文献情報
文献番号
200614036A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の有効性・安全性を保証するための分析・解析技術の評価と標準化に関する研究
課題番号
H16-創薬-041
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
林 譲(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
- 楠文代(東京薬科大学)
- 片倉啓雄(大阪大学)
- 北原進一(明治製菓)
- 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所)
- 郷田泰弘(日本エンバイロケミカルズ)
- 福泉敦尚(北斗電工)
- 植田泰輔(林純薬工業)
- 北島昭人(富士フィルムRIファーマ株式会社)
- 山上仰(西川計測)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
分析法バリデーションは、定量分析法の統計的信頼性(不確かさ)を把握するための国際ルールであり、ICH、ISOなどの国際機関の提案に基づいている。不確かさは、標準偏差(SD)または相対標準偏差(RSD)で表される。本研究の目的は、不確かさを予測する一般的方法論を作り、その有用性を実験から証明することにある。また、研究成果を、国際規格と国内規格に反映させる。
研究方法
電気化学分析、ラジオアイソトープHPLC、粉末X回折においては、FUMI理論に基づいてノイズを解析することにより測定値のSDとRSDを求める。FUMIは、Function of Mutual Informationの略である。免疫化学測定法では、誤差の伝播法則により、測定値の精度を求める。
結果と考察
電気化学検出FIAの測定精度予測にFUMI理論が適応できることを明らかにし、感度及び精度に優れたFIA条件を最少の実験量で選択する手法を確立できた。従来、このような検討は、経験に基づき試行錯誤で行われているが、本法は、FUMI理論を用い、科学的な根拠に基づく最適化法を確立した。
核医学検査に用いられる多くの放射性同位元素は、健康への影響を最小限に押さえるために、半減期が短い核種が使われている。このため、測定時間中での減衰の度合いが大きいと、くり返し測定により分析値の精度を求めることが不可能となる。FUMI理論を用いれば、ラジオアイソトープHPLCの測定精度を知ることが可能であることが分かった。
経口用製剤の開発においては、結晶性薬物の溶解性向上を図る手段として、非晶質化が有効であるとされている。本研究では、多成分の混合系において、非晶質の定量に用いられる粉末X線回折測定の精度・検出限界を定量的かつ簡便に求める方法をFUMI理論を利用して開発した。
様々な低分子化合物を迅速簡便に定量できる競合免疫化学測定法について、検量線から定量範囲と検出下限を求められることを6種の市販ELISAキットを用いて検証した。また、検量線のシミュレーションが可能な動力学モデルを構築し、種々の因子が定量範囲と検出下限にどのように影響するかを検討した。
核医学検査に用いられる多くの放射性同位元素は、健康への影響を最小限に押さえるために、半減期が短い核種が使われている。このため、測定時間中での減衰の度合いが大きいと、くり返し測定により分析値の精度を求めることが不可能となる。FUMI理論を用いれば、ラジオアイソトープHPLCの測定精度を知ることが可能であることが分かった。
経口用製剤の開発においては、結晶性薬物の溶解性向上を図る手段として、非晶質化が有効であるとされている。本研究では、多成分の混合系において、非晶質の定量に用いられる粉末X線回折測定の精度・検出限界を定量的かつ簡便に求める方法をFUMI理論を利用して開発した。
様々な低分子化合物を迅速簡便に定量できる競合免疫化学測定法について、検量線から定量範囲と検出下限を求められることを6種の市販ELISAキットを用いて検証した。また、検量線のシミュレーションが可能な動力学モデルを構築し、種々の因子が定量範囲と検出下限にどのように影響するかを検討した。
結論
分析法の誤差の因果関係から、分析法の不確かさを(精度)を求める方法論を提案し、多くの異なった分析法に適用した。実験結果から、これらの分析法の精度・検出限界は、実サンプルのくり返し測定なしに、正確かつ簡便に知ることができると結論できた。研究結果はJISの規格として既に制定され、ISOの規格として提案された。
公開日・更新日
公開日
2007-06-18
更新日
-