PET検査を用いた癌二次予防の診断アルゴリズムの開発、PET検診施設間のネットワーク構築および死亡率低下の検証研究

文献情報

文献番号
200614083A
報告書区分
総括
研究課題名
PET検査を用いた癌二次予防の診断アルゴリズムの開発、PET検診施設間のネットワーク構築および死亡率低下の検証研究
課題番号
H16-創薬-100
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小島 伸介(財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
FDG-PET検査は癌の早期発見・早期治療のための技術として近年その有用性が広く認められつつあるが、無症状の集団に対する検診については信頼性の高い検証的研究は未だ行われてこずこの有効性の検証は急務であった。このため、こういった現状に対し、癌死亡者数減少の有力な手段としてのPET検査を用いた癌検診の診断成績向上につながる有用なデータを得ることを目的とする。
研究方法
本年度は、昨年までに行ったレトロスペクティブコホート研究をさらに精査し、精度の高い結果を得る。また、PET新技術を取り入れた検査法をあわせた診断アルゴリズムの比較を行い、検診能向上についてさらに詳細な情報を得る。また、共有した情報と我々が培ったプロトコル作成支援のためのツールや研究管理のノウハウを統合し、18F-FDG-PETやその他の新たな画像検査のプロスペクティブ研究の材料とし、各施設から得られたデータをプロトコルごとに管理し、PETを用いた癌検診施設の間にネットワークを構築し情報の共有を行う基盤の整備を行う。
結果と考察
レトロスペクティブ研究では前年度よりさらに詳細にデータを検討した結果、4881例の無症状で癌病歴のない受診者のうち11.5%でFDG 取り込み異常の所見が得られ、検診陽性の受診者36例から癌が検出され、検診陰性で1年以内に癌の診断を受けた受診者が15例でPET検診の感度は70.6%、特異度は94.0%、陽性適中率は11.1%と推定された。2つの研究において受診者の分布データをもとにがん種ごとの罹患数を推計したところ、胃癌、食道癌、肝癌が予想されたにも拘らず発見がなかった一方、甲状腺癌のように推計罹患数の値を大きく上回る結果が得られた癌腫もあった。
さらに、我々が培ったプロトコル作成支援のためのツールに上記の検診研究で得られたノウハウを還元し、ネットワークの構築と多施設共同の画像診断研究グループを形成するための基盤の形成を行うことができた。
結論
いずれの施設でも、発見された癌の総数は従来の癌の罹患率の統計データを大幅に上回る数であったことが分かった。今後、検診後の予後を詳細に追跡し分析することでさらに多くの知見が得られるものと考える。
また、本研究で得られたノウハウを活用して、癌領域、癌領域以外においてネットワークを構築し、多施設共同の画像診断研究グループを積極的に形成・支援していくことができると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614083B
報告書区分
総合
研究課題名
PET検査を用いた癌二次予防の診断アルゴリズムの開発、PET検診施設間のネットワーク構築および死亡率低下の検証研究
課題番号
H16-創薬-100
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小島 伸介(財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
無症状の集団に対するFDG-PET検査を用いた検診については信頼性の高い検証的研究は未だ行われてこずこの有効性の検証は急務であった。このため、癌死亡者数減少の有力な手段としてのPET検査を用いた癌検診の診断成績向上につながる有用なデータを得ることを目的とした。
研究方法
東京都のPET検診施設においてレトロスペクティブ研究、静岡県浜松市のPET検診センターにおいてプロスペクティブ研究を行い、癌検診の受診者の背景因子、診断情報を調査し追跡調査を行うこととした。その後上記2研究の結果をさらに精査し、PET新技術を取り入れた検査法をあわせた診断アルゴリズムの比較を行い、検診能向上についてさらに詳細な情報を得ることとした。また、共有した情報と我々が培ったプロトコル作成支援のためのツールや研究管理のノウハウを統合し、18F-FDG-PETやその他の新たな画像検査のプロスペクティブ研究の材料とし、各施設から得られたデータをプロトコルごとに管理し、PETを用いた癌検診施設の間にネットワークを構築し情報の共有を行う基盤の整備を行うこととした。
結果と考察
レトロスペクティブ研究では4881例の無症状で癌病歴のない受診者のうち11.5%でFDG 取り込み異常の所見が得られ、この中の36例から癌が発見された。検診陰性で1年以内に癌の診断を受けた受診者が15例であった。また、プロスペクティブ研究では1197例の35歳以上の健常成人に検診が行われ、全例から癌の有無の情報を得た。19例から癌の確定診断が得られ、登録時の検診全体での感度は 78.9%、登録時のPET単独での感度は52.6%であった。
2つの研究においても診断アルゴリズムの詳細な検討を行うことができなかったが、転帰情報の充実によりこの課題は解決できると考えられるため、今後の研究の継続と詳細な検討によりPET検診の有効性を評価・検証し診断アルゴリズムの最適化についての示唆を得ることができると期待される。
結論
いずれの施設でも、同様に全体の約1%の癌をPETにより発見することができ、発見された癌の総数は従来の癌の罹患率の統計データを大幅に上回る数であったことが分かった。本年度では癌種ごとの癌の発見について考察することができたが、しかし今後、検診後の予後を詳細に追跡し分析することでさらに多くの知見が得られるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614083C

成果

専門的・学術的観点からの成果
PET検診の診断アルゴリズムの詳細な検討と比較のためには、受診者の長期にわたる詳細な転帰調査(癌の確定診断・治療歴・予後の調査)が不可欠であることが分かった。
臨床的観点からの成果
PET検診により、がんの統計に示される癌罹患率を大きく上回る数の癌を発見することができることが示された。また、施設単位ではあるが、検診全体での感度・特異度、PET単独での感度・特異度を示すことができた。
ガイドライン等の開発
特記すべき事項なし。
その他行政的観点からの成果
PET検査における米国大学放射線画像ネットワーク(American College of Radiology Imaging Network : ACRIN)のようなネットワークの構築と多施設共同の画像診断研究グループを形成するための基盤の形成を行うことができた。
その他のインパクト
特記すべき事項なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
3件
2004 ASCO Annual Meeting, 2005 ASCO Annual Meeting, 2006 ASCO Annual Meeting
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-