文献情報
文献番号
200614048A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)重症化機序の分子細胞システムとしての理解に基づく新たな制御方法の確立に関する研究
課題番号
H16-創薬-055
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松本 健治(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 斎藤博久(理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター)
- 山名研司郎(興和創薬株式会社 医薬研究所)
- 福田好晃(第一アスビオファーマ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)における組織の非可逆的な変化(リモデリング)の発症機序や病態を網羅的な遺伝子の発現解析法を用いて解析し、組織全体、細胞全体のシステムとして理解した上で、責任分子群を制御することによる特異的なアレルギー疾患の治療法を開発することを最終目標とする。
研究方法
1. 気道上皮細胞を細菌由来物質やRSウイルスで刺激後、網羅的な遺伝子発現解析を行った。2. 気管支喘息患者肺生検組織や成人末梢血造血幹細胞由来マスト細胞におけるTSLPの発現について検討した。3. ブレオマイシン誘発肺線維症モデルにおける網羅的な遺伝子発現解析を行った。4. マウス好酸球の網羅的な遺伝子発現解析を行った。 臍帯血や成人末梢血の採取、および気管支生検に関しては「臨床試験に関する倫理指針(平成15年厚生労働省告示第255号)」に従い、各医療機関の倫理委員会の許可を得たのち、ボランティア及び患者から文書によるインフォームドコンセントを取得して行われた。倫理的な問題はなかった。
結果と考察
1. Jagged 1とDelta 1という相反する作用をもつNotch ligandの発現がTh1およびTh2 サイトカインによりreciprocalな制御を受けていることが明らかとなった。また、Th2環境下でのRSV感染がMCP-1をはじめとする幾つかの分子群の発現を特異的に増強することが明らかとなった。2. ヒト肺マスト細胞はIgE抗体を介した刺激によってTSLPを産生し、気管支喘息の病態に重要な役割を演じている可能性が示唆された。3. ブレオマイシン誘発肺線維症モデルにおいて、病態の進行に伴い発現亢進する遺伝子群としてPsrc1やOsteopontinが、また発現減弱する遺伝子としてCLCA3(hCLCA1)が同定された。4. マウスも好酸球にはALOX15やC3AR、PTGS2など、400余りの遺伝子が特異的に発現していることが明らかとなった。
結論
各種気道上皮細胞やマウス肺繊維症モデル、マウス好酸球を用いた網羅的な遺伝子発現解析を行い、気管支喘息やCOPDの病態に関する分子生物学的機序を検討した。また気管支喘息患者肺生検組織を用いてTSLPがマスト細胞から産生されることを見いだした。
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
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