文献情報
文献番号
200614063A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬基盤としての公共的ヒト組織バンクを中心とした肝組織・細胞の研究利用システムの構築
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-創薬-075
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
絵野沢 伸(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 安原 一(昭和大学医学部)
- 青木 達哉(東京医科大学)
- 片岡 一則(東京大学大学院工学系研究科)
- 大塚 英典(東京理科大学理学部)
- 小林 英司(自治医科大学)
- 竹澤 俊明((独)農業生物資源研究所)
- 落谷 孝広(国立がんセンター研究所)
- 尾崎 倫孝(北海道大学大学院医学研究科)
- 鈴木 聡((NPO)HAB研究機構)
- 大和田 哲男((株)アビー)
- 布施 英一(協和発酵工業(株))
- 吉村 勉(エーザイ(株))
- 山田 泰弘(田辺製薬(株))
- 榎本 康弘(日本農産工業(株))
- 池谷 武志(東洋合成工業(株))
- 田向 康人((株)コーニングインターナショナル)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
手術摘出検体の人由来研究資源としての利活用を検証し、そこにおけるヒューマンサイエンス研究資源バンクの在り方を模索することを目的とした。すなわち、倫理性が保証された状況で調達され、公共的バンクを通じて公正かつ円滑に研究者に配分され、成果を生むしくみの整備である。対象を創薬研究に必須の人肝細胞とし、技術面では凍結保存法、長期安定培養法の開発、社会面は、調達医療機関の運用則の整備、有識者会議、研究者が望む資源形態の調査を行った。研究最終年度として、医療機関で調達の手術摘出肝由来肝細胞を、本研究で取り上げた新規培養基板上で培養し、製薬企業に輸送して薬物動態機能評価を実施することに設定した。
研究方法
調達医療機関、細胞実験の基盤技術開発研究者、製薬会社研究者等産官学の研究者が連携を保ちながら各テーマを分担遂行した。
結果と考察
摘出検体の肉眼的正常部位の正常性をがん細胞のミクロ転移がないことをPCRレベルで確認した。人肝細胞の凍結保存法を誘電磁場凍結(CAS)法で検討し、一定の効果があることを確認した。PEGブラシ表面加工基板上で牛大動脈内皮細胞と肝細胞を共培養する方法は、本来培養に適さない障害肝細胞でも培養可能で、比較的長期間の機能維持ができた。人脂肪組織由来間葉系幹細胞を分化させた肝細胞様細胞を薬物代謝活性から評価し、薬物動態研究に使用しうることを確認した。ヒューマンサイエンス研究資源バンクと協調し、同バンク保存肝組織の加工資源化を行った。心停止下の肝組織一部提供について有識者による法的根拠の考察を行った。米国における人肝細胞利用研究調査を行った。総合的試行として、本研究において整備した運用則に則り、医療機関にて提供された手術摘出検体をPEGブラシ基板で培養し、製薬会社研究所で薬物代謝活性を評価するという研究成果の統合ができた。
結論
創薬研究に重要な人肝細胞の供給は世界的に不足しており、わが国独自の調達体制や、稀少資源を有効活用するための技術的、社会的システムの整備が必要である。また代替肝細胞の創薬研究への応用も重要である。社会システムとしては、わが国の現行法下でも資源調達範囲の拡張がある程度可能であることがわかった。問い合わせ先senosawa@nch.go.jp。総括総合研究報告本体も参照されたい。
公開日・更新日
公開日
2007-05-17
更新日
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