ボツリヌス神経毒素有効成分を利用したジストニア・痙縮等の治療法の確立と筋萎縮性側索硬化症に対するdrug delivery systemの開発

文献情報

文献番号
200614041A
報告書区分
総括
研究課題名
ボツリヌス神経毒素有効成分を利用したジストニア・痙縮等の治療法の確立と筋萎縮性側索硬化症に対するdrug delivery systemの開発
課題番号
H16-創薬-047
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梶 龍兒(徳島大学)
研究分担者(所属機関)
  • 小崎 俊司(大阪府立大学大学院 農学生命科学研究科)
  • 小熊 惠二(岡山大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 原川 哲博((財)化学及血清療法研究所 血液製剤研究部)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第2部第3室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究による治療の対象であるジストニアの病態生理・発症機序を明らかにし、ボツリヌス神経毒素有効成分(NTX)の安全性・有効性を検討する。NTXのレセプターを解明しdrug delivery systemとしての臨床応用を試みる。
研究方法
1) 徳島大学倫理審査委員会の承認のもと遺伝性ジストニアDYT3の患者からDNAを採取し、連鎖解析により明らかになっている候補遺伝子領域をshotgun法を用いて全塩基配列を明らかにし、疾患特異的な遺伝子を検討した。患者凍結脳において候補遺伝子の発現を検討した。
2) 徳島大学倫理審査委員会の承認のもと、全身性ジストニア3例と痙縮5例において、2-3ヶ月にNTX 250-500単位を罹患筋に注射をし、modified Rankin scaleによるADLの改善を指標として有効性・安全性を検討した。
3)ボツリヌス毒素有効成分(NTX)の精製法と受容体を検討した。
結果と考察
ボツリヌス毒素は神経毒素と無毒成分から構成された複合体の形で菌体から放出される。無毒成分は神経毒素を安定化し、種々の条件から神経毒素を保護する働きがある。その一方でこれらの成分がアジュバント活性を持つことが報告されており、神経毒素を単独で用いる方が、長期にわたる治療に適していると考えられるため、神経毒素と無毒成分を効率よく分離することが必要である。
ボツリヌス毒素分子は型に共通したドメイン構造と毒性を持っている。毒素が受容体に結合後、細胞内移行し毒性発現に至る機構を調べることは、drug delivery systemを構築するために必須である。これまで未知であったC型とD型神経毒素の受容体検索を行った結果、従来から予想されていたタンパク様物質ではなく、C型受容体はガングリオシドGT1b、GD1bであり、D型受容体はフォスファチジルエタノールアミンであることが明らかになった。
結論
ボツリヌス毒素重鎖由来の薬剤が中枢の特定のニューロンに極めて高い親和性で結合することからdrug delivery systemとして「中枢神経系での分子標的薬剤」として発展する可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614041B
報告書区分
総合
研究課題名
ボツリヌス神経毒素有効成分を利用したジストニア・痙縮等の治療法の確立と筋萎縮性側索硬化症に対するdrug delivery systemの開発
課題番号
H16-創薬-047
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梶 龍兒(徳島大学)
研究分担者(所属機関)
  • 小崎 俊司(大阪府立大学大学院 農学生命科学研究科)
  • 小熊 惠二(岡山大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 原川 哲博((財)化学及血清療法研究所 血液製剤研究部)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第2部第3室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究での治療対象であるジストニアの病態生理・発症機序を明らかにし、ボツリヌス神経毒素有効成分(NTX)の安全性・有効性を検討する。NTXのレセプターを解明しdrug delivery systemとしての臨床応用を試みる。
研究方法
1) 徳島大学倫理審査委員会の承認のもと遺伝性ジストニアDYT3の患者からDNAを採取し、連鎖解析により明らかになっている候補遺伝子領域をshotgun法を用いて全塩基配列を明らかにし、疾患特異的な遺伝子を検討した。患者凍結脳において候補遺伝子の発現を検討した。
2) 徳島大学倫理審査委員会の承認のもと、全身性ジストニア3例と痙縮5例において、2-3ヶ月にNTX 250-500単位を罹患筋に注射をし、modified Rankin scaleによるADLの改善を指標として有効性・安全性を検討した。
3)ボツリヌス毒素有効成分(NTX)の精製法と受容体を検討した。
結果と考察
ボツリヌス毒素は神経毒素と無毒成分から構成された複合体の形で菌体から放出される。無毒成分は神経毒素を安定化し、種々の条件から神経毒素を保護する働きがある。その一方でこれらの成分がアジュバント活性を持つことが報告されており、神経毒素を単独で用いる方が、長期にわたる治療に適していると考えられるため、神経毒素と無毒成分を効率よく分離することが必要である。
ボツリヌス毒素分子は型に共通したドメイン構造と毒性を持っている。毒素が受容体に結合後、細胞内移行し毒性発現に至る機構を調べることは、drug delivery systemを構築するために必須である。これまで未知であったC型とD型神経毒素の受容体検索を行った結果、従来から予想されていたタンパク様物質ではなく、C型受容体はガングリオシドGT1b、GD1bであり、D型受容体はフォスファチジルエタノールアミンであることが明らかになった。
結論
ボツリヌス毒素重鎖由来の薬剤が中枢の特定のニューロンに極めて高い親和性で結合することからdrug delivery systemとして「中枢神経系での分子標的薬剤」として発展する可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614041C