幹細胞等を用いた細胞組織医療機器の開発と評価技術の標準化

文献情報

• 文献番号: 200614058A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: 幹細胞等を用いた細胞組織医療機器の開発と評価技術の標準化
• 課題番号: H16-創薬-068
• 研究年度: 平成18(2006)年度
• 研究代表者(所属機関): 土屋 利江(国立医薬品食品衛生研究所)

研究分担者(所属機関)

• 松岡　厚子(国立医薬品食品衛生研究所)
• 澤田　留美(国立医薬品食品衛生研究所)
• 中岡　竜介(国立医薬品食品衛生研究所)
• 片倉　健男(テルモ株式会社)
• 田村　知明(オリンパス株式会社)
• 増田　茂樹(株式会社カネカ)
• 平谷　治之(株式会社メニコン)
• 坂井　正宗(株式会社ウベ循研)
• 富畑賢司(グンゼ株式会社)
• 小川　哲朗(ペンタックス株式会社)
• 阿蘇　雄(株式会社高研)
• 脇谷　滋之(大阪市立大学大学院医学系研究科)
• 富田　直秀(京都大学国際融合創造センター創造部門)
• 吉川　秀樹(大阪大学大学院医学系研究科)
• 新岡　俊治(東京女子医科大学心臓血管外科)
• 澤　芳樹(大阪大学大学院医学系研究科)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
• 研究開始年度: 平成16(2004)年度
• 研究終了予定年度: 平成18(2006)年度
• 研究費: 27,000,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

幹細胞等再生医療品および材料開発と品質・有効性・臨床評価指標開発と評価方法の標準化を行う。

研究方法

魚等アテロコラーゲン調製。薬物徐放性コンタクトレンズ作製。ヒト間葉系幹細胞(hMSC)FISHを用いる染色体異常解析。hMSC：DNAtipとReal-timePCR。三次元培養ヒト骨芽、軟骨細胞増殖度測定。脂肪細胞放出アジポネクチン定量。フィブロイン摩擦下軟骨再生。ミニブタ軟骨欠損へ細胞支持体移植。骨分化測定方法検討。HAP-collの前処理法検討。ブタ同種移植ヒト骨格筋芽細胞のヌードマウス心臓移植。疾患患者血清関節液の分析。良性骨腫瘍・骨髄培養人工骨単純X線、SPECT、造影MRI等で骨組織評価。血管ポリマー骨髄液細胞播種47症例。心筋梗塞ラット、拡張型心筋症ハムスター,イヌ,ヒトへの自己骨格筋芽細胞重層筋芽シート移植。

結果と考察

EGF放出コンタクトレンズ作成。多糖生分解性ポリマー複合化。c-mycプローブ300細胞観察で異常確認可能。hMSC老化遺伝子とFGF-2の老化抑作用検出。機能性多糖三次元培養、MTT試薬で結果が異なった。脂肪細胞中性脂肪はアジポネクチン量と相関。再生軟骨Magnetic Stirring刺激下、軟骨組織形成良好。関節軟骨欠損ミニブタ治癒成績は、骨髄細胞支持体により異なった。hMSC骨分化は、フローサイトメトリーで測定可。HAP-coll複合体は、HAPに比べAlkaline phosphatase活性が高い。蛍光ラベル移植細胞は４週間移植部位に存在。軟寒天コロニー法は、腫瘍細胞0.1%以上３週間培養でコロニー検出可。軟骨代謝産物等変形性関節症マーカー明示。再生骨評価は、造影MRIで血流組織新生、SPECTで骨代謝評価。バイオ血管47症例移植終了し経過観察良好。心筋再生臨床評価は、筋芽細胞シート移植群、繊維化抑制、新生血管増加、アポトーシス抑制効果有。

結論

研究要旨　軟骨再生・骨再生・心筋再生と製品に使用される組織工学材料の開発、およびそれらの製品の品質・安全性と臨床評価を含む有効性評価技術の標準化を行う。眼科では、治療的レンズ材料の開発を行う。ガイドライン化は、心筋再生は、次世代医療機器評価指標事業で、軟骨再生、骨再生は、再生医療の早期ガイドライン化研究班で作成している。具体的には、16項目について研究を行い、以下に示す成果をあげた。特に、軟骨再生では、優れた担体を開発し、培養せず、縫合せず良好な組織像を示す非侵襲性軟骨再生治療法をミニブタで成功した。

公開日・更新日

• 公開日: 2007-04-16
• 更新日: -

文献情報

• 文献番号: 200614058B
• 報告書区分: 総合
• 研究課題名: 幹細胞等を用いた細胞組織医療機器の開発と評価技術の標準化
• 課題番号: H16-創薬-068
• 研究年度: 平成18(2006)年度
• 研究代表者(所属機関): 土屋 利江(国立医薬品食品衛生研究所)

研究分担者(所属機関)

• 松岡　厚子(国立医薬品食品衛生研究所)
• 澤田　留美(国立医薬品食品衛生研究所)
• 中岡　竜介(国立医薬品食品衛生研究所)
• 片倉　健男(テルモ株式会社)
• 田村　知明(オリンパス株式会社)
• 増田　茂樹(株式会社カネカ)
• 平谷　治之(株式会社メニコン)
• 坂井　正宗(株式会社ウベ循研)
• 富畑　賢司(グンゼ株式会社)
• 小川　哲朗(ペンタックス株式会社)
• 阿蘇　雄(株式会社高研)
• 脇谷　滋之(大阪市立大学大学院医学系研究科)
• 富田　直秀(京都大学国際融合創造センター創造部門)
• 吉川　秀樹　(大阪大学大学院医学系研究科)
• 新岡　俊治(東京女子医科大学心臓血管外科)
• 澤　芳樹(大阪大学大学院医学系研究科)
• 森山　剛(オリンパス光学工業株式会社)
• 中村　直仁(国立医薬品食品衛生研究所)
• 苅谷　豊(生化学工業株式会社)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
• 研究開始年度: 平成16(2004)年度
• 研究終了予定年度: 平成18(2006)年度
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

力学も考慮した再生軟骨・難治性骨欠損治療・骨髄幹細胞からの再生人工血管・心筋再生など緊急性のある研究内容を含む。従来の医工連携や国研単独での枠組みでは得られなかった実用的で優れた細胞組織医療機器・医療材料開発を目的とする。本研究では、幹細胞におけるいくつかの遺伝子等について調べ、その安全性を迅速に低コストで評価できる系の確立を目的とした。

研究方法

魚等アテロコラーゲン調製。薬物徐放性コンタクトレンズ作製。ヒト間葉系幹細胞(hMSC)FISHを用いる染色体異常解析。hMSC：DNAtipとReal-timePCR。三次元培養ヒト骨芽、軟骨細胞増殖度測定。脂肪細胞放出アジポネクチン定量。フィブロイン摩擦下軟骨再生。ミニブタ軟骨欠損へ細胞支持体移植。骨分化測定方法検討。HAP-collの前処理法検討。ブタ同種移植ヒト骨格筋芽細胞のヌードマウス心臓移植。疾患患者血清関節液の分析。良性骨腫瘍・骨髄培養人工骨単純X線、SPECT、造影MRI等で骨組織評価。血管ポリマー骨髄液細胞播種47症例。心筋梗塞ラット、拡張型心筋症ハムスター,イヌ,ヒトへの自己骨格筋芽細胞重層筋芽シート移植。

結果と考察

EGF放出コンタクトレンズ作成。多糖生分解性ポリマー複合化。c-mycプローブ300細胞観察で異常確認可能。hMSC老化遺伝子とFGF-2の老化抑作用検出。機能性多糖三次元培養、MTT試薬で結果が異なった。脂肪細胞中性脂肪はアジポネクチン量と相関。再生軟骨Magnetic Stirring刺激下、軟骨組織形成良好。関節軟骨欠損ミニブタ治癒成績は、骨髄細胞支持体により異なった。hMSC骨分化は、フローサイトメトリーで測定可。HAP-coll複合体は、HAPに比べAlkaline phosphatase活性が高い。蛍光ラベル移植細胞は４週間移植部位に存在。軟寒天コロニー法は、腫瘍細胞0.1%以上３週間培養でコロニー検出可。軟骨代謝産物等変形性関節症マーカー明示。再生骨評価は、造影MRIで血流組織新生、SPECTで骨代謝評価。バイオ血管47症例移植終了し経過観察良好。心筋再生臨床評価は、筋芽細胞シート移植群、繊維化抑制、新生血管増加、アポトーシス抑制効果有。

結論

軟骨再生・骨再生・心筋再生と製品に使用される組織工学材料の開発、およびそれらの製品の品質・安全性と臨床評価を含む有効性評価技術の標準化を行う。16項目について研究を行い、以下に示す成果をあげた。特に、軟骨再生では、優れた担体を開発し、培養せず、縫合せず良好な組織像を示す非侵襲性軟骨再生治療法をミニブタで成功した。

公開日・更新日

• 公開日: 2007-04-16
• 更新日: -

行政効果報告

• 文献番号: 200614058C

成果

• 専門的・学術的観点からの成果: EGF放出コンタクトレンズ開発。FISH技術幹細胞染色体異常解析。hMSC細胞老化とbFGF老化抑制・増殖回復機構明示。3次元培養物MTT試薬限界。三次元非破壊的脂肪分化測定可。開発担体はミニブタ再生軟骨成績良好。MRI非侵襲的再生軟骨診断。変形性関節症マーカー開発。再生骨製品フローサイトメトリー評価系開発。HAP-coll骨分化能上昇前処理法開発。軟寒天コロニー法標準化。移植した骨格筋細胞４週間存在。骨再生画像評価は、造影MRIとＳＰＥCTが有用。骨髄細胞播種。心筋再生細胞シート治療効果的。
• 臨床的観点からの成果: 変形性関節症マーカーを開発し、早期診断ができれば、早期に軟骨再生治療を行なうことが可能となり、治療効果が上がる。骨再生について、有効性の定量的臨床評価法を開発した。スキャホールドに細胞が存在、非存在の場合での有効性効果を定量的に比較することが可能となり、骨再生の正確な臨床評価が可能となった。心筋再生において、スタート時は、小動物実験であったが、犬、ブタと大型動物実験を成功させ、3年目に、ヒトでの臨床研究の実施に進めることができた。
• ガイドライン等の開発: 心筋再生細胞シートは、次世代医療機器事業の再生医療分野の対象医療機器に選ばれた。平成17年度報告書、平成18年度報告書にガイドラインのための評価指標（案）を作成した。この研究で、得られた成果等を基に、骨再生、軟骨再生、角膜再生、歯槽骨再生、歯周組織再生の審査に必要なガイドライン(案)を作成中である。
• その他行政的観点からの成果: 平成17年度からスタートした次世代医療機器事業の一つに 再生医療分野が選ばれた。厚生労働省医療機器審査管理室および医薬品医療機器総合機構と連携しつつ、審査WGの事務局を担っている。次世代型再生医療品審査の迅速化のための評価指標作成により、治療が必要な患者様に優れた再生治療の実現が可能となる。再生医療品の産業化もすすむ。評価指標案は、経済産業省の医療機器開発ガイドライン検討会（開発WG）との合同検討会で報告後、医薬品医療機器総合機構での審議とパブコメ後、厚生労働省の部会へ報告し、室長通知となる。
• その他のインパクト: Medical Academy News(2件)：2007,1,11､最先端研究を先回りして評価指標・ＧＬを樹立,2006,1,21.次世代医療機器研究開発を製品へと引き上げる。バイオテクノロジージャーナ:2007,3-4､スペシャル対談「研究開発と制度の動向」.日経バイオテク：2007,4,7,ビジネスレビュー「実用化に向けて動き出す再生医療」Nature(2007,3,27),Nature jobs & events「臨床試験や審査・承認の現場が新しい展開を迎えている」 成果発表会3回開催

発表件数

• 原著論文（和文）: 4件 ; 澤田留美、伊藤友美、土屋利江、細胞組織利用医療機器に用いられる幹細胞の品質および安全性評価、薬学雑誌、2007 他
• 原著論文（英文等）: 72件 ; Ito T, Sawada R, Tsuchiya T., FGF-2 suppresses cellular senescenceー BBRC 2007 他
• その他論文(和文): 43件 ; 土屋利江、テｲッシュエンジニアリングとガイドライン、テｲッシュエンジニアリング2007、岡野光夫、田畑泰彦編、241-244 他
• その他論文(英文等): 2件 ; Toshie Tsuchiya, A useful markerーTissue Engineered Medical Products, 2004
• 学会発表(国内学会): 100件 ; 松岡厚子、松田良枝、土屋利江：Invitro培養ヒト間葉系幹細胞の細胞遺伝学的安全性評価、第6回日本再生医療学会総会（平成19年3月13-14日）他
• 学会発表(国際学会等): 22件 ; T. Ito, R. Tsuchiya et al.TGFβ gene expresiion analysis in hMSCs).19th Int.JAACT
• その他成果(特許の出願): 0件 ; 「出願」「取得」計12件
• その他成果(特許の取得): 0件 ; 「生体組織補填材とその製造方法」、「細胞分化を促進し、かつ炎症を抑制する人工器官」、「生体組織補填材とその製造方法」
• その他成果(施策への反映): 4件 ; 平成17,18,19年度次世代医療機器事業体内埋め込み型材料審査ＷＧ報告書2件(バイオマテリアル）再生医療審査ＷＧ報告書2件（心筋再生 細胞シート）
• その他成果(普及・啓発活動): 9件 ; 平成16.17.18年度厚生労働科学研究費補助金創薬等ヒューマンサイエンス総合研究推進事業研究成果発表3件・新聞発表2件・雑誌4件

主な原著論文20編（論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る）

• 原著論文1: Ito T, Sawada R, Tsuchiya T.et.al; FGF-2 suppresses cellular senescence of human mesenchymal stem cells by down-regulation of TGF-beta2; Biochem Biophys Res Commun, , 359 (1) , 108-114 (2007)
• 原著論文2: Rumi Sawada, Tomomi Ito ,Toshie Tsuchiya; Changes in expression of genes related to cell population in human mesenchymal stem cells during in vitro culture in comparison with cancer cells; J. Artificial Organs , 9 , 179-184 (2006)
• 原著論文3: 澤田留美、伊藤友美、土屋利江、; 胞組織利用医療機器に用いられる幹細胞の品質および安全性評価について; 薬学雑誌 , 127 (5) , 851-856 (2007)
• 原著論文4: 石黒（長幡）操、寺本彰、土屋利江他; ラット頭蓋冠由来骨芽細胞のALPase活性を促進する硫酸化ヒアルロン酸; 繊維学会誌 , 61 , 98-102 (2005)
• 原著論文5: Banu N, Tsuchiya T,; Markedly different effects of hyaluronic acid and chondroitin sulfate-A on the differentiation of hunman articular chondrocytes in micromass and 3-D honeycomb rotation cultures.; J. Biomed. Mater. Res. , 80 , 257-267 (2007)
• 原著論文6: D.Y. Jung, Y.B. Kang, T. Tsuchiya,et.al; A novel non-destructive method for measuring elastic moduli of cultivated cartilage tissues ; Key Engineering , 342 , 853-856 (2007)
• 原著論文7: Masato Tamai, Kazuo Isama, Ryusuke Nakaoka et.al ; Synthesis of novel β-tricalcium phosphate/haydroxyapatite biphasic calcium phosphate containing niobium ions and evaluation of ostelgenic properties; J Artif Organs. , 10 (1) , 22-28 (2007)
• 原著論文8: Tsutomu Nagira, Misao Nagaha-Ishiguro, Toshie Tsuchiya, ; Effects of sulfated hyaluronan on keratinocyte differentiation and Wnt and Notch gene expression.; Biomaterials , 28 , 844-850 (2007)
• 原著論文9: Yuping Li, Tsutomu Nagira, Toshie Tsuchiya; The effect of hyaluronic acid on insulin secretion in HIT-T15 cells through the enhancement of gap junctional intercellular communication,; Biomaterial , 27 , 1437-1443 (2006)
• 原著論文10: Nasreen Banu, Toshie Tsuchiya, Rumi Sawada; Effects of biodegrabable polymer synthesized with inorganic tin on the chondrogenesis of human articular cartilage; J Biomed Mater Res , 77 , 84-89 (2006)
• 原著論文11: Tsutomu Nagira, Susan Bijoo Matthew, Toshie Tsuchiyaet al; Enhancement of Gap Junctional Intercellular Communication of Normal Human Dermal Fibroblasts Cultured on Polystyrene Dishes Grafted with Poly-N-isopropylacrylamide(PIPAAm),; Tissue Engineering, , 11 , 1392-1397 (2005)
• 原著論文12: Misao Nagahata, Ryusuke Nakaoka, Toshie Tsuchiya et al.; The response of normal human osteoblasts to anionic polysaccharide polyelectrolyte complexes, ; Biomaterials , 26 , 5138-5144 (2005)
• 原著論文13: Nagahata M, Tsuchiya T, Ishiguro T et al.; A novel function of N-cadherin and Connexin43: marked enhancement of alkaline phosphatase activity in rat calvarial osteoblast exposed to sulfated hyaluronan; Biochem Biophys Res Commun, , 315 , 603-611 (2004)

公開日・更新日

• 公開日: 2015-05-26
• 更新日: -