文献情報
文献番号
200614046A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物等の新機能性に関する研究
課題番号
H16-創薬-053
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
広瀬 雅雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
- 津田 洋幸(名古屋市立大学大学院医学研究科)
- 今井田 克己(香川大学医学部)
- 鈴木 幸雄(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我々が新たに開発したDMHとデキストラン硫酸(DSS)の組合せ投与によるラット大腸中期発がん性試験法、ヒトプロト型c-Ha-rasを導入したラット乳腺発がん高感受性モデル及びDEN投与と部分肝切除を応用したラット肝中期発がん性試験法を用いて、フラボノイドを主成分とする既存添加物のがん予防作用をスクリーニングする。
研究方法
(1)大腸:F344雄ラットにDMH(40mg/kg体重)を1週間に3回皮下投与した後、DSS(1%)を1週間飲水投与し、第4週より酵素処理イソクエルシトリン(EMIQ)、イソクエルシトリン(IQ)あるいはヤマモモ抽出物(CBB)を0、0.01、0.1及び1%濃度で10及び20週目まで混餌投与し、大腸粘膜の病理組織学的検索を行った。(2)肝臓:F344雄ラットにDEN(200mg/kg体重)を1回腹腔内投与し、2週後からEMIQを大腸実験と同濃度で混餌投与し、実験3週目で2/3肝部分切除を行った。実験は8週で終了し、肝臓のGST-P陽性細胞巣を定量的に解析した。(2)乳腺:16年度に乳腺発がん高感受性モデルにおいて発がん抑制作用を示したムラサキトウモロコシ色素(PCC)について、同ラットの乳腺腫瘍由来細胞株を樹立し、PCCを2μM-2mMの濃度で培地に添加して細胞増殖に対する影響を、0.1-0.5 mM濃度で添加してアポトーシス誘発について検討した。また、野生型SD雌ラット各群12匹にDMBA(25 mg/kg体重)を一回強制経口投与し、翌日よりPCCを0及び1%の濃度で20週間、混餌投与した。
結果と考察
(1) EMIQ-0.01及び1%群において、20週時、腺癌の発生数あるいは腫瘍体積が減少傾向を示し、IQは10週時点で明らかな効果を示さなかった。CBB-1%群において、20週時、腺腫及び腺癌の発生頻度、数、腫瘍体積が、有意な減少あるいは減少傾向を示した。(2) EMIQは有意な抑制作用を示さなかった。(3)PCCは、野生型ラットの乳がんの発生頻度、腫瘍体積を有意に抑制した。細胞増殖に関しては、細胞数が濃度依存的に減少した。また、アポトーシス細胞が有意に増加した。
結論
EMIQ及びCBBは、弱いながら大腸発がん抑制作用を有することが示唆された。PCCは、野生型ラットにおけるDMBA誘発乳腺発がんを抑制し、その機序として細胞増殖抑制及びアポトーシス誘発作用の関与している可能性が示された。
公開日・更新日
公開日
2007-04-19
更新日
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