文献情報
文献番号
200614066A
報告書区分
総括
研究課題名
ケミカルゲノミクスによる難治固形癌に有効な主要抗癌剤の薬効貢献分子の探索と発見された分子を標的とする次世代抗癌剤の開発
課題番号
H16-創薬-079
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
西尾 和人(近畿大学)
研究分担者(所属機関)
- 水上 民夫(長浜バイオ大学バイオサイエンス学部)
- 関島 勝(株式会社三菱化学安全科学研究所 鹿島研究所先端技術研究部)
- 山田 康秀(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部)
- 大川原 正(熊本保健科学大学 衛生技術学科)
- 福西 賢晃(住友ベークライト株式会社 神戸基礎研究所)
- 秋元 信吾(株式会社メディカル・プロテオスコープ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
非臨床、臨床試験において、ケミカルゲノミクスの手法を用いてTS-1, 5-FU等の主要抗癌剤の新規薬効貢献因子の探索、同定を行う。同定された因子を標的とした新しい治療法の開発を目的とする。
研究方法
1.進行胃癌症例を対象とし内視鏡生検組織、末梢血検体の網羅的遺伝子発現解析によるフッ化ピリミジン等の化学療法の効果予測、予後関連、治療標的因子の同定をおこない、siRNA等により機能的な評価をおこなう。2.患者血清検体のプロテオーム(LC-MS/MS)解析による標的、薬効関連分子の同定をおこなう。3.タモキシフェン誘導体、FdUMP誘導体を合成、リンカーを導入、レジンに固定化、質量分析による結合タンパク質を同定する。4.FdUMP, dUMPとPKM2の酵素化学的解析を組み換え体を用い実施する。In vitro酵素アッセイ系で、PKM2の酵素活性に対するFdUMP,dUMP等核酸の影響を解析する。5.低分子固定化法を①リガンド固定化量②リガンドのスペーサー長とポリエチレングリコール鎖長点から改善した。
結果と考察
(1) 胃癌の5FU感受性因子、有害事象規定因子を予測するモデルを構築した。胃がんの化学療法の効果を予測する遺伝子、胃がんの予後予測遺伝子、胃がん治療標的分子を同定し、検証を行った。特許出願し治療応用への研究の段階に入った。
(2) 血清のプロテオーム解析により、5FUの新たな標的、薬効関連分子として、ピルビン酸キナーゼM1/M2を同定した。
(3) 5FU 誘導体等低分子化合物をリンカー鎖結合、これをリガンドとして固定化した。担体のリガンド固定化量を増大させることにより、標的蛋白質の吊り上げに成功した。本固定化技術は利便性に優れタンパク非特異吸着も少なく臨床検体への応用が期待できる。
(5) FdUMP, dUMPの新規結合タンパク質として癌細胞の核酸合成のKey分子であるPKM2を同定し、dUMPのPKM2阻害活性を明らかにした。5-FUのTS阻害時に蓄積するdUMPがPKM2を阻害するという、未知薬理機構の可能性を示した。
(2) 血清のプロテオーム解析により、5FUの新たな標的、薬効関連分子として、ピルビン酸キナーゼM1/M2を同定した。
(3) 5FU 誘導体等低分子化合物をリンカー鎖結合、これをリガンドとして固定化した。担体のリガンド固定化量を増大させることにより、標的蛋白質の吊り上げに成功した。本固定化技術は利便性に優れタンパク非特異吸着も少なく臨床検体への応用が期待できる。
(5) FdUMP, dUMPの新規結合タンパク質として癌細胞の核酸合成のKey分子であるPKM2を同定し、dUMPのPKM2阻害活性を明らかにした。5-FUのTS阻害時に蓄積するdUMPがPKM2を阻害するという、未知薬理機構の可能性を示した。
結論
ケミカルゲノミクス手法で5-FU等の新規薬効貢献因子の同定を行った。新規抗癌剤固定化担体の開発を行った。LC-MS/MS解析により5-FUの新規標的、薬効関連蛋白質を同定した。臨床試験において臨床検体の遺伝子発現、蛋白質解析を実施し、胃癌の治療効果因子、予後規定因子、標的分子の探索、検証を行った。
公開日・更新日
公開日
2007-04-02
更新日
-