高度分析評価技術を応用した医薬品製剤開発および製造工程管理手法の研究

文献情報

文献番号
200614033A
報告書区分
総括
研究課題名
高度分析評価技術を応用した医薬品製剤開発および製造工程管理手法の研究
課題番号
H16-創薬-038
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 寺田 勝英(東邦大学 薬学部)
  • 伊豆津 健一(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 小出 達夫(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 岩本 清(エーザイ(株) 製剤研究所)
  • 伊吹 リン太(アステラス製薬(株) 製剤研究所)
  • 播磨 武(ファイザー(株) 名古屋工場)
  • 高嶋 武志((株)パウレック)
  • 森島 健司(参天製薬(株) 生産物流本部 )
  • 片岡 隆博(塩野義製薬(株) CMC開発研究所 )
  • 浮田 辰三(田辺製薬(株) CMC研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
科学的な検証・管理をもとに優れた品質の医薬品を恒常的に生産出来る製造プロセスを構築するための評価手法の開発を目的とする。
研究方法
 医薬品の設計段階及び実製造プロセスにおける評価に関する課題を現在の科学技術レベルを基準にし、スクリーニングを行い、現時点で最も有用性が高いと思われる以下の手法を選び、評価を行った。
1)製造工程内でのin-line制御
1.原薬プロセス研究への in situ Ramanの適用
2.打錠工程における含量迅速測定法の開発
3.近赤外分光法を用いた製剤および包装品の識別性に関する研究
4.流動層粒子コーティング操作におけるリアルタイムでの皮膜含量の測定及び医薬品製造への適用可能性の検討
2)製剤設計開発
1.近赤外分光法を用いた非水性眼科用製剤中の含有水分の解明と保存効力との関係について
2.近赤外分光法を用いた凍結乾燥製剤の評価
3.原薬の結晶形態(晶癖)と溶出特性に関する研究
4.近赤外分光法による顆粒製剤の物性評価
5.近赤外イメージングシステムを用いた造粒メカニズムの解析
3)逸脱管理(不具合の原因調査)
1.固形製剤製造における障害要因分析への新アプローチ
2.錠剤のチッピングの原因究明
結果と考察
1)製造工程内でのin-line制御
原薬の乾燥工程においてラマン分析技術を利用して製造工程管理できることが示唆された。また、近赤外分光法を用いた打錠工程における含量迅速測定、コーティングのリアルタイム測定、試験時の迅速判別などの可能性も示唆された。
2)製剤設計開発
近赤外分光法を用いることにより、眼軟膏、非晶質医薬品や固形製剤の設計開発及び工程管理に応用できる可能性が示唆された。また、X線を用いてフェニトインの結晶形態と溶出性について明らかとした。
3)逸脱管理(不具合の原因調査)
近赤外イメージングシステムやその他の顕微技術を用いることにより、固形製剤に関する種々の化学的情報を得られ、不具合の原因調査に有用なことが明らかとなった。
結論
 本研究で取り上げた手法がICH Q8の目指す高度な品質管理を可能にする分析技術として考えられた。中でも迅速で非破壊測定が可能な近赤外やラマン分光技術は、リアルタイム測定が可能で製造を適切にコントロールできる技術として有望であり、原薬製造やコーティング、打錠工程などの製造工程管理への実用化への目処がついてきたと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-05-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614033B
報告書区分
総合
研究課題名
高度分析評価技術を応用した医薬品製剤開発および製造工程管理手法の研究
課題番号
H16-創薬-038
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 寺田 勝英(東邦大学 薬学部)
  • 伊豆津 健一(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 小出 達夫(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 伊吹 リン太(アステラス製薬(株) 製剤研究所)
  • 上田 聰(アステラス製薬(株) 技術研究所)
  • 大池 敦夫(藤沢薬品工業(株) 技術研究所)
  • 岩本 清(エーザイ(株) 製剤研究所)
  • 森島 健司(参天製薬(株) 生産物流本部 )
  • 中西 敏和(塩野義製薬(株) 生産技術研究所)
  • 片岡 隆博(塩野義製薬(株) CMC開発研究所)
  • 浮田 辰三(田辺製薬(株) CMC研究所)
  • 高嶋 武志((株)パウレック)
  • 播磨 武(ファイザー(株) 名古屋工場)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
科学的な検証・管理をもとに優れた品質の医薬品を恒常的に生産出来る製造プロセスを構築するための評価手法の開発を目的とする。
研究方法
 医薬品の設計段階及び実製造プロセスにおける評価に関する課題を現在の科学技術レベルを基準にし、スクリーニングを行い、現時点で最も有用性が高いと思われる以下の手法を選び、評価を行った。
1)製造工程内でのin-line制御及び迅速試験法
1.原薬プロセス研究への in situ Ramanの適用
2.打錠工程における含量迅速測定法の開発
3.近赤外分光法を用いた製剤および包装品の識別性に関する研究
4.流動層粒子コーティング操作におけるリアルタイムでの皮膜含量の測定及び医薬品製造への適用可能性の検討
5.迅速微生物試験法の検討
2)製剤設計開発
1.各種分析法を用いた眼軟膏中の含有水分の解明と保存効力との関係について
2.近赤外分光法を用いた凍結乾燥製剤の評価
3.原薬の結晶形態(晶癖)と溶出特性に関する研究
4.近赤外分光法による顆粒製剤の物性評価
3)顕微技術等を用いた品質管理
1.固形製剤製造における障害要因分析への新アプローチ
2.固形製剤の分析技術評価
3.近赤外イメージングシステムを用いた医薬品品質管理
結果と考察
1)製造工程内でのin-line制御および迅速試験法
 原薬製造工程においてラマン分析技術を利用して製造工程管理できることが示唆された。また、近赤外分光法を用いて打錠工程における含量迅速測定、コーティングのリアルタイム測定、試験時の迅速判別などの可能性も示唆された。迅速微生物試験法については新しい手法が考案されているが更なる検討が必要と考えられた。
2)製剤設計開発
 近赤外分光法を用いることにより、眼軟膏、非晶質医薬品や固形製剤の設計開発及び工程管理に応用できる可能性が示唆された。また、X線を用いてフェニトインの結晶形態と溶出性について明らかとした。
3)顕微技術等を用いた品質管理
 近赤外イメージングシステムやその他の顕微技術を用いることにより、固形製剤に関する種々の化学的情報を得られ、重要工程の理解や不具合の原因調査等に有用なことが明らかとなった。
結論
本研究で取り上げた近赤外やラマン分光法及びその顕微技術はICH Q8の目指す高度な品質管理を可能にする分析技術として考えられ、新しい技術として有効性が証明された。また、現在の品質管理に関わる課題を検討することにより有用な基礎データが提供された。

公開日・更新日

公開日
2007-05-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614033C

成果

専門的・学術的観点からの成果
迅速で非破壊測定が可能な近赤外やラマン分光技術は、原薬製造やコーティング、打錠工程などの製造管理に実用化できることが証明された。また分光法等を応用した顕微技術は、これまで原因不明であった設計や工程の不具合など従来の分析技術では解析困難であった事例が解明できる新しい技術として有効性が証明された。また原薬の結晶形態や製剤中の含有水分の検討等の研究より、現在の品質管理に関わる有用な基礎データが提供された。
臨床的観点からの成果
本研究の成果を用いることで、より信頼度の高い医薬品製剤設計、よりメカニズムを理解した、明確な製造工程管理が可能であることが証明され、コモンテクニカルドキュメントに基づく新薬申請への貢献として、化学・製造・品質管理の提出資料が、より品質、機能へ直接関連したデータとなり、審査の効率化が図れるものと考えられる。これらのことより優れた品質の医薬品をより早く供給することが可能になると考えられる。
ガイドライン等の開発
本研究で検討された手法は、ICHで採択された製剤開発ガイドライン(Q8)へのアプローチにも役立ち、また今後のQ8の事例研究にも有効に使用される評価法である。また眼軟膏製剤の含有水分の研究は日局保存効力試験法に有効な基礎データを提供するものであり、またラマンや近赤外分光法はいずれ日局試験法に採用される手法と考えられ、その際に本研究の内容は有用なデータとして貢献すると考えられる。
その他行政的観点からの成果
アメリカではFDA、ヨーロッパではEMEAを中心にICHQ8 やPAT(Process Analytical Technology)の官民共同の実務的事例研究が行われているが、日本では本研究班が唯一実務的事例研究を産官学共同で実施している。本研究の内容は官民共同で提供する貴重なデータであり、日本の製薬業界及び規制当局側で注目されているばかりでなく海外の関係機関からも注目を集められていると考えられる。
その他のインパクト
 毎年、研究成果等普及啓発事業として一般への成果発表会を行っており、参加者100人以上が集まり大盛況となっており、業界関係誌にもその内容が取りあげられた。また近赤外イメージングシステムの製剤への応用研究は、日本では本研究班のみで行われており、シンポジウムでの講演が業界新聞に取りあげられた。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
36件
学会発表(国際学会等)
10件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ken-ichi Izutsu, Yasuto Fujimaki, Akiko Kuwabara et al.
Near-infrared analysis of protein secondary structure in aqueous solutions and freeze-dried solids
Journal of Pharmaceutical Sciences , 95 , 781-789  (2006)
原著論文2
Kobayashi, R., Fujimaki, Y., Ukita, T., et al
Monitoring of Solvent-Mediated Polymorphic Transitions Using in Situ Analysis Tools
Y. Org. Process Res. Dev. (Technical Note) , 10 (6) , 1219-1226  (2006)
原著論文3
伊豆津健一
アモルファス固体の特性を活用した医薬品とその評価
冷凍  , 81 , 36-39  (2006)
原著論文4
小出達夫、檜山行雄
近赤外イメージングシステムを用いた医薬品評価技術に関する基礎的検討
Pharm Tech Japan , 22 (11) , 2043-2049  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-