食品からの食中毒起因菌の高感度迅速検出法の開発とリスクマネージメントへの応用

文献情報

文献番号
200614045A
報告書区分
総括
研究課題名
食品からの食中毒起因菌の高感度迅速検出法の開発とリスクマネージメントへの応用
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-創薬-052
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 天野 富美夫(大阪薬科大学 薬学部)
  • 池袋 一典(東京農工大学 工学部)
  • 矢内原 千鶴子(矢内原研究所)
  • 大田 博昭(シーエーエフラボラトリーズ 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品および環境中の食中毒起因菌の検出に有効な抗原あるいはマーカーとなる遺伝子を特定し、これを利用した高感度迅速検出法を開発し、食中毒起因菌のリスクマネージメントへの応用を検討し、食品および環境中における当該微生物の制御に関する方向性を見いだす。
研究方法
検査の迅速化の方法としては、菌に特異的な抗原を利用する免疫学的な検出と、菌の遺伝子を利用する検出の2つの手法につき検討を行った。当該抗原の免疫学的検出法としては、矢内原らが抗体作成にあたり、遺伝子を用いた迅速検査法のシステム開発は池袋らが担当した。検査の標的とする抗原並びに遺伝子の検討は、山本、五十君、天野らが担当し、特異的な抗原の選定および、感染論に根ざした病原性に重要な新奇のタンパク質の検討を行った。これらの結果として得られる迅速検討法をリスクマネージメントに応用する現場での検討は、養鶏場を持つ大田らが担当した。
結果と考察
サルモネラとカンピロバクター等の病原性、環境抵抗性などの因子の解析により、新奇の病原因子と重要な環境抵抗因子を発見し、それぞれの菌における病原性や環境抵抗性に関する基礎的知見を得た。サルモネラの新たな病原因子であるSEp22については、活性酸素分子種のうち、過酸化水素により特異的に誘導されることが示され、サルモネラの衛生対策としては、次亜塩素酸による鶏卵の洗浄が有効と思われる。これらの因子は食品衛生上リスクの高いと思われる菌群を特定するマーカーとなることから、これらを標的とし、菌の検出に有効な特異的抗体作成を行い、検出用の遺伝子配列を決定した。黄色ブドウ球菌とリステリアの病原因子に対するモノクローナル抗体の作成を行った。
遺伝子を標的とした検出法については、遺伝子を用いた高感度検出システムとしては、二本鎖DNAの特異的塩基配列を認識するZn fingerタンパク質を用いてPCR産物を特異的に迅速検出する方法を開発した。リスクマネージメントへの応用の検討は、従来の培養による検査法によるリスク管理に加え、迅速法も併用した。
結論
サルモネラとカンピロバクターの病原性や環境抵抗性に関わる新奇の因子を特定し、その機能を明らかにした。この因子をマーカーとし、抗体および遺伝子配列を利用した高感度迅速検出法を開発し、食品衛生上特に制御の必要と思われる菌群の検出法を提供し、当該菌群のリスクマネージメントへの応用を検討した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614045B
報告書区分
総合
研究課題名
食品からの食中毒起因菌の高感度迅速検出法の開発とリスクマネージメントへの応用
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-創薬-052
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 天野 富美夫(大阪薬科大学 薬学部)
  • 池袋 一典(東京農工大学 工学部)
  • 矢内原 千鶴子(矢内原研究所)
  • 大田 博昭(シーエーエフラボラトリーズ 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品および環境中の食中毒起因菌の検出に有効な抗原あるいはマーカーとなる遺伝子を特定し、これを利用した高感度迅速検出法を開発し、食中毒起因菌のリスクマネージメントへの応用を検討し、食品および環境中における当該微生物の制御に関する方向性を見いだす。
研究方法
検査の迅速化の方法としては、菌に特異的な抗原を利用する免疫学的な検出と、菌の遺伝子を利用する検出の2つの手法につき検討を行った。当該抗原の免疫学的検出法としては、矢内原らが抗体作成にあたり、遺伝子を用いた迅速検査法のシステム開発は池袋らが担当した。検査の標的とする抗原並びに遺伝子の検討は、山本、五十君、天野らが担当し、特異的な抗原の選定および、感染論に根ざした病原性に重要な新奇のタンパク質の検討を行った。これらの結果として得られる迅速検討法をリスクマネージメントに応用する現場での検討は、養鶏場を持つ大田らが担当した。
結果と考察
サルモネラとカンピロバクター等の病原性、環境抵抗性などの因子の解析により、新奇の病原因子と重要な環境抵抗因子を発見し、それぞれの菌における病原性や環境抵抗性に関する基礎的知見を得た。サルモネラのSEp22については、新たな病原因子であり、その性質、構造、機能などを明らかにした。カンピロバクターの新たなストレス応答性のタンパク質は、本菌の酸素処理に係わることを示した。これらの因子は食品衛生上リスクの高いと思われる菌群の特定や菌の状態のマーカーとなることから、これらを標的とし、菌の検出に有効な特異的抗体作成を行い、検出用の遺伝子配列を決定した。黄色ブドウ球菌とリステリアは病原因子に対するモノクローナル抗体の作成を行った。遺伝子を標的とした検出法については、遺伝子を用いた高感度検出システムとしては、二本鎖DNAの特異的塩基配列を認識するZn fingerタンパク質を用いてPCR産物を1分以内で特異的に迅速検出する方法を開発した。リスクマネージメントへの応用は、養鶏場のサルモネラの管理に適用し、従来の培養による検査法に加え、迅速法も併用した。
結論
サルモネラとカンピロバクターの病原性や環境抵抗性に関わる新奇の因子を特定し、その機能を明らかにした。この因子をマーカーとし、抗体および遺伝子配列を利用した高感度迅速検出法を開発し、食品衛生上特に制御の必要と思われる菌群の検出法を提供し、リスクマネージメントへの応用を検討した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614045C

成果

専門的・学術的観点からの成果
サルモネラとカンピロバクター等の病原性、環境抵抗性などの因子の解析により、新奇の病原因子と重要な環境抵抗因子を発見し、それぞれの菌における病原性や環境抵抗性に関する基礎的知見を得た。これらの因子は食品衛生上リスクの高いと思われる菌群を特定するマーカーとなることから、これらを標的とし、菌の検出に有効な特異的抗体作成を行い、検出用の遺伝子配列を決定した。遺伝子を用いた高感度検出システムとしては、Zn fingerタンパク質を用いてPCR産物を特異的に迅速検出する方法を開発した。
臨床的観点からの成果
サルモネラとカンピロバクター等の病原性、環境抵抗性などの因子の解析により、新奇の病原因子と重要な環境抵抗因子を発見し、それぞれの菌における病原性や環境抵抗性に関する基礎的知見を得た。サルモネラの新たな病原因子であるSEp22については、活性酸素分子種のうち、過酸化水素により特異的に誘導されることが示され、サルモネラの衛生対策として、次亜塩素酸による鶏卵の洗浄が有効であることを確認した。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
食品および環境中の食中毒起因菌の検出に有効な抗原あるいはマーカーとなる遺伝子を特定し、これを利用した高感度迅速検出法を開発した。迅速な細菌検査法と従来の培養による検査法を併用し、産卵鶏のサルモネラ制御に適用し、本菌のリスクマネージメントへの迅速検査法を導入した場合の検査結果の妥当性に関する検証を行っており、迅速検査法導入の有用性を検討している。
その他のインパクト
2005年にオーストラリアで開催されたカンピロバクター、ヘリコバクター等に関する国際学会で、本研究の成果に関する報告を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
5件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
17件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yamasaki M, Igimi S, Katayama Y et al.
Identification and characterization of an oxidative stress-responsive protein from Campylobacter jejuni, homologous to Rubredoxin Oxidoreductase/Rubrerythrin.
FEMS Microbial. Letters. , 235 (1) , 57-63  (2004)
原著論文2
3. Fukuda S, Tatsumi H, Igimi S et al.
Improved bioluminescent enzyme immunoassay for the rapid detection of Salmonella in chicken meat samples.
Letters in Applied Microbiology , 41 , 379-384  (2005)
原著論文3
Terai S, Yamasaki M, Igimi S et al.
Expression of SEp22, a pathogenicity –related protein of Salmonella Dps, in Salmonella enterica serovar Enteritidis isolated from the poultry farms in Japan.
Bioscience and Microflora , 24 , 113-118  (2005)
原著論文4
Igimi S, Yamasaki M, Yamamoto S et al.
An anti-Salmonella antibody prevents the Salmonella enterica serovar Enteritidis from infecting a human intestinal epithelial cell line, Caco-2, by interacting with flagella.
Bioscience & Microflora , 25 (3) , 117-119  (2006)
原著論文5
Terai S, Yasuda M and Amano F.
Regulation of Sep22 expression in Salmonella enterica subsp. enterica serover Enteritidis by culturemedium.
Microbe and Environmen , 21 , 36-43  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-