文献情報
文献番号
200614037A
報告書区分
総括
研究課題名
プロテオミクス及び構造生物学的アプローチ等を用いたバイオ医薬品の特性解析・品質評価技術の開発
課題番号
H16-創薬-043
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
- 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所)
- 石川 リカ(キリンビール株式会社医薬カンパニー生産本部研究所)
- 古賀 明子(中外製薬株式会社分析技術研究部)
- 菅原 敬信(財団法人化学及び血清療法研究所菊池研究所)
- 山口 秀人(アステラス製薬株式会社製剤研究所)
- 木村 徹(大日本住友製薬株式会社ゲノム科学研究所)
- 矢野 敬一(協和発酵工業株式会社バイオフロンティア研究所)
- 長谷 純宏(大阪大学大学院理学研究科)
- 掛樋 一晃(近畿大学薬学部)
- 加藤 晃一(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
17,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ゲノム情報やバイオインフォマティクスなどの革新的創薬技術を活用した画期的なバイオ医薬品開発が進み,多くの製品が上市されるようになってきた.しかしその一方で,バイオ医薬品の我が国の開発力の低下が指摘されている.世界的にバイオ医薬品の開発競争が激化する中で日本の国際競争力を高めるため,あるいは,優れた医薬品を迅速に臨床の場に提供するためには,バイオ医薬品開発の初期段階から承認審査に至る開発全般に渡る迅速化・効率化,とりわけ,特性解析/品質評価技術の開発,規格及び試験法の国内整備,並びに国際調和が望まれている.本研究では,プロテオミクスの技術を中心とした最先端のタンパク質特性解析技術を取り入れた迅速かつ効率的なバイオ医薬品の特性解析・品質評価法を開発する.
研究方法
試料としてインスリン,インスリンアナログ,各種抗体,遺伝子組換え型インファーフェロンアルファ等を用いた.MS装置は四重極飛行時間型, 三連四重極型,イオントラップ/FT型等を用いた.NMR装置はECA-920を用いた.
結果と考察
MSを用いたバイオ医薬品の一次構造確認,糖鎖解析,高次構造解析,及び不均一性解析を行い,MSがバイオ医薬品の特性解析/品質評価法として応用可能であること,並びに,糖鎖蛍光標識法及び各種LCは,糖鎖プロファイリングや糖鎖構造解析法として優れていることを確認した.今後,本研究の成果を,MSや糖鎖試験法の国内標準化や国際調和に役立てたいと考えている.また,高次構造評価法及び動物を用いない生物学的性質評価法を検討し,NMRやMSを利用した高次構造評価法は,バイオ医薬品の品質保証や製剤の処方設計への適用が可能であることが示唆された.さらに,抗体医薬品の酸化,N末端のピログルタミン酸形成,及び糖鎖に起因する不均一性評価法を確立した.抗体医薬品の不均一性は,活性や抗原性に影響を与える可能性があるため,本研究の成果は,構造特性解析や安定性評価に役立つと考えられる.また,組織培養インフルエンザウイルス由来HA抗原を大量に得ることに成功し,現行の卵由来ワクチンと同等の免疫原性を示すことを確認した.
結論
MS等を用いたバイオ医薬品の一次構造確認法,糖鎖解析法,高次構造評価法,生物学的性質評価法,及び不均一性評価法を開発した.また,組織培養インフルエンザ由来HA抗原の性状・免疫原性を明らかにした.
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
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