに較べて、血中のViral loadsが2log-3log低下する感染防御効果がみとめられた。このことは、イタリアのESNの様に自己の抗原に対する免疫応答でHIV-1の感染を防止できることを明らかにした。さらに、cDDR5-MAP免疫群の腸管膜リンパ節は、コントロールと比較して保存されていたことからワクチン抗原により経口粘膜免疫を完成させることにより腸におけるウイルスの爆発的複製を阻止できると期待されたため、言研究事業のメンバーは、経口エイズワクチンの開発を目指した。
経口粘膜ワクチン創製の鍵は、M細胞標的分子の創製にあると考え、その創製に全力を注いだ。その結果、ポリフェノール型低分子M細胞標的分子McDSを調製することができた。McDSによるM細胞ターゲティング能を利用して、生体にHIV-1に対する二段構えの防御機構(粘膜(膣、直腸)におけるHIV-1の中和及びGALTでのHIV-1の複製阻止)を構築できれば、有効なAIDSワクチンを創出できる可能性があることが明らかとなった。
結論
生体にHIV-1に対する二段構えの防御機構(粘膜(膣、直腸)におけるHIV-1の中和及びGALTでのHIV-1の複製阻止)を構築できれば、有効なAIDSワクチンを創出できる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614086C

成果

専門的・学術的観点からの成果
HIV-1 coreceptorであるケモカインレセプターの特殊構造UPAをペプチドワクチンとして用いることにより、ウイルス感染防御効果がみとめられた知見を基礎にし、ウイルス性抗原ENV、および免疫活性化物質CpGDNAを結合させたHIV-1ディフェンスワクチン抗原の創製・開発のための基礎研究を行うことができた。本研究で、M細胞標的分子を開発できた点は、ワクチンにより粘膜免疫および全身免疫応答をの誘導するために極めて学術的に有益であった。
臨床的観点からの成果
霊長類を用いた前臨床試験になるため、ヒトにおける応用を考慮して今後研究を展開していく予定である。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
日本生化学会2006年度JB論文賞を受賞。
日本薬学会2007年度Vol. 43最前線にて研究内容が紹介された「HIV受容体をターゲットとするHIV感染防御ワクチン-飲むエイズワクチンを目指して-」。

発表件数

原著論文(和文)
1件
ファルマシア, Vol. 43 (4), 327-331 (2007)
原著論文(英文等)
3件
下記参照
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
第78回日本生化学会 日本生化学会九州支部例会 第23回日本薬学会九州支部大会
学会発表(国際学会等)
1件
20th IUBMB inernational Congress of Biochemistry and Molecular Biology and 11th FAOBMB Congress
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
腸管粘膜賦活剤PCT/JP2006/321720
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
三隅将吾、高宗暢暁、庄司省三
HIV受容体をターゲットとするHIV感染防御ワクチン-飲むエイズワクチンを目指して-
ファルマシア , 43 (4) , 327-331  (2007)
原著論文2
Nakayama, D., Misumi, S., Mukai, R. et al.
Suppression of multiclade R5 and X4 human immunodeficiency virus type-1 infections by a coreceptor-based anti-HIV strategy.
J. Biochem. , 138 (5) , 571-582  (2005)
原著論文3
Misumi, S., Nakayama, D., Kusaba, M. et al.
Effects of immunization with CCR5-based cycloimmunogen on simian/HIVSF162P3 challenge.
J. Immunol. , 176 (1) , 463-471  (2006)
原著論文4
Shogo Misumi, Nobutoki Takamune, and Shozo Shoji.
Immunoreactive cycloimmunogen design based on conformational epitopes derived from human immunodeficiency virus type 1 coreceptors:副題省略
Endocrine, Metabolic & Immune Disorders - Drug Targets   (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-