文献情報
文献番号
200614077A
報告書区分
総括
研究課題名
アポトーシス関連分子EATの機能制御によるES細胞の増殖・分化培養法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-創薬-094
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大喜多 肇(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
EAT遺伝子は、胎児性癌細胞から単離された遺伝子で、Bcl-2関連分子でありin vitroでアポトーシス抑制作用を有することが示されている。本遺伝子はマウスのモデル系において膵ランゲルハンス島β細胞の維持に重要であると考えられている。これらの基礎成果をさらに発展させ、EAT分子の機能を、特に胚性幹細胞(ES細胞)の増殖・分化ならびに膵β細胞への分化に着目して解明することを目指すことが、ヒトES細胞を含む幹細胞を用いた再生医療の推進に役立つと考えられる。本分子のノックアウトマウスが着床前に致死となるため、胚盤葉上層に特異的なコンディショナルノックアウトマウス作製を通じ、膵を含む器官形成におけるEATの機能解明を目指した。
研究方法
Cre-loxPシステムを用いてEAT遺伝子をマウス個体においてノックアウトした。前年度までに作製したEATのexon 1をloxP配列で挟む変異を有するマウス(EATfloxマウス)とEATのexon1を欠損するマウス(EATnullマウス)と胎生5日目以降の胚盤葉上層特異的にCreを発現するMox2-Creマウス(MEOX)を交配し、コンディショナル・ノックアウト・マウスを作製し、その表現形を形態学的、免疫組織学的に解析した。
結果と考察
胚盤葉上層特異的にEATをノックアウトしたマウスは、胎齢9.5日では小型で、発育遅延が観察された。神経上皮、間葉、心臓壁にアポトーシス小体が増加し、初期のアポトーシスのマーカーであるcleaved Caspase3陽性の細胞が増加していた。臓器の構成自体には大きな異常は認められず、臍帯の形成、卵黄嚢の造血にも明らかな異常は認められなかった。また、細胞増殖に明らかな変化は認められなかった。これらの結果から本遺伝子がin vivoにおいても細胞のアポトーシスを抑制し、生存を支持していることが示唆された。また、EATのexon1の両側にloxPを導入したES細胞を樹立した。
結論
胎児性癌分化関連分子EATは、胎生中期の胎仔の神経、間葉の生存を支持していることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
-