新しい粘膜アジュバントおよび粘膜ワクチンの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200614049A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい粘膜アジュバントおよび粘膜ワクチンの開発に関する研究
課題番号
H16-創薬-057
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 秀樹(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 萩原由加利(社団法人北里研究所・生物製剤研究所)
  • 東 雍(財団法人阪大微生物病研究会・観音寺研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
安全で防御効果の高い経鼻投与型インフルエンザワクチンに用いるヒトで使用可能な粘膜アジュバントの開発を目的とする。
研究方法
マウスのインフルエンザモデルを用い各種新規アジュバントをインフルエンザワクチンと共に経鼻接種し粘膜免疫応答、全身免疫応答、ウイルス感染防御能、について免疫学的、病理学的に検索した。新しいアジュバントとしてヒトでの安全が確認されている合成二本鎖RNA(polyI:polyC12U),コレラトキシンダブルミュータント(dmCT)、を用いた。ワクチンにはA/PR8,HAスプリットワクチンもしくはH5N1不活化ウイルス全粒子ワクチンを用いた。
結果と考察
アジュバントにpolyI:polyC12Uを用いた群ではインフルエンザワクチンとの併用により抗原性の異なる高病原性鳥インフルエンザ感染に対して感染防御が成立した。全粒子不活化ワクチンが免疫原性に優れていた。またdmCTアジュバント活性の性質の差の理由の一つは、樹状細胞に対する影響の違いに起因していることが明らかとなった。
結論
二本鎖RNA(polyI:polyC12U)はToll-like receptor 3を介し自然免疫を刺激する事により安全で有効な粘膜免疫のアジュバントとなる事が示された。ヒトでの応用が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614049B
報告書区分
総合
研究課題名
新しい粘膜アジュバントおよび粘膜ワクチンの開発に関する研究
課題番号
H16-創薬-057
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 秀樹(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 萩原 由加利(社団法人北里研究所・生物製剤研究所)
  • 東 雍(財団法人阪大微生物病研究会・観音寺研究所)
  • 田村慎一(大阪大学微生物病研究所)
  • 駒瀬勝啓(社団法人北里研究所・生物製剤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
安全で防御効果の高い経鼻粘膜投与型インフルエンザワクチンの開発を目指しヒトで使用可能な粘膜アジュバントの開発を目的とする。
研究方法
マウスのインフルエンザモデルを用い各種新規アジュバントをインフルエンザワクチンと共に経鼻接種し粘膜免疫応答、全身免疫応答、ウイルス感染防御能、について免疫学的、病理学的に検索した。新しいアジュバントとしてヒトでの安全が確認されている合成二本鎖RNA(polyI:polyC12U),キチン微粒子(Chitin microparticles)、コレラトキシンダブルミュータント(dmCT)、を用いた。ワクチンにはA/PR8,HAスプリットワクチン、H5N1不活化ウイルス全粒子ワクチンを用いワクチンの製剤による免疫原性の違いを比較した。
結果と考察
アジュバントに二本鎖RNA, polyI:polyC12Uを用いた群ではインフルエンザワクチンとの併用により抗原性の異なる高病原性鳥インフルエンザ感染に対して感染防御が成立した。キチン微粒子(Chitin microparticles)を用いた経鼻インフルエンザワクチン投与で防御可能な粘膜免疫応答が可能であった。全粒子不活化ワクチンが免疫原性に優れていた。またdmCTアジュバント活性の性質の差の理由の一つは、樹状細胞に対する影響の違いに起因していることが明らかとなった。
二本鎖RNAアジュバントはToll-like receptor 3を介し自然免疫を活性化しアジュバント作用に結びついていることが経鼻インフルエンザワクチンを用いて証明された。
結論
ヒトで安全が確認されている二本鎖RNA(polyI:polyC12U)は自然免疫を刺激する事により安全で有効な粘膜免疫のアジュバントとなる事が示された。ヒトでの応用が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614049C

成果

専門的・学術的観点からの成果
高病原性インフルエンザH5N1のマウス感染モデルを用いアジュバント併用経鼻H5N1ワクチンによる交叉防御能を示した。また、ヒトでの安全性が確認されている二本鎖RNAであるpolyI:polyC12Uを用いて交叉防御能を持つ粘膜免疫誘導が可能であった。
臨床的観点からの成果
マウスモデルでの研究成果を踏まえ、ヒトで安全性が確認されているpolyI:polyC12Uをアジュバントとして用いた不活化インフルエンザワクチンの開発につながる基礎的な成果が得られた。
ガイドライン等の開発
なし。
その他行政的観点からの成果
新型インフルエンザ対策として平成19年度より臨床応用を目指し、厚生労働科学研究費医療技術実用化総合研究事業「経鼻粘膜投与型インフルエンザワクチンの臨床応用に関する研究」の採択へ繋がった。
その他のインパクト
Medical Tribune紙、2006年1月19日「経鼻接種アジュバント併用不活化インフルエンザワクチンー抗原変異や新型ウイルスにも対応可能」
公開シンポジウム「日本発ワクチンを目指して」発表演題「経鼻粘膜投与型インフルエンザワクチンの開発」日時:平成19年2月7日、主催:(独)医薬基盤研究所、国立感染症研究所、東京大学医科学研究所、大阪大学微生物病研究所 日本ワクチン学会、

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
公開シンポジウム

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hasegawa H, Ichinohe T, Strong P et al.
Protection against influenza virus infection by intranasal administration of HA vaccine with chitin microparticles as an adjuvant.
Journal of Medical Virology , 75 , 130-136  (2005)
原著論文2
Ichinohe T, Watanabe I, Ito S et al.
Synthetic double-stranded RNA [poly (I:C)] combined with mucosal vaccine protects against influenza virus infection.
Journal of Virology , 79 (5) , 2910-2919  (2005)
原著論文3
Ichinohe T, Ito S, Kawaguchi A et al.
Protection against influenza virus infection by intranasal vaccine with Surfclam Powder as a mucosal adjuvant.
Journal of Medical Virology , 78 , 954-963  (2006)
原著論文4
Asahi-Ozaki Y., Itamura S., Ichinohe T. et al.
Intranasal administration of adjuvant-combined recombinant influenza virus HA vaccine protects mice from the lethal H5N1 virus infection.
Microbes and Infection , 8 (12) , 2706-2714  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-